So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

四国こんぴら歌舞伎大芝居・昼の部 [舞台]

金丸座

毎年4月恒例のこんぴら歌舞伎に今年も行ってきた。

一、江島生島(えじまいくしま)
生島新五郎        尾上 松也
中臈江島/江島に似た海女 中村 児太郎
旅商人          市村 橘太郎

全く初見だったので、そんなに期待していなかったのだが、意外と面白かった。
前半は、夢の中で生島と江島が華やかに踊る。後半は、島に流された生島が嘆いていると、江島に似た海女がやってきて、江島と錯覚した生島と踊るのを海女の仲間や通りがかりに商人が見ている。
松也が色っぽい。優男ぶりが身について、後半のもの狂わしげな様子も良い。保名や椀久みたいなのも見てみたい。
児太郎は前半は江島のしっとりとした品の良さがあり、後半は海女の無邪気な様子と違いを見せる。
橘太郎の商人がしっかり締める。橘太郎と海女の芝のぶの絡みなんて珍しく美味しい場面もあり楽しい。

二、鞘當(さやあて)
劇中にて襲名口上申し上げ候
名古屋山三   中村 梅玉
留男      橋之助改め中村 芝翫
不破伴左衛門  国生改め中村 橋之助
茶屋廻り    宗生改め中村 福之助
茶屋廻り    中村 児太郎
茶屋女房お駒  中村 魁春

今月の公演は芝翫一家の襲名披露公演でもある。普通の口上はないがこの「鞘当」の中で劇中口上があった。
両花道を使った華やかな演出が生きる。和事味ある二枚目の梅玉の柔らかさ、荒事の橋之助と対称的なふたりの対決。留めが芝翫魁春の二人というごちそう。から口上へ。人数は少ないが暖かい雰囲気。列座してない梅花さんにも梅玉さんが触れて下さったのが嬉しい。

新皿屋舗月雨暈
三、魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)
魚屋宗五郎   橋之助改め中村 芝翫
女房おはま   中村 魁春
召使おなぎ   中村 児太郎
奴三吉     宗生改め中村 福之助
茶屋女房おみつ 芝喜松改め中村 梅花
父太兵衛    市村 橘太郎
浦戸十左衛門  坂東 秀調
磯部主計之助  中村 梅玉

芝翫の宗五郎って初役だったかしら。見た記憶がないが。
芝翫は酒を飲むところなどややあざとさが目につくが、この小屋でなら許されるか。
魁春おはまがさすがにうまい。さっぱりとして、亭主思いの下町のおかみさん。
児太郎は行儀よいが、声がなんだか地声みたいだったのはどうしたんだろう。
橘太郎は手堅いがちょっとニンでないような気もした。
福之助の三吉は健闘しているが、やや手順に追われている感もあり、慣れるまで頑張って。
梅花の女将が情があって良い。
秀調の家老がきっちりと手堅い。
梅玉の殿様がさすがの貫禄。梅玉さんお殿様に「堅固で暮らせよ」と言われると、ははあーっ、てありがたみを感じてしまう。

こんぴらさんに掛けて断った酒、と言う台詞が出るたびに客席にさざ波のような笑いが。地元の方が喜んでらっしゃるような空気があって、微笑ましかった。もしかしたら初見の人の中には、ご当地だから「金比羅さん」って言ってて普段は違う神様にかけてると思ってる人が相当数いるんじゃないかな…(^_^;)


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

若手舞踊公演 SUGATA [舞台]

3月25日(日) KAAT神奈川芸術劇場
1803SUGATA.jpg

今年で4回目となる、藤間宗家監修による、鷹之資、玉太郎を中心とした舞踊公演。宗家勘十郎に菊之丞ら強力な助っ人を得ての公演だが、年々たくましくなった二人がまぶしいくらい。
今年は舞踊「二人三番叟」と「通し狂言「雙生隅田川」」を上演。

どちらも基本衣装を着けない素踊り。「二人三番叟」では、鷹之資君の踊りは10代とは思えぬ下半身の安定とぶれない体幹が素晴らしい。

「雙生隅田川」
宗家勘十郎が女形班女の前。化粧もせずに、母性溢れる情を見せる。
悪役の執権勘解由と猿島惣太実は淡路七郎俊兼後に七郎天狗を菊之丞。普段はんなりとしたイメージの美男菊之丞さんの悪役!これがなんとも色気もあって格好いい。

