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驚異の超絶技巧展 [美術]

三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

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3年前、明治の超絶技巧を集めた展覧会をやった三井記念だが、今回は明治だけでなく、現代のアーティストの作品も取り上げて、超絶技巧の継承にも目を向けた。

明治の方は、前回も並んだ作家が多い。七宝の並河靖之に濤川惣助、漆工の柴田是真。牙彫の安藤緑山。明珍の自在、陶器の宮川香山ももちろん。どれもあらためて観ても、どうやって作ったんだろう、と呆れるような凄い技術。

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並河靖之 蝶に花の丸唐草文花瓶
虫眼鏡が必要なくらいの細かい柄。これを、それも有線の七宝で。呆れてため息がでる。

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柴田是真 古墨型印籠
どう見たって墨でしょう、これ。ところが漆工なんだと言うから驚き。是真はこう言うだまし絵的な作品が得意でどれもしゃれていて楽しい。

現代作家も負けていない。現代なんだから、コンピューターとか使って作っちゃうのかな、と思ったがとんでもない。どれも気が遠くなるような手作業なのは明治と一緒。ただ使う材料などはやはり今風なのもあったけど。著作権もあると思うのでここには写真は上げませんが、三井の公式サイトをぜひ見てみて下さい。びっくりですよ。

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高橋賢悟 「origin as human」
これは撮影可能だったもの。生花を型取りしてアルミニウムで鋳造するのだという。それは細かい。気が遠くなりそう。

ただ、ふと思ったのは、明治の作品は多くが花瓶なり、香炉なり、そもそもは実用目的で作られていたが、現代のこう言う作品はいわばオブジェでほとんど使い道はない。そこになんとなく先行きの見えない感じがあり、そう「売れる」ものじゃないんじゃないのかな、と余計な心配をしてしまった。


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江戸の琳派芸術展 [美術]

出光美術館
http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/present/
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尾形光琳と、光琳に私淑した酒井抱一とその弟子の鈴木其一の展覧会。

抱一は光琳に直接師事したわけではない。だが光琳の作品に傾倒し、光琳に憧れて光琳に倣った作品を描き続けた。

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風神雷神図屏風 酒井抱一
光琳、宗達が描いた風神雷神図を抱一も描いた。ほとんど同じだけど少しずつ違う。

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八ツ橋図屏風 酒井抱一
根津美術館所蔵の光琳の燕子花図屏風は、橋を描かず燕子花だけを一面に置く。光琳に比べると抱一の方がバックの金箔も控えめで、全体の色もややソフト。保存状態の関係かもしれないけど。光琳の方がシャープな印象。

抱一は今のところ多分日本の画家ではいちばん好きなんじゃないかな、と言うくらい好きなので、どの作品もどの作品も素敵でため息。抱一の絵は光琳や宗達の京琳派をさらに風通し良くして粋にしたような洗練を感じる。

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四季花木図屏風 鈴木其一
其一はなんとなくだが、光琳より宗達に親近感があったんじゃないかなあ、と思う絵が多い。師の抱一から受け継いだものをさらに写実よりもデザイン性の強い風にしていったように感じる。この屏風などは、全く違うんだけど、宗達の蔦の細道図を思い起こして観ていた。

個人的には、光琳と抱一の紅白梅図が並べて観られたのが最大のツボ。
屏風のような大きなものから掛け軸、扇面のような小品までどれも美しく、見応えのある展覧会。
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運慶展 [美術]

東京国立博物館

春には奈良で快慶展、秋は東京で運慶展。「運慶・快慶」となんとなくセットにされて覚えていたけれど、別にいつも一緒に共作していたわけではないんだな。

今回は奈良の興福寺中金堂再建記念の展覧会と言うことで、興福寺に縁の仏像を中心に、31体現存すると言われる運慶作の仏像のうち、22体が揃う。
父の康慶の作品に始まり、運慶が21才頃に作った最初期の仏像も。

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八大童子立像のうち恵光童子・制多伽童子
鎌倉時代・建久8年(1197)頃
和歌山・金剛峯寺蔵
八体のうち六体が運慶作だそうで、今回その六体とも展示。
どれも童子らしい幼さの残る、しかし力強い表情が魅力的。

