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パリ管弦楽団 [音楽]

11月24日(木) 東京芸術劇場

指揮:ダニエル・ハーディング
ヴァイオリン:ジョシュア・ベル
管弦楽:パリ管弦楽団

ブリテン/ オペラ《ピーター・グライムズ》から 4つの海の間奏曲
ブラームス/ ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
ベルリオーズ/ 劇的交響曲「ロメオとジュリエット」 op.17 から(抜粋)
     ロメオひとり  キャピュレット家の大宴会        
     愛の情景
     マブ女王のスケルツォ
     キャピュレット家の墓地にたたずむロメオ

今年9月にパリ管の音楽監督に就任したばかりのハーディングとのコンビのいわばお披露目。

パリ管というとつい管セクの素晴らしさに耳が行くが今回は弦の良さに瞠目。ブリテンの最初の音で、おや、と思った。透明感のある美しい音色に聞き惚れた。もちろん管は言うまでもなく華麗で豊潤。ああ耳の保養した。

ブリテンでは不穏な響きの中に心を刺激する美しさと激しさが感じられた。
ジョシュア・ベルとのブラームスはベルの疾走感ある演奏と相俟って、聞き慣れた重厚なものとはひと味違う爽快な響きがとても新鮮だった。もっとも、私の好みのブラームスではなかったけれど。とても若々しい、颯爽としたブラームス。スポーツカーですっ飛ばしてるような。ほほ~、こういうのもありか。

初めて聞いたベルリオーズのロメジュリも機知に富んだ音楽がおもしろく、パリ管の芸を堪能。特に管セクはやっぱり凄い。ハーディングは理知的でさっそうとしていて、聞かせどころをきっちり。良いコンビになりそうな予感。デビューとしては上々。

何だろうな、華麗なサウンド、というのはちょっと違う。もちろんいぶし銀でもない。とても上質で品があって美しい音だった。前聴いたときとは何か変わったように思う。また聴きたい。

アンコールなしで、終演が9時20分くらいという長いプログラムだったが、飽きることなく楽しんだ。他のプログラムも聞きたかったな。
        
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円山応挙展 [美術]

根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html

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今年はなんだかあちこちで、開館何十周年記念というのを聞くが、根津も今年開館75周年なんだそう。この展覧会もその記念特別展。

素人の考えだが、日本の画家でいちばん「巧い」のは応挙だと思っている。

根津の応挙と言えば、これ。
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藤花図屏風(1776)
金箔地の豪華な屏風だが、琳派とは全く違う。薄墨で早書きのような枝と、繊細な花の房。背景の余白の方が圧倒的に面積を占める。だが寂しさはない。枝の墨の濃淡が、早い筆の動きのようで考え抜かれていて、花の一つ一つが写実的でありながら装飾的でもあり、しかしあくまで品良く美しく清々しい。

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国宝 雪松図屏風(1786)
三井記念美術館所蔵の、意外なことに応挙では唯一の国宝。前期展示のみだったが、上の藤花図と並べて観られて至福のひととき。
藤花図より10年後、さらに色数は少ない。だがダイナミックな枝ぶり、金に映える雪の白さ、と一見地味だが実は豪奢な絵だと思う。

今回の展覧会の副題は”「写生」を越えて”。
応挙の写実の腕前は素晴らしいが、ただ写生ではなくそこから先、が凄いと言うことだろう。

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牡丹孔雀図(1776)
とは言えこの孔雀の羽の描写の見事さと言ったら、空前絶後の写実力無くしてはありえない。この素晴らしい技術あってこそ、孔雀の生き生きとした姿が眼前に現れる。

4a.JPG
重要文化財 写生図巻より
動物だけでなく、あらゆる草花、木の葉などの写生がびっしり描き込まれた図巻。どれも舌を巻く几帳面さで描き込まれている。でもこのうさぎのもふもふ感といったら!