ゲストの種之助が惣太女房と鯉の精。女房でのしっとりとした女形ぶりに、去年の双蝶会でのおとくの勉強が生きているのが見られて嬉しい。宗家と二人での踊りもあって見せ場をもらっていた。鯉の精では溌剌とした立ち回りを見せ、対照的な二役をこなした。種ちゃんの踊りはほんとに気持ちが良い。

鷹之資と玉太郎は吉田家の家来で、どちらもキビキビとして、最後の鯉との立ち回りも気迫があって見せる。三人で宙乗り(と言うか、宙づり?)もあって、本水こそ使わないが迫力満点。

常連の花柳凜が吉田家に祟る天狗。美しく恐ろしい。
双子役の子供さんも上手だった。

澤瀉屋の公演で観たことがあるがあの登場人物も多く仕掛けも多い芝居をどうやって、と思ったらまあいろいろびっくり。宗家天才。衣装を着けなくても、舞台装置らしい装置がなくても、工夫次第で物語の世界を見せることはできるんだな。

ともかく、お目見えから見ている鷹玉の二人がこんなに大きくなって、とそれだけでも胸いっぱい。
鷹之資が4月から大学生となることもあって、今回が最後だそうだが、何か形を変えてまたやってほしいな。
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

国立劇場3月歌舞伎公演 [舞台]

s-1803国立劇場.jpg

3月の国立は、鴈治郞と菊之助がそれぞれ家の芸に初役で挑んだ。

一・増補忠臣蔵(ゾウホチュウシングラ)
本蔵下屋敷

桃井若狭之助 = 中村鴈治郎(4代目)
三千歳姫 = 中村梅枝(4代目)
井浪伴左衛門 = 市村橘太郎
加古川本蔵 = 片岡亀蔵(4代目)

文楽では何度か観たことがあったが、そういえば歌舞伎ではやらないな。まあ、やらない理由は明らかで、どうにも凡作の域を出ないのだが。

鴈治郎は役者ぶりが大きくなった。こういうお殿様もしっくりくる。
亀蔵の本蔵も渋さを見せる。
全体に書き物的な空気の中で一人時代物の匂い濃厚な梅枝君が上手い。

宣伝にも言うとおり、忠臣蔵九段目に繋がる「エピソードゼロ」と思えばそれなりに楽しめる。役者陣は健闘で期待したよりは面白く見られた。

二・梅雨小袖昔八丈(ツユコソデムカシハチジョウ)
髪結新三

髪結新三 = 尾上菊之助(5代目)
白子屋手代忠七 = 中村梅枝(4代目)
下剃勝奴 = 中村萬太郎(初代)
家主女房おかく = 市村橘太郎
家主長兵衛 = 片岡亀蔵(4代目)
加賀屋藤兵衛 = 河原崎権十郎(4代目)
白子屋後家お常 = 市村萬次郎(2代目)
弥太五郎源七 = 市川團蔵(9代目)

ここ数年、女形だけでなく、積極的に音羽屋の芸に取り組んでいる菊之助。ついに新三に挑戦。
菊之助の新三は初演らしからぬ出来なのはさすが菊ちゃんなんだが、いささか酷薄さが目につくのはどうか。大家にやり込められるあたりでやっと抜け感が出てきたのでその辺は経験か。だがまあ、いい男の新三だこと。

亀蔵の大家は意外にまじめな感じ。もうちょっと食えないふてぶてしさがほしい。
團蔵の親分が上手い。やや落ち目のやさぐれ感がたまらん。

出色は梅枝の忠七。優男の情けなさ、いじましさが十分にあり、騙された被害者ではあるけれど、げすのだらしなさが匂う。初役でここまでやるって、どうなってるんだろう、この人は。

梅丸のお熊は可愛すぎて、婿を取るとか駆け落ちするとかいう歳に見えない。まだ寺子屋に通ってそう。ほとんど幼女誘拐事件。(笑)

新三を呼びに来る丁稚役で菊之助の長男和史君が出演。お目見えは2年前にやっているが、芝居は初めて。それどころか、お目見えではご挨拶もできなかったので、公で声を出すのも初めて。心配したが、大きな声を出せてしっかり務めていた。播磨屋のじいじにそっくりなのがご愛敬。正直、特別上手い子役とも思わなかったが、何事もこれから。のびのび育ってほしいな。

nice!(5)  コメント(1) 
共通テーマ:演劇

「寛永の雅」展 [美術]