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無著菩薩立像・世親菩薩立像(むじゃくぼさつりゅうぞう・せしんぼさつりゅうぞう)
運慶作
鎌倉時代・建暦2年(1212)頃
奈良・興福寺蔵
美術の教科書にも載ってたなあ、と思いながら実物の意外な大きさにも驚く。2メートル近い。リアルに刻まれた表情は力強い世親、慈愛深い無著と対照的。
今回は特にこの両像を取り巻くように四天王立像を配置。これは最近の調査で運慶作ではないかと言う可能性が出てきたとのこと。そう思って見るとさらに興味深い。

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興福寺南円堂四天王の一つ、多聞天立像
確かに運慶作と言ってもいい力強さと、衣装の細かい装飾まで見事に表現された技。

後半では、運慶の息子らと周辺の仏師達の作品が並ぶ。
中で、十二神将立像が42年ぶりに一堂に揃うのが見もの。これも運慶作の可能性があるらしいが未確認とのこと。

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十二神将立像(じゅうにしんしょうりゅうぞう)のうち 亥神
京都・浄瑠璃寺伝来
鎌倉時代・13世紀
格好いいなあ、十二神将。仏像の中でいちばん見ててアガル。それぞれ身につけてるものが違うのも楽しい。頭に付いてる干支もチャーミング。

だがこう言う格好いい仏像の中にあって、ユーモラスさでダントツなのはこちら。
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天燈鬼立像・龍燈鬼立像(てんとうきりゅうぞう・りゅうとうきりゅうぞう)
康弁作(龍燈鬼立像)
鎌倉時代・建保3年(1215)
奈良・興福寺蔵
いや、これあかんやろ。可愛すぎるわ。何なのこの顔。この体型。これほんとに灯籠として使ったのかしら。康弁は運慶の息子の一人。

父の康慶から息子、弟子達までの「慶派」の流れを間近に見られる。個人的には、快慶の作品の方にたおやかさを感じて好きだけど。(と言うほど詳しくもないが)

今回に限らず、東博の展示は照明が凝っていて、会場全体は暗めにして像にスポットライトが当たるような感じで仏像が浮かび上がる。賛否両論あるようだが、ドラマティックな感じはする。
なんにしろ、普段所蔵されてるお寺に行ってもそう近くまでは寄れないが、触れそうなくらい近くで、しかも360度観られるのはありがたい。
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上村松園―美人画の精華―展 [美術]

山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2017/uemurashoen.html

館所蔵の松園作品全18点を一挙に展示、同時に浮世絵から昭和までの美人画の数々を並べる。

考えてみると不思議なことに、松園が描く女はほぼ江戸時代かそれ以前の女だ。着物を着て髷を結う。でも浮世絵の美人画とは全く違う。清楚で品があって美しい。松園ご本人が「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語っているとおりである。

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上村松園 《つれづれ》
本を読む若い女性。顔だけでなく、着物や髪飾りも松園の美学。

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上村松園 《砧》
能「砧」に基づく、夫の長期の留守の寂しさに耐える女。でも感情を露わにはしない。ひっそりと悲しみを押し殺しているような。

そう、松園の女達は感情をむき出しにはしない。笑顔すらそっと微笑む程度。
描かれているのはほとんどが歴史上の人物などではなく、市井の女性なのだが、町娘のような女でもどこか現実味がない、手の届かない、空想上の女に見える。その現実味のなさこそが、実在しない理想の女という風に見えて、見るものの心を惹きつけるのかもしれない。

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上村松園《蛍》
これなんか、どこにでもいそうな女性のありふれた日常の一瞬を切り取っている。凄い美人でもないかもしれない。でもやっぱり理想化された絵という印象。

この展覧会では、松園以外の作家の作品も展示。浮世絵の春信や歌麿、近代の春草や清方、深水、現代の珠子や遊亀。。。技法や画風の違いはもちろん、「美人画」の捉え方の変化も感じられる展覧会。
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月岡芳年 月百姿展 [美術]

太田記念美術館

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8月の妖怪画展に続いての芳年特集。今月は月をテーマにした「月百姿」全点を展示。
こちらは芳年最晩年の作品。芳年が達した芸境を見ることができる。

実在の人物、歴史上の人物、物語の一場面、、、月をモチーフにしながら、月が大きく描かれたものもあればほんの小さく見えるばかりのものもある。そういった月の取り上げ方もそれぞれ美しく、楽しい。