大きな屏風絵から、色紙大の小さな絵まで、どれも見応えがあって、さすが応挙と唸るものばかり。必見。
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通し狂言 仮名手本忠臣蔵 第二部 [舞台]

国立劇場大劇場

3ヶ月連続の通し上演、真ん中の第二部。

【道行旅路の花聟】
 早野勘平      中 村 錦之助
 鷺坂伴内      坂 東 亀三郎
 腰元おかる     尾 上 菊之助

普通は板付きで始まるが、花道をおかる勘平が駆けてくる登場から。
錦之助の勘平は、色男というのがぴったりで、二枚目のおっとりした風情と、しくじりを犯した武士としての悔しさがないまぜになり、いっそうの色気を醸し出す。いかにも金と力はなさそうだが、後半判内が登場してからは颯爽とした様子。
菊之助のおかるも美しく、ひたすら勘平が好きで、落人の罪の意識よりも、二人で旅することができる嬉しさが勝っている。旅もおかるが主導。
二人が美しくて目の保養。最後の花道でのいちゃいちゃも微笑ましい。

判内は亀三郎。もっとドタバタでもいいけど、程よく行儀良いおかしみを見せて上々。

【五段目】
山崎街道鉄砲渡しの場
   同   二つ玉の場
 早野勘平      尾 上  菊五郎
 千崎弥五郎     河原崎 権十郎
 斧定九郎      尾 上  松 緑

【六段目】
与市兵衛内勘平腹切の場
 早野勘平       尾 上 菊五郎
 原郷右衛門        中 村 歌 六
 勘平女房おかる    尾 上 菊之助
 千崎弥五郎       河原崎 権十郎
 判人源六         市 川 團 蔵
 与市兵衛女房おかや  中 村 東 蔵
 一文字屋お才      中 村 魁 春

五段目の幕が開いて、勘平が笠を取った瞬間客席にじわが来た。菊五郎の顔がそれは若々しく美しかったから。いや、格好いい人なのは前からわかっていたけれど、なんだろうこの全く実年齢を感じさせない華やかな二枚目振りは。いささか驚きである。もちろん見た目だけでなく、芝居の方も素晴らしい。刻々と変わる心理の変化が鮮やかで引き込まれる。不運の連鎖に落ちていく男の哀れさ悲痛さが、色男ゆえに影が濃くくっきりと。それでいて、いかにも演技しているいやらしさが全くなく、どこまでもさらさらと自然に流れるよう。凄いものを見せていると感じさせずに凄いことをやっている。まさに当代一の勘平。

東蔵のおかやは、情があるゆえに転じて勘平を責める老母の悲しさを見せた。
菊之助のおかるは、道行よりこの場の方が神妙で、勘平を思うが故に売られていく哀れさ、最後の別れの切なさをしっとりと。

魁春のお才が如才ない花街の女将の様子。
秀逸なのが團蔵の源六で、軽妙さの中にしたたかさが見え、魁春共々色街の風情が立ち上る。團蔵は先月は加古川本蔵と、全く違う役で幅の広さと演技の確かさを印象づけた。

歌六の郷右衛門が初役とは意外。懐の深い、落ち着きある様子が立派。この頃歌六さんは、左團次さんの持ち役をやることが多くなってきた。いずれ師直もやったりするだろうか。

五段目では松緑の定九郎が、陰影のある非道な悪人ぶりで凄味を見せた。美脚堪能。

【七段目】
祇園一力茶屋の場
 大星由良之助    中 村 吉右衛門
 寺岡平右衛門    中 村 又 五 郎
 赤垣源蔵       坂 東 亀 三 郎
 矢間重太郎      坂 東 亀  寿
 竹森喜多八      中 村 隼  人
 鷺坂伴内       中 村 吉 之 丞
 斧九太夫       嵐   橘 三 郎
 大星力弥       中 村 種 之 助
 遊女おかる      中 村 雀右衛門

吉右衛門の由良之助も当たり役、そして当代随一。もう何も言うことはない、大きくて色気があって。隅々まで神経が行き届き、融通無碍で深く厳しく温かい。ひたすら大きな由良さん。暖簾から姿を見せるだけで客席が吸い込まれるよう。酔態の柔らかさから、力弥への厳しい表情への変化の鮮やかさ。その後もハラを隠しながら時折のぞく真意の見せ方が巧みで一瞬たりと目が離せない。おかるを身請けしようと言って、おかるが喜ぶのを見て扇で顔を隠すところでは、うっすらと涙が浮かんでいた。そして最後の九大夫へ怒りをぶつける場面で、客席も溜飲が下がるカタルシス。存在感に圧倒され台詞の息に飲み込まれて、心捕らわれ揺さぶられた。