サントリー美術館
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2018_1/
”江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽”とサブタイトルのついて展覧会。江戸時代初期の寛永年間にスポットを当て、戦乱が収まった世に栄えた「きれい寂び」がキーワードとされる寛永文化を、後水尾天皇周辺の京の文化と、江戸の武家文化の発展を見ていく、珍しい切り口。

まずはじめは二代将軍秀忠の娘和子が入内した後水尾天皇を中心とした宮廷文化。
源氏物語絵巻などのサロン文化が発達した様子を、和子(東福門院)関連も含めて。

s-kanei004-900x600.jpg
住吉具慶 源氏物語絵巻 五巻のうち第三巻 

でも面白くなるのは次の小堀遠州コーナーから。
茶人として知られた遠州の美意識がよく表れた茶道具の数々。「きれい寂び」という言葉はここで登場する。大名茶人にふさわしい品の良さと、豪奢をひけらかさない瀟洒な美しさを持った道具をじっくり。
s-kanei006-750x600.jpg
小井戸茶碗 銘 六地蔵 一口 朝鮮時代 16世紀

そしてその次が仁清で、仁清が交流を持った茶人金森宗和との関連の中から出てきた仁清の作品。
色絵の華麗な作品で知られる仁清だが、宗和の指導の下で作られた初期の作品には意外にシンプルなものも。
1.jpg
野々村仁清 白釉円孔透鉢 一口
とはいえ、これなど、確かに色は白一色だがこのデザインのユニークさと言ったら、ちょっと他では見られない。なんてモダンな!

もちろんの地の楽しい色絵の作品もたくさんあって、このコーナーがいちばん充実していた。

最後は狩野探幽。生まれは京だが徳川幕府のお抱え絵師として活躍。京狩野とは違う江戸狩野派を発展させた。
s-kanei010-900x380.jpg
狩野探幽 桐鳳凰図屛風 六曲一双のうち右隻 
永徳に代表されるような桃山時代の剛毅さを感じさせる障壁画から変わって、探幽は華美すぎず端麗な画風を作り上げた。これもやっぱりきれい寂の一端。

こうして見ていくと、きれい寂という美意識は、この時代に確立された後江戸はもちろん現代までも日本人の美意識の根底に流れているもののような気がする。
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

三月大歌舞伎 夜の部 [舞台]

歌舞伎座

夜の部は前半はにざ玉コンビ、後半は若手で新派の演目、と昼とはガラッと違った狂言立て。

一、於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)
小梅莨屋の場
瓦町油屋の場
土手のお六   玉三郎
山家屋清兵衛  錦之助
髪結亀吉    坂東亀蔵
庵崎久作    橘三郎
油屋太郎七   彦三郎
鬼門の喜兵衛  仁左衛門

普通はお染の七役として上演するもののうち、お六と喜兵衛の場だけを上演する変則的なもの。
玉三郎の伝法な台詞が面白いお六と、悪党ながら粋な男の仁左衛門喜兵衛のコンビが息もぴったり。莨屋の場ではカミソリを研ぐ喜兵衛の凄味が素晴らしく息をのむ。油屋では、自信満々でゆすりに来たのが、嘘がばれてだんだんしぼんでいく二人がおかしみがあって面白い。
とはいえ、やはり二場だけ抜き出すのはいささか無理があって、ストーリーとしては何が何だか、になってしまったのは否めない。

錦之助がこういう捌き役的な役って珍しい気がするが、そつなくこなしていた。それだけ年取ったってことか。
彦三郎が実直な商人。こちらも珍しいかも。
橘三郎が朴訥とした味を見せる。

二、神田祭(かんだまつり)
鳶頭  仁左衛門
芸者  玉三郎
粋でいい男で格好いい仁左衛門と、あだでいい女で綺麗な玉三郎が、ひたすらイチャイチャデレデレしている10分間。まともに見ていると馬鹿馬鹿しい位なんだが、これがなんとも幸せな気分にさせてくれるんだから、舞台って不思議だ。50年あまり共演を重ねた来たお二人にしか出せない、親密さや愛しさが溢れていた。そしてまあ二人とも若々しくて綺麗なことといったら。何か奇跡を見ているような気さえしてしまった。何なのあれ。化け物なの?(笑)

三、滝の白糸(たきのしらいと)
滝の白糸   壱太郎
村越欣弥   松也
南京寅吉   彦三郎
松三郎    坂東亀蔵
桔梗     米吉
裁判長    吉之丞
郵便配達夫  寿治郎
お辰     歌女之丞
おえつ    吉弥
青柳太吉   秀調
春平     歌六