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玉兎 孫悟空
これは月がいちばん大きく描かれた一枚。まん丸なお月様にうさぎと孫悟空の取り合わせが楽しい。


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はかなしや波の下にも入ぬへしつきの都の人や見るとて 有子
これは水面に映る月。波に揺らぐ様子が繊細で美しい。

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烟中月
火消しの背中を大きく描いて、炎の中に浮かぶ月はうっすら。粋な構図。

取り上げられている場面には、能や歌舞伎にも出てくる話があったり、源氏物語や源平の物語など有名なものもあれば知らないものもある。昔の人はこれらの絵を見て、あれね、ってわかったんだろうなあ。

妖怪図の方がインパクトは強いけど、じっくり見たい絵はこちらの方が多かった。
最終日に駆け込みで行ったけれど観られて良かった。
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秀山祭九月大歌舞伎 夜の部 [舞台]

歌舞伎座
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一、ひらかな盛衰記(ひらがなせいすいき)
逆櫓
船頭松右衛門実は樋口次郎兼光  吉右衛門
漁師権四郎     歌六
お筆      雀右衛門
船頭明神丸富蔵   又五郎
同 灘吉九郎作   錦之助
同 日吉丸又六   松江
松右衛門女房およし   東蔵
畠山重忠    左團次

9年ぶりの吉右衛門の樋口。もうどこをとっても素晴らしいの一言。
前半、松右衛門としての台詞は世話物らしいくだけた調子で梶原に呼び出された件を物語る。明るく屈託のない様子。眼目は二度目の出で、樋口と顕すところから。戸口から外をうかがいながら「権四郎、頭が高い」の圧倒的な威圧感。それがまた権四郎に頭を下げての「親父様……」でまた少し世話に戻って許しを請う語り口に真摯な情がこもり、侍の樋口と、婿の松右衛門が行ったり来たりしながら心情を表していく、その表現の的確さと深さ、人間のあたたかさ大きさ、ただ聞き惚れる。
後半の立ち回りは、さすがに体の衰えも垣間見えるが、堂々たる威丈夫ぶり。捉えられた無念、畠山の武士の情けに感じ入る広やかさ、そして若君を助ける権四郎の情への感謝。そこにいるだけで、ただただ大きくて立派でかっこいい。

歌六の権四郎がまた素晴らしい。一徹で孫への愛情が深く、故にお筆が許せず怒りにまかせて若君を討とうとする…その怒りと悲しみの深さ激しさが胸を刺す。それが松右衛門が樋口とわかっての納得と、それでも諦めきれない悲しみが、笈摺の始末のくだりにあふれ出す。

雀右衛門のお筆、ひたすら若君大事の忠義心にあふれる。忍の一字のつらい役どころ。槌松を死なせてしまった申し訳なさと、なんとかして若君を取り返したい気持ちのせめぎ合いに苦悩する様子がひしひしと伝わる。しとやかな中に心の強さを見せる武家女らしいキリッとした雰囲気もあって素敵。

東蔵のおよしも人の良さそうな、女房で母で、また父の世話をする娘で、かいがいしい様子に子供が死んだと知った嘆きの哀れさが大げさでなく伝わる。

とにかくこの四人のアンサンブルが素晴らしく、チーム播磨屋の面目躍如。
いつも同じ顔ぶれってつまらない、とも思うけれど、やはりおなじみだから生まれる空気感もあって、今回のような舞台はこの顔ぶれだからこそとも思えた。

昼の幡随院と言い、夜のこれと言い、今この舞台を見られたことに感謝。

あと、船頭に逆櫓を教える場面では遠見の子役を使った。この子役さん達が達者だったことも記憶しておきたい。

二、再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず)
桜にまよふ破戒清玄
新清水花見の場
雪の下桂庵宿の場
六浦庵室の場
清水法師清玄/奴浪平  染五郎
桜姫    雀右衛門
奴磯平   歌昇
奴灘平   種之助
妙寿    米吉
妙喜    児太郎
大藤内成景   吉之丞
石塚団兵衛   橘三郎
按摩多門    宗之助
荏柄平太胤長   桂三
千葉之助清玄   錦之助
山路    魁春

吉右衛門が松貫四の筆名で書いた清玄桜姫ものの狂言。初演再演では自分が演じた役を染五郎に譲った。新作とは言えオーソドックスな歌舞伎で、知らずに見たら古典と思うかもしれない。あくまで歌舞伎は江戸の空気を伝えなくては、と言う吉右衛門らしい作品ではある。