又五郎の平右衛門、月初はやや力が入りすぎのように思えたが、だんだん良くなって楽日にはとても良い出来。小身者の悲しさと一生懸命さ、妹を思う情があって優しい兄さん。
雀右衛門のおかるもおっとりとした綺麗さで、身請けされると知った喜びに浮き足立つ様子がいじらしい。
二人の息が良くあって、ほんとうに仲のいい兄妹みたいで可愛かった。

おかるが勘平の死を聞いて「わしゃどうしょう」と言うところで、それはもちろんこれからどうして生きていこうという意味なのだろうけど、勘平の死の原因は自分にあるという罪の意識の重さを凄く感じた。これは通しだからなのか、雀右衛門さんの儚さ故なのかはわからない。でも凄く良かった 。

種之助の力弥、行儀良くすっきり。少年の雰囲気がよく似合う。可愛かった~。
橘三郎の九太夫はすっかり手に入った様子で、欲深い佞奸の様子。
吉之丞の判内は、この役にはちょっと真面目であまりニンではなさそうだが、誠実に勤めていたのがこの人らしい。
今回の上演では、幕開きに九太夫と判内が花道から入ってくる場面が付いた珍しい型。文楽の本行に沿ったやり方。

亀三郎、亀寿、隼人が三人侍。血気にはやった若者の苛立ちを見せた。亀三郎は道行の判内とは全く違った役で、今月大奮闘。

一力の仲居陣が、京妙、京紫、菊三呂らで鉄壁。平右衛門に呼ばれて布団を持ってくるのは京蔵。こういう役にちゃんとはまる脇役さんが揃うと舞台が安定する。

勘平の菊五郎、由良之助の吉右衛門、共にこれからの手本となるべき名演。今これを観られて本当に良かった。ありがたい。
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吉例顔見世大歌舞伎 夜の部 [舞台]

11月20日(日) 歌舞伎座

一、元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)
御浜御殿綱豊卿
徳川綱豊卿   仁左衛門
富森助右衛門   染五郎
中臈お喜世   梅枝
中臈お古宇   宗之助
津久井九太夫   橘太郎
小谷甚内    松之助
上臈浦尾    竹三郎
御祐筆江島   時蔵
新井勘解由   左團次

仁左衛門の綱豊が当代最高であることは間違いない。台詞回しの明瞭さ、人格の大きさ、複雑な心理の綾を克明に描き出す上手さ。ただただ舌を巻く。
とは言え、個人的にこの綱豊が好きかというと話は別だ。もう少し大大名の殿様の鷹揚さとか、人の目を誤魔化すために酒色にふけっている鬱屈とか、そういうものがほしい。つまり仁左衛門の綱豊は怜悧すぎる嫌いがある。だから助右衛門と対峙していてもなんだか猫が鼠をいたぶっているような感じがしてしまい、いやまあ実際そうなのかもしれないけど、わずかに嫌悪感が起きる。それともそこが狙いだろうか。
だいたい綱豊という人は複雑で腹の底が知れない。赤穂浪士に吉良を討たせたいというのも侍心と言うより、現政権に一泡吹かせたい気持ちなのではないのか。自分は手を出さず、身に一つ傷をつけることなく、幕府の体面を汚すことを望んでいるずるさのようなものがちらちら見える。だからこそ、助右衛門に作り阿呆と言い寄られて激怒するのだろう。仁左衛門の綱豊はそういう計算高さがほの見え、助右衛門に痛いところを突かれての悲しみが見える。ものすごく近代リアリズムの綱豊。

染五郎の助右衛門は、わざとがさつな浪人を装い、本心を隠し通そうとする。だが心底は吉良を討ちたい一心という真っ直ぐさ。綱豊の言葉を必死にかわし、逃れながら、それでもそうせざるをえないのがなによりの証拠となっている辛さと悲しさ。染五郎は喉がやや荒れていたが、聞きづらいほどではなく、助右衛門と綱豊の心理戦のような台詞の応酬をよく聞かせ、綱豊の厳しい尋問(?)に必死で堪え、逆襲する。助の心の強さと迷いと一途な悲しさが見えた。

梅枝のお喜世が可憐。でも梅枝と仁左衛門だと、あまり閨を共にしている感じがなくて、愛妾と言うより愛玩動物のような可愛がられ方ではないかと想像したりして。
時蔵の絵島が貫禄。できる祐筆、キャリアウーマンという感じ。
竹三郎がいかにも意地悪そう。
左團次の勘解由がさばけた知者の趣。
     