玉三郎が新派で手がけてきた演目を壱太郎にやらせる。
壱君はとっても頑張ってた。玉様の特訓があったのか、台詞回しもよく勉強していて。序盤の華のある人気太夫ぶりが艶やかで、後半の影のある様子との差に月日が感じられる。欣弥に対する思いも酔狂から始まったものが思いの外に本気で思い詰めていった切なさが見ていて辛い。初めて見たので、あんな終わり方をするとは知らず、呆然。

松也も真っ直ぐな好青年ぶりがよく似合う。終盤の長台詞もよくこなした。感情を抑え、理性的にしかし諄々と道を説く欣弥の台詞に、思いがけない再会への揺れる思いと辛さが溢れる。

彦三郎が憎たらしい。声のいい人が悪役すると圧が強い。
そしてなんといっても歌六が上手い。一言一言に親代わりとして接する白糸への情がこもる。ほんとに何やっても上手い人だな。

古典歌舞伎の世界観の中だと、同じような事件でも大岡裁きみたいになって大団円とは行かずともあんな終わり方にはならないだろう。でも明治以降だとそうはいかない。でも私は歌舞伎を観るときは法やリアルな倫理観などぶっ飛んでいるので、ああいうのを見せられて歌舞伎見たって気にはなれない。

欣弥にとって白糸は女なのかただの恩人なのか、そこがいまいちわからない。欣弥も考えようによっては悪い女につかまったとも言えるのかもしれないなぁ。残された母親が気の毒。

壱君松也歌六さんと揃うんなら、野崎村とか見たかった。米吉君にお染やらせて。
壱君も松也も歌六さんも彦三さんもみんな良いんだよ、とっても。でもこの演目をなぜ歌舞伎でやらないといけないのか、誰か教えて。新派が大事にしていけばいいんじゃないの?

正直、せっかくの壱太郎の歌舞伎座での初主演がこれだったというのは残念至極。
なんだか、玉三郎が自分が開いた道を壱太郎でも誰でも良いからつないでほしくてやらせたみたいに感じられて、芝居の終わり方共々後味が悪かった。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

三月大歌舞伎 昼の部 [舞台]

歌舞伎座

高麗屋の二ヶ月続きの襲名が終わって、ちょっと気の抜けたような今月。昼は中堅、夜はにざ玉と若手、と出演者もはっきり分かれた。

一、国性爺合戦(こくせんやかっせん)
獅子ヶ城楼門
獅子ヶ城内甘輝館
同    紅流し
同    元の甘輝館

和藤内  愛之助
錦祥女  扇雀
甘輝   芝翫
老一官  東蔵
渚    秀太郎

芝翫の甘輝が良い。髭もよく似合い、威風堂々。この人ほんとに良い役者顔だよね、と改めて。
扇雀の錦祥女は、情よりも知が先に立つ感じが新鮮。父母への孝に命を投げ出すのも、情に流されてというより、自分が死ぬしかないと冷静に判断して、と見えるのが面白かった。

秀太郎の渚は、たっぷりとした情と、凜とした武士の妻の風情がさすがに上手く、この芝居の核を成す。
愛之助の和藤内は悪くはないけど、やっぱり荒事の人じゃないなあ。小粒に見えてしまって。逆に言えば、ニンでもない役にしてはよくこなしていたけど。
芝翫と愛之助、逆でも良いような気もしたが、いつか観ることができるだろうか。

四世中村雀右衛門七回忌追善狂言
二、男女道成寺(めおとどうじょうじ)
白拍子花子        雀右衛門
白拍子桜子実は狂言師左近 松緑
明石坊          友右衛門

もう七回忌ですか。早いですねえ。冒頭で友右衛門が僧明石坊として口上を述べる。
雀右衛門は京都顔見世での娘道成寺を踊ったときに比べて、別に踊りが上手くなってるわけではないと思うけど(失礼)、量的にも半分な分余裕が感じられて、こちらもなんだか安心して見ていられる。そして何よりふっくらとした美しさが増していて本当に綺麗で可愛い。

松緑の方はもちろん踊りはきっぱりとして上手い。冒頭の白拍子の拵えが想像以上に可愛くて、おおっ、となった。狂言師左近となってからの踊りも清潔感があって、指先まで神経の行き届いた動きが美しい。やっぱりこの人の踊り好きだわ。