染五郎が奴と破戒前後の清玄という実質三役を生き生きと言うよりノリノリでやっていて、なんだかとても楽しそう。吉右衛門の実演は見ていないのだが、染五郎への当て書きじゃないのかと思うくらい。特に最後の破戒した清玄の鬼気迫る様子は見もの。

雀右衛門の桜姫と錦之助の清玄が似合いのカップル。しかしまあ、お姫様の無邪気な恋は災いを呼ぶのは常としても、さすがにこの僧清玄からの祟られ方は、身から出たサビとは言え可哀想。

魁春が桜姫に仕える腰元で、ある意味この人の策略がすべての元凶と言えなくもないのだが、しれっとやっちゃう感じが魁春さんらしいと言うかなんというか。この人って意外に巧まざる可笑しさがあるんだよね。

歌昇・種之助がそれぞれ奴で活躍。
児太郎と米吉は僧清玄に仕える小姓で、破戒した後も世話をする健気さ。でもあまりのお師匠様の破戒ぶりに行く末を儚んで身を投げちゃうと言う、哀れな二人。でも可愛かったな。

最後の「ええ、ここで終わるのか!」な点を始め、突っ込みどころはいろいろあるが、染ちゃんにはぜひ持ち役にして納涼ででも再演してもらいたい。


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秀山祭九月大歌舞伎 昼の部 [舞台]

歌舞伎座

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10回目を迎えた秀山祭。播磨屋らしい演目が並んだ。

一、彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)
毛谷村
毛谷村六助   染五郎
お園       菊之助
杣斧右衛門   吉之丞
お幸       吉弥
微塵弾正実は京極内匠   又五郎

発端の杉坂墓所の場はなく、いきなり六助と弾正の立ち会いから始まる形。
弾正は又五郎で、ふてぶてしい様子がうまい。

染五郎の六助は播磨屋に習った様子がよく見えるが、播磨屋よりさらに一段明るい。
もうちょっともっさりした感じもあってもいい気がするが、まさに気は優しくて腕は立つ、と言う六助の美徳がくっきり見えて気持ちいい。子供をあやす優しさが微笑ましい。態度が一変するお園に振り回される様子が可愛い。師の娘で許嫁とわかってからのいちいち照れた様子とか、ほんとに気のいい男なんだな、という感じ。弾正に騙されたとわかっての怒りに、一転して武人らしい凜々しさがあふれてお園でなくても惚れ惚れ。

菊之助のお園は女武芸者のキリリとした様子から、六助が親の決めた許嫁と知っての豹変ぶりがなんとも可愛くいじらしい。でも何故か姉さん女房っぽく見えちゃったのはどうしてだろうね。

吉弥のお幸が品のある後室で、登場の時のちょっと不思議なおばあさんの雰囲気も良く(切り餅の投げ合いがちゃんとあったのはうれしい)、上々の出来。まだ老け役にはもったいないが、今後増えるかもしれない。
子役も達者で、後味の良い舞台。

仮名手本忠臣蔵
二、道行旅路の嫁入(みちゆきたびじのよめいり)
戸無瀬   藤十郎
小浪    壱太郎
奴可内   隼人

藤十郎は、去年顔見世の時より体が動いてなくて少し心配。存在感はさすがにたっぷりだけれど。
壱太郎の小浪は可憐。
この二人で九段目をと思っていたが、もう無理かもしれないなあ。でも八段目だけでもやれて良かった。
隼人の奴は月初は腰が高くて踊れてなかったが、楽にはだいぶ良くなってキビキビした動きも良かった。まあ、手足が長くて奴向きの体型ではないけれど。

河竹黙阿弥 作
三、極付 幡随長兵衛(きわめつき ばんずいちょうべえ)
「公平法問諍」
幡随院長兵衛    吉右衛門
水野十郎左衛門   染五郎
近藤登之助     錦之助
子分極楽十三    松江
同 雷重五郎    亀鶴
同 神田弥吉    歌昇
同 小仏小平    種之助
御台柏の前     米吉
伊予守頼義     児太郎
坂田金左衛門    吉之丞
慢容上人      橘三郎
渡辺綱九郎     錦吾
坂田公平/出尻清兵衛   又五郎
唐犬権兵衛    歌六
長兵衛女房お時   魁春