二・口上
割と真面目な口上が多かった先月に比べ、今月は比較的くだけた内容の人が多かったかも。
秀太郎「新芝翫さんは優しくて先日昔の懐かしい舞台の録音CDを下さった」
染五郎「僕には貼るだけで効くテープを」
鴈治郎「僕はまだ何ももらってません」場内爆笑。
左團次さんはもちろん例の「不徳のいたすところ」をきっちり。
珍しく仁左様が「今月は先程の綱豊でたくさんしゃべっておりますので、来年1月の松竹座での口上でもっと話しますから、松竹座にもお運びを」

近江源氏先陣館
三、盛綱陣屋(もりつなじんや)
佐々木盛綱   橋之助改め芝翫
篝火      時蔵
伊吹藤太   鴈治郎
早瀬     扇雀
信楽太郎   染五郎
四天王   萬太郎
同      竹松
同      尾上右近
同      廣太郎
小四郎    左近
古郡新左衛門   秀調
竹下孫八   彌十郎
北條時政   彦三郎
微妙     秀太郎
和田兵衛秀盛   幸四郎

芝翫の盛綱はきっちりとした官僚のような武士の趣。和田兵衛と対峙するも淡々と、母に甥の小四郎を切腹させるよう頼む時も、苦悩の中にも情に流されない物堅さ。それが首実検で弟の真意を察し、時政を欺いたあとは、ガラッと熱血叔父になって、まわりの家族に事情を話し甥を褒めるが、そこがどうも力が入りすぎて叫びがちになってしまう。ううん、一生懸命なのはわかるんだけど。。。熱が入るのと、声高になるのは別物。その案配をマスターしてほしい。

秀太郎の微妙は武家の後室らしいきりっとした様子と、孫が可愛いおばあさまとの二面を良く見せたが、どちらかというとおばあさまが勝っている。この役は難しい。立ち役が加役としてやる方がすんなりいくのかも。
左近の小四郎が達者。子役らしい発声、台詞回しの範囲内に納めながら、とてもしっかりした芝居を見せていた。いいなあ、左近ちゃん。がんばれ。将来が楽しみ。

時蔵の篝火も、母の優しさと情を見せながら、武家の妻女らしいきびきびした様子。
対する扇雀の早瀬も凛とした妻女ぶりで、兄嫁の格を見せた。
染五郎と鴈治郎の注進が、それぞれの特徴を出して見せた。特に鴈治郎が軽妙でおかしく、一服の息抜き。
幸四郎の和田兵衛がさすがに大きい。
   
四、芝翫奴(しかんやっこ)     
奴駒平    福之助

息子らの襲名披露、夜はこれで、8日ずつくらい順番に勤めた。私が見た日は最後の二男福之助の日。
すごく上手いというわけではないが、とにかく一生懸命行儀良く踊っていて、微笑ましかった。精進してがんばって。
  
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ゴッホとゴーギャン展 [美術]

東京都美術館
http://www.g-g2016.com/

ゴッホ(1853~1890)とゴーギャン(1848~1903)という、ポスト印象派を代表する画家であり、また一時期アルルで共同生活を送った二人を取り上げた展覧会。こういう企画展は日本初だそう。ちょっと意外な気もする。
ほんの一時期交錯し、また離れていった二人の人生と画業をたどり、さらに二人と関わりのあった印象派の画家の作品も。

日本ではどうもゴッホの方が人気があるような気がする。そうでもないかな。バブル期に「ひまわり」に何十億円とか言う話題もあったような。

初期から観ていくと、ゴッホはオランダからパリに出て一気に色彩が変わったのがよくわかる。さらにアルルの陽光の下で輝くような絵を描き始める。

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ゴッホ「収穫」1888
アルルに来た年に描かれた。光溢れる大気、輝く大地と実り。ゴッホの意気揚々とした心が伝わるよう。

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ゴーギャン「ブドウの収穫、人間の悲惨」1888
一方パリに生まれたゴーギャンは、ブルターニュに行った後、ゴッホの呼びかけに応じてアルルへ。やはりアルルで描かれた、こちらはゴッホとは全く違って、幻想的で、現実の収穫風景とゴーギャンの想像が混じり合う。
同じアルルにいて、同じ収穫を描いてもこんなに違う二人。
まあ、共同生活が長続きするはずないな、と絵を観ても納得する。