三、芝浜革財布(しばはまのかわざいふ)
魚屋政五郎    芝翫
政五郎女房おたつ 孝太郎
錺屋金太     橋之助
お君       男寅
桶屋吉五郎    福之助
金貸おかね    梅花
納豆売り     松之助
大家長兵衛    橘三郎
左官梅吉     松江
大工勘太郎    彌十郎

このところ世話物にも積極的に挑戦している芝翫。菊五郎劇団の持ち物の印象が強い演目だが、持ち味は違うがこれはこれで面白かった。芝翫は重くなりすぎず、調子の良い江戸っ子の様子もありまずまず。根は良いのに酒に飲まれる政五郎の弱さと真面目さの両面を前半と後半でくっきり見せた。

孝太郎のおたつが良い。亭主思いでしっかり者の、でもよくあるかかあ天下みたいな気の強いおかみさんでなく、優しいよくできた女房。
気持ちよくさっぱり笑えて良い打ち出し。

昼の部は大御所も出ないし、かといって若手中心の花形公演でもない。話題性には乏しいが、中堅がそれぞれ責任を果たして、十分面白かった。
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

香合百花繚乱 [美術]

根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/
s-a_bouquet_of_incense_containers.jpg
手のひらに載るような小さな器。中に香を入れる茶道具だが、わびさびのイメージが強い他の茶道具と違って、色も形も様々で素材も漆器から焼き物まで千差万別。はじめから香合として作られたものはもちろん、別のものの容器を流用したものもある。作る人、使う人のセンスがうかがわれる。

1.jpg
堆黒屈輪文香合
木胎漆塗 中国・元時代 14世紀 
初期の香合は中国から渡ってきたものが中心。何層も漆を塗り重ねた後彫り出す手の込んだ仕事。渦巻き模様が美しい。

2.jpg
黄瀬戸宝珠香合 美濃
施釉陶器 日本・桃山時代 16世紀
日本で茶道が盛んになるにつて、国内でも香合も作られていく。
何気ない形だがなんとも愛らしく、風合いある色も味わい深い一品。

3.jpg
色絵ぶりぶり香合 野々村仁清作
施釉陶器 日本・江戸時代 17世紀
焼き物の香合と言ったら仁清。と言うくらい、色も形も凝ったものをたくさん作った仁清。
日本の焼き物には珍しい六角形、10センチあるかないかの大きさの中に松竹梅に鶴亀、と吉祥模様を詰め込んで、でも軽やかで美しい。仁清のデザイン力に脱帽。

4.jpg
染付横唄香合 永楽保全作
施釉陶器 日本・江戸時代 19世紀
元は景徳鎮のものを京の永楽保全が写して作ったものだそう。横唄(よこばい)とは唄貝(ばいがい)を横にしたかたちのこと。こういう形が凝ったものも多いのが香合の楽しさ。

本当にいろいろな素材や形のものがあって、楽しい。
私はお茶はやらないけれど、この根津美術館や三井記念などで茶室のあつらえを見ると、茶碗や釜などの道具や掛け軸、そしてこういう香合を選ぶのは楽しいだろうな、と想像する。(まあ、選ぶほどたくさん道具を持っていれば、の話だけど)
nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

プラド美術館展 [美術]

国立西洋美術館

ベラスケスを中心とした、17世紀のスペイン絵画展。なので、私の好きなゴヤはなし。
章立ては絵の内容のジャンル別で。「神話」「風景」「静物画」、、と言った具合。

そのあちこちで登場するベラスケス。今回はベラスケスだけで7点出品の大盤振る舞い。
s-im_2017prado01.jpg
ベラスケス
《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》
1635年頃 
s-im_2017prado03.jpg
ベラスケス
《バリェーカスの少年》
1635-45年

ほぼ同時期に描かれた、でもある意味対照的な人物画2枚。一方は豪華な衣装を着た王太子、一方は貧しげなぼろを着た宮廷に仕えるこびと。どちらにも同じ真っ直ぐな目を向けるベラスケス。
今回は、有名な王女マルガリータの絵は1枚もなかったけれど、さすがベラスケスという冴えた筆を堪能。

17世紀のスペインの画家はベラスケスだけではない。
s-20180223223133.jpg
ムリーリョ《小鳥のいる聖家族》1650年頃
ムリーリョは無原罪の御宿りが有名で愛らしい聖母像で人気があった。この絵でも清楚なマリアが魅力的。

s-20180223223135.jpg
スルバラン《磔刑のキリストと画家》


また、この展覧会ではスペイン絵画だけでなく、プラド所蔵の17世紀のヨーロッパ絵画の優品も出品。
s-1.jpg
クロード·ロラン《聖セラピアの埋葬のある風景》1639年頃
ロランは一時期凄く好きだった。今でも、この理想郷のような風景画には目を奪われる。