吉右衛門の長兵衛は何度見てもかっこいい。貫禄十分で、村山座で水野の子分をやっつける姿の颯爽とした様子に惚れ惚れ。だが何より素晴らしいのは台詞の調子。村山座や水野邸での啖呵はもとより、水野の屋敷に行くと決めた後の述懐や女房子供に聞かせる遺言の言葉の一つ一つが際立って胸に響き深く心に届いて震える。声色、調子、間、どこにも隙がなく聞き惚れるとはこのことか。今までも素晴らしかったが、今回は特に名調子に深みが増し、磨きがかかり、酔いしれた。ひたすら男として人間として大きく、だが家庭人としての悲しみもしっかり見せて、存在のすべてに圧倒された。

女房お時は魁春、このコンビはちょっと久しぶりかも。好きな組み合わせなのでうれしかった。控えめながらしっかりと情を伝える世話女房。着替えを手伝いながら、口に出さずとも交わす夫婦の情愛の深さに涙。

水野は染五郎だが、いかんともしがたい貫禄不足。まあ卑怯卑劣な旗本としてはあれくらいで良いのかもしれないけど、やはり水野は長兵衛と同格くらいの役者がやってくれないと、見ていて気分が悪い。こんな奴に殺されるのかよ!とかなっちゃう(苦笑)。
錦之助も最近増えてきた悪役だが、幕切れ、なんとなく播磨屋を見る目が「兄さん、かっこいいなああ」と言ってるように見えた(笑)。

又五郎が「公平問答」の公平から出尻へ早替わりで二役。全然違う役だし、何より公平の赤っつらから出尻へよく間に合うな~、と感心。そしてどちらも味があってうまい。
歌六の唐犬が渋い。

劇中劇の児太郎が何年か前のリベンジを果たした。ほんっとに下手だったんだよあの頃。よくここまで成長したなあ、と妙に感動してしまった。

吉之丞が持ち役だった舞台番から水野の家来に昇格していた。
その舞台番は吉兵衛に受け継がれ。
児太郎の件共々時の流れを感じる。


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8月その他Ⅱ [美術]

8月は展覧会もけっこう行ったけど、記事にする時間がなく。

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吉田博展
昨年、千葉で見たがやっと東京に巡回してきたので再見。やっぱり好きだわ、この人の作品。

ベルギー奇想の系譜
Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_belgium/
ボスやブリューゲルから、20世紀のマルグリッドまで。
前半のボス、ブリューゲルとその後継者の当たりは、ちょっと前に見たブリューゲル展と重なる部分も多く、流してしまった。面白かったのは後半19世紀末以降の、クノップフからアンソール、マルグリッドなどの方。
それにしてもどうしてベルギー地方でこういう画家が輩出されたのか、不思議。

沢田教一写真展
ベトナムなどの戦場写真家として知られ、カンボジアで襲撃されなくなった沢田教一。ピューリッツァー賞受賞の写真や、若い頃の故郷青森で撮った写真など。
アメリカ兵にもベトナム市民(兵)にも公平な眼差しを送った沢田の写真は半世紀を経てなお胸に迫る。

深澤直人がデザインする生活の周囲展
https://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/17/170708/
パナソニック汐留ミュージアム
深澤直人の名前は知らなくても、作品を見れば、あ、これ知ってる。と思うものがいっぱい。
家電、家具、食器、照明器具。。。生活を彩るスマートで出しゃばらないデザインが素敵。
こういうのばっかり家にあったら良いだろうなあ。。。


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8月その他 [舞台]

もう9月に入ってしまって、書き切れなかった8月の観劇記録。

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8月11日(金)
音の会
国立劇場の歌舞伎音楽既成者研修発表会だが、目当ては最後の吉野山。梅乃さんの静と蔦之助さんの忠信。竹本だけの伴奏で、振りも見慣れたものと少し違ったような。

8月21日(月)
歌舞伎座納涼歌舞伎第三部
野田秀樹 作・演出
  野田版 桜の森の満開の下(さくらのもりのまんかいのした)

感想がまとまらず、書けなかった。
所々にぶっ込まれてる歌舞伎要素(勘九郎の毛振り(毛ないけど)とか、耳男と夜長姫が花道を走って入る時、二人の位置がくるっと変わって夜長姫が先に立つとこは曽根崎心中のパロだよなとか)がツボで、普通の歌舞伎公演で二人のこれらが見たいなあ。