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ゴッホ「ジョゼフ・ルーランの肖像」1889
あの耳切事件の後。ゴーギャンも去ったアルルで描かれた1枚。
ゴーギャンはいなくなったけれど、それまで写生的な絵が多かったゴッホの絵に、この絵の背景の花のような装飾的なものが見えるのは、ゴーギャンの影響かしらとも思える。精神病院に入る前の、短い安定の時期だろうか。。。

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ゴーギャン「タヒチの3人」
アルルを離れたゴーギャンはタヒチへ。ブルターニュからアルルへ、そしてタヒチへ。それぞれの場所でその土地から霊感を得た絵を描き続けて1903年に亡くなる。

二人の他に、ミレー、コロー、ピサロ、モネらの作品も結構並んでいて、見応えがある。
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禅 ~ 心をかたちに展 [美術]

東京国立博物館
http://zen.exhn.jp/
臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念として、有名禅寺の宝物や貴重な書などを一堂に集めた展覧会。
近頃は禅がブームとやらで、日曜座禅なども盛んだとか。

第一章 禅宗の成立
達磨(だるま)がインドから渡来し、中国で禅宗が成立するまでを歴代の祖師像等でたどる。肖像画が多く、個人的には同じような絵が多く(失礼)、さっさと流し見。
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国宝 慧可断臂図(えかだんぴず) 室町時代・明応5年(1496)
雪舟等楊筆 愛知・齊年寺蔵
ああ、これは有名な絵。ごつごつとした岩の中にたたずむ達磨の簡略な描写が神秘性を帯びる。

第二章 臨済禅の導入と展開
ここも肖像画や書など。

第三章 戦国武将と近世の高僧
ここでは禅に帰依した武将の肖像画など。信長や秀吉なども。

第四章 禅の仏たち
禅宗特有の像容や作風を示す仏像や仏画など。禅の仏様って、他のと違うのか知らん。よくわからないけど。
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十八羅漢像のうち 羅怙羅尊者(じゅうはちらかんのうち らごらそんじゃ)(部分)
范道生作
江戸時代・寛文4年(1664)
京都・萬福寺蔵
顔は醜いけど心には仏を宿している、と自ら示している像なのだそう。珍しい形態。
横で見ていた若いカップルが「怖い、ダースベーダーみたい」と言ってるのが聞こえて可笑しかった。

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慧可断臂図 白隠慧鶴筆 江戸時代 18世紀 
大分・見星寺蔵
上の雪舟の絵と同じ題材でこの違い。白隠のユーモアたっぷりな絵は庶民に禅の教えを伝えるのに有効だった。

第五章 禅文化の広がり
いちばん楽しみにしていたのはここ。禅寺から始まった茶の湯の世界、方丈を飾った障壁画など。

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国宝 油滴天目(ゆてきてんもく)建窯
中国 南宋時代・12~13世紀
大阪市立東洋陶磁美術館蔵
名品中の名品。内と外にびっしりとできた油滴が美しい。

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重要文化財 呂洞賓図(りょどうひんず)(部分)
雪村周継筆 室町時代・16世紀
奈良・大和文華館蔵
一瞬、蕭白か知らんと思ったが雪村。奇抜なポーズがおもしろく、龍の表情もユーモラス。

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龍虎図屏風(りゅうこずびょうぶ)
狩野山楽(かのうさんらく)筆 安土桃山〜江戸時代 17世紀|京都・妙心寺蔵
山楽らしい豪華で大胆で、でも隅々まで神経の行き届いた絵。虎も龍も表情が生き生き。

他にもこのコーナーでは探幽や等伯などの絵が並んで壮観。

個人的には特に禅に関心があるわけでもなく知識もないので、前半の開祖らの肖像画や書はあまり興味が無くて面白くなかったけど、後半は俄然テンションが上がった。もちろん禅に興味がある人ならもっと楽しめると思うが、単なる美術ファンでも十分楽しい。


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クラーナハ展 [美術]

国立西洋美術館
http://www.tbs.co.jp/vienna2016/

ドイツ・ルネサンスを代表する画家、ルーカス・クラナーハ(父・1472-1553年)の日本初の展覧会。
そうか、初めてなのか。ドイツの美術館の展覧会だと、1,2枚来たりするけど、まとまって観る機会はこれまでなかったのだ。