他にもルーベンス、ヤン・ブリューゲル1世、ティツィアーノなどもあって見応えは十分。特にバロック絵画好きには見逃せない展覧会。
nice!(5)  コメント(2) 
共通テーマ:アート

仁和寺と御室派のみほとけ 展 [美術]

東京国立博物館
http://ninnaji2018.com/index.html

御室の桜で有名な仁和寺。その仁和寺を中心とした御室派のお寺の仏像や宝物を集めた展覧会。
恥ずかしながら御室派というのがあることさえ知らなかったが、まあそういう宗派の難しいことはいつものように素通り。
仁和寺は皇室と深い関係がある真言密教の寺院。展示の前半では天皇の書状や経本、曼荼羅図などの秘宝が並ぶ。

1.jpg
国宝 三十帖冊子(さんじゅうじょうさっし)
空海が書き写して持ち帰ったという真言密教の秘書。空海と共に橘逸勢の筆もあるとされる、書道史上も貴重なもの。
前に夢枕獏の「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」(今映画になってる原作)を読んで空海と逸勢に親近感があって、ほうほう、と眺める。

後半は仏像を集中して展示。
まず目を引くのが仁和寺の観音堂をそっくり再現したところ。仏様はもちろん本物で、壁画も高精細画像で再現。(今の技術って凄いですね、と改めて)一つ一つの仏像も素晴らしいが壁画もこれまた素晴らしい。実際に観音堂に行ってもおそらく暗くてよく見えないだろうから実に貴重な機会。
このコーナーのみ撮影可でした。
IMG_20180217_200002.jpg
IMG_20180217_200317.jpg

2.jpg
重要文化財 降三世明王立像(ごうざんぜみょうおうりゅうぞう)
平安時代・11世紀
福井・明通寺蔵
高さが250センチを超す大きさ。迫力ある威容であたりを圧する。

3.jpg
国宝 千手観音菩薩坐像(せんじゅかんのんぼさつざぞう)
奈良時代・8世紀 大阪・葛井寺(ふじいでら)蔵
この展覧会最大の呼び物。千手観音といっても実際は千本あるものはないがこれは大小併せて1041本の手を持つという、唯一千本以上の手が確認されている仏像だという。大きい手には仏具などを持つ、その千本あまりの手はまるで光背のよう。鎮座する観音菩薩の顔は優美で柔らかく、ちょっと前に傾いた様子は手の重みに耐えておられるよう。間近で観ると圧倒される量感だが、じっと見ていると千本の手がゆらゆらと揺れ動くようにも感じられて、ちょっと怖くなったり。

他にも素晴らしい仏像がたくさん観られて、ありがたい展覧会だった。
しかし、仁和寺には前に桜を見に行ったことがあるが、こんなに仏様がいらしたんだ!どこ観てたんだろう、自分。と思った次第。


nice!(5)  コメント(2) 
共通テーマ:アート

横山大観展 [美術]

山種美術館
s-CCFgyokudo_000022.jpg

もう終了してしまったけど。

生誕150年だそうで、4月には国立近代美術館でも回顧展のある大観。2,3年前には横浜でも展覧会あったし、なんだかしょっちゅうやってる気がする。それだけ人気があるってことね。

今回の売りは、山種所蔵の大観作品全40点を公開すること。これは開館以来初だという。ほほう、山種だけで40点も持っているというのも凄いな。

大観は私にはどこか捉えどころがない画家に思える。もちろん長生きしたせいもあって画風が変わっていったのかもしれないけど、一人の画家がこんなに多彩な絵を描けるんだ、と驚嘆する。

s-img201801_02.jpg
横山大観 《陶淵明》

s-img201801_04.jpg
横山大観 《木兎》

s-img201801_05.jpg
横山大観 《叭呵鳥》

s-img201801_08.jpg
横山大観 《春朝》

どれが”大観らしい”んだろう?どれも?
まあ、大観といえば、富士の絵。
s-img201801_09.jpg
横山大観 《心神》
さすが近代日本画の第一人者、と言われるだけのことはある。

この展覧会では大観と交流のあった他の画家、小林古径、安田靫彦、前田青邨、東山魁夷らの作品もあり、これらも見応えがあった。

nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:アート
前の10件 | -
メッセージを送る