勘九郎と猿弥の文字通り体を張った演技が凄い。特にほとんど出ずっぱりの兄。流され振り回され自分を見失う中での最後の覚醒。そして七之助は無邪気な童女のような笑みから鬼女の凄味まで、表情も声色も幅広く見せて圧倒的。二人に圧されてやや影の薄い染五郎は損したかも。

普段野田の芝居を見ないのでこれがどういう位置づけの演目なのかわからない。これを歌舞伎でやる意義も正直言ってわからない。題材的には歌舞伎向きなのかもしれないけど、それならもっと歌舞伎らしい演出というのもあっても良いのでは、と言う気もしないではない。でもそうしないのが野田流なんだろう。

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8月28日(月)
研の會

一、神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)

娘お舟:尾上右近
新田義峯:尾上松也
傾城うてな:市川蔦之助
下男六蔵:澤村國矢
渡し守頓兵衛:片岡市蔵

二、上 羽根の禿(はねのかむろ) 
        禿梅野:尾上右近
  下 供奴(ともやっこ)
        奴菊平:尾上右近

尾上右近の自主公演、三回目。
カテコで「悔しさ一杯」と言うとおり、三回目にしていちばん壁に当たってる感じはした。というか意外に難しい役であり踊りだったな、と見えた。特に踊り。技術は素晴らしい。でも大真面目にやられると見る方は楽しくない。とはいえ、真摯に取り組む姿は清々しい。来年も楽しみだ。

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8月31日(木)
松竹大歌舞伎 巡業西コース

猩々は梅花の酒売りが品があって綺麗。巡業とは言えこういう役で梅花さんを見られるのが嬉しい。猩々は松緑と橋之助。ゆったりとした動きが美しい松緑とキビキビした橋之助の対比が楽しい。

芝翫型の熊谷も回を重ねてすっかり自分のものにした様子。単に珍しい型だからやるではなく、自分に合った型になったのだろう。相変わらずの熱演型なのはおいといて。梅玉の義経がさすがに気品と貫禄で魅せた。
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ボストン美術館の至宝展 [美術]

東京都美術館
http://boston2017-18.jp/

一応章立てとして、古代エジプト、中国、日本、フランス、アメリカ、現代、、、などとなっているのだが、エジプトがあってギリシャやローマがない、とか、フランスといっても19世紀以降ばっかりとか、なんか妙に偏ってるな、と思ったら、作品を寄贈したコレクターごとの特集なのだという。こういう切り口は初めて聞いた。ふうん、なるほど。とはいえ、こちらはコレクターになぞ興味がないので、その辺の説明はさっと流す。

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陳容
《九龍図巻》(部分)
中国美術から。巻物なのでそんなに大きくはないのにこのド迫力。この正面向いた顔、珍しい。
この展覧会でいちばん気に入った作品。

日本画のコーナーでは、曾我蕭白や、酒井抱一、喜多川歌麿など。
英一蝶の巨大な涅槃図が目玉。

フランス絵画は19世紀。ゴッホやモネ、セザンヌなど印象派、ポスト印象派が中心。

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最大の売りはゴッホの「ルーラン夫妻」が揃って出品されていること。
背景も違うし、最初から対になった作品ではなさそう。ルーラン夫人の背景がゴッホらしくて素敵。

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ジャン=フランソワ・ミレー
《編み物の稽古》
貧しいけれど温かな母子の情景。ミレーが農民に注ぐ眼差しが優しい、大好きな一枚。

もちろんご当地アメリカ絵画のコーナーも。オキーフ以外はあまり知らない名前が多かった。
むしろその後の版画、写真のコーナーでホーマー、ホッパー、アンセル・アダムスらが並んでいた。

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エドワード・ホッパー
《機関車》

最後は現代作品。ウォーホール、ホックニーは当然として、並んで村上隆もあった。

ボストン美術館ほどの規模のコレクションから選ぶのだからどれを持ってくるかも決めるのは大変だろう。見る方も、あれが見たかったとか、またこれかとか、贅沢を言い出したらきりがない。
十分に素晴らしい作品が並んでいる。日本で見られるんだからありがたいと思わなくっちゃ。



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