これまであまり知られていなかった若い頃の作品や、版画も含め、クラーナハの画業をまとめて見せてくれる。

肖像画では、ザクセン公国の宮廷画家として活躍し、ザクセン選帝侯やその周辺の身分の高い人々の肖像を手がけている。それらは高価な衣装をまとい、貴金属を身につけた豪華な姿。

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「ザクセン選帝侯アウグスト」「アンナ・フォン・デーネマルク」
この二枚は、息子の方のルーカス・クラナーハの作品。父譲りの技術の高さがうかがえる。二人の衣装の豪華さとそれを見事に描き出した力に目を奪われる。

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ルカス・クラーナハ(父)《ホロフェルネスの首を持つユディト》
これは肖像画ではないけれど、父クラナーハの特徴がよく出た1枚。切り落とした敵将の首を持ってうっすらと微笑む美女。ある意味怖い怖い絵なんだが、このクールビューティのなんと魅惑的なこと。そしてこの旧約聖書の物語の人物に当時最先端の豪華な衣装とアクセサリー。

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ルカス・クラーナハ(父)《泉のニンフ》
だがクラナーハと言えばなんと言っても裸体画。

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ルカス・クラーナハ(父)《正義の寓意》
二枚とも、良く見ないとわからないくらいな薄いヴェールをまとっている。まるで隠すほどに現れるとでも言うように、それがかえってエロティシズムを感じさせる。

イタリア・ルネッサンスの絵画ももちろんヌードはいくらでもある。ボッティチェリしかり、ミケランジェロしかり。だがクラーナハほどの隠微なエロさはないように思う。そう、隠微で蠱惑的。ちょっとした不健全さと背徳の味。なんともゾクゾクするような魅力がある。

それにしてもクラーナハの描く女って、大抵ちょっと目がつり上がった狐目。男はそうでもないのに。こういう顔のモデルが好きだったのかな、なんて。

この展覧会では、クラーナハに影響されたピカソなどの作品も展示。さすがの換骨奪胎ぶりに感心する。
クラーナハの絵をこれだけまとめて観られるのは次はいつになるかわからない。必見の展覧会。

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吉例顔見世大歌舞伎 昼の部 [舞台]

11月7日(月) 歌舞伎座
1611歌舞伎座昼.jpg
二ヶ月連続の芝翫と息子たちの襲名披露公演。

一、四季三葉草(しきさんばそう)
翁     梅玉
千歳    扇雀
三番叟   鴈治郎

三番叟もののヴァリエーションだが、千歳が女だったり、長さ的にも短めで、厳かと言うより華やかでライトな印象。
梅玉は翁と言ってももちろん老人のなりではなく、気品ある様子。
扇雀の千歳がしっとりと美しい。
出てきた時誰この二枚目、と思った鴈治郎の三番叟、きびきびとした踊りが気持ちよい。
短いが幕開きらしい華やかな舞台。

二、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)
粂寺弾正    染五郎
秦秀太郎    松也
腰元巻絹    梅枝
小野春風    萬太郎
八剣数馬    廣太郎
錦の前     児太郎
小原万兵衛    亀鶴
小野左衛門春道   門之助
秦民部     高麗蔵
八剣玄蕃   彌十郎

染五郎の弾正は明るくてスマートでこの芝居のおおらかさとは少し違うような。やってることがおかしいわけじゃない。本人も楽しそう。でもこの歌舞伎十八番の古風な演目の面白さとは相容れない雰囲気がするように感じてしまった。近代的なんだな。血かしら。 それに秀太郎や巻絹にセクハラまがいのことをするスケベさも、ちょっとお上品で面白くない。なんかいろいろ物足りない。この弾正には、荒事でこそないが、もっと稚気あふれる豪快磊落さとゲスすれすれの可笑しさがほしい。

松也の秀太郎、若衆で似合いと思いきや、意外と固いというか重め。
梅枝の巻絹はもはや役不足ではないかと思われ。
萬太郎の春風、とても腰元に手を出して身籠もらせたとは思えないおぼこさ。(笑)
門之助の殿様の方がよっぽど、、、はともかく、さすが殿様の風格。
彌十郎の玄蕃はもう少し悪人の黒さがほしい。
などなど、みんなもう一つ二つ足りない感じがする芝居だった。歌舞伎十八番の馬鹿馬鹿しい楽しさがいまいち感じられず。

三、祝勢揃壽連獅子(せいぞろいことぶきれんじし)
狂言師後に親獅子の精  橋之助改め芝翫
狂言師後に仔獅子の精  国生改め橋之助
狂言師後に仔獅子の精  宗生改め福之助
狂言師後に仔獅子の精  宜生改め歌之助
長楽坊   萬太郎
萬年坊   尾上右近
昌光上人   梅玉
慶雲阿闍梨   仁左衛門
文殊菩薩   藤十郎

この襲名のために新しく振り付けや間狂言が作られた、おそらく史上初の四人連獅子。
四人とあって普通とはいろいろフォーメーションが違って面白い。前シテはそれほどでもないが、後シテはせりを使ったりかなり違いがあった。踊りや毛振りそのものは、まあがんばってね、とゆるく見守る(何様)。
間狂言も特別編。出てくるだけでありがたい藤十郎の文殊菩薩を中心に仁左衛門梅玉が華を添える豪華版だが、演し物としてはいつもの宗論の方が面白いわ。

河竹黙阿弥 作
盲長屋梅加賀鳶
四、加賀鳶(かがとび)
本郷木戸前勢揃いより
赤門捕物まで
天神町梅吉/竹垣道玄  幸四郎 
女按摩お兼   秀太郎
お朝   児太郎
道玄女房おせつ  梅花
おつめ婆   歌女之丞
伊勢屋与兵衛   錦吾
日蔭町松蔵   梅玉

高麗屋がフリーダムで面白い。なんかいろいろ、この人もここまで来たか、みたいな感じで。天王寺屋なんかだと、悪人だけど愛嬌もあって憎めないところもある、と言う道玄だが、幸四郎だとずっとダークで、前にやっていた不知火検校に通じるような悪に開き直った感じもある。好みが分かれそう。

秀太郎のお兼がまた傑作。道玄と組んで悪事を働いても全く悪びれるところがなく、道玄のどす黒さに対してやけに明るい。年増の色気もプンプン。この方、夜は盛綱陣屋の微妙やってるんだよねえ。役者って凄い。  

梅玉が松蔵で付き合う。さらりと気っ風のよいところを見せ、儲け役。質屋で道玄をやり込めるのが、淡々としかしぐうの音も出ないように追い詰める小気味よさが気持ちいい。

まあしかし、始めの加賀鳶勢揃いこそ賑やかで良いが、終わりはあれだし、何も襲名公演で掛けなくても良いんじゃないか、と言う気はした。全般に昼の部は、襲名公演という盛り上がりが全く感じられなかった。先月は、口上以外の「女暫」や「外郎売」の中で襲名に触れる台詞があったりしてお祝い気分があったけど、少なくとも昼の部にはそういうのが全くなかったせいもあるが。 
     
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平安の秘仏展 [美術]

東京国立博物館
http://hibutsu2016.com/index.html

滋賀県甲賀市の天台宗の古刹、櫟野寺(らくやじ)に伝わる仏像の特別展。平安時代の仏像20体が全て重要文化財に指定されているという宝庫だが、寡聞にしてこのお寺の名前も初めて知った。どうして京からも奈良からも離れた甲賀にこんな立派な仏様がいらっしゃるのかしらと思ってしまう。

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ご本尊は十一面観音菩薩坐像。本体だけで高さ3メートルを超す大きさに圧倒される。下膨れの量感あるお顔、どっしりとしたスタイル。光背や頭の飾りの美しさや頭上の十一面観音の表情の豊かさも目を引く。

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観音菩薩立像
こちらも観音様。立像で、細身のスタイルに小顔、と上のご本尊とは趣は違うが美しい。衣紋の襞まで優美に表現されているのも素敵。

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毘沙門天立像
これはまたどっしりとした量感があって、迫力のあるお姿。全体的に太めの体つきも親しみがわく。

全部で20体、同じ人または工房で作られたのか似た感じのも数体。10~12世紀、甲賀で仏教が盛んだったことを偲ばせる。

夜間開館時に行ったせいか、人も少なくてじっくり拝見できて、心が洗われるような気持ちになった。
甲賀までは滅多に行けないし、行けてもいつも公開しているわけでもない秘仏をこうして拝見できてありがたい。
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内田光子&マーラー・チェンバー・オーケストラ [音楽]

11月4日(金) サントリーホール

指揮とピアノ : 内田光子
マーラー・チェンバー・オーケストラ

モーツァルト : ピアノ協奏曲第19番 ヘ長調 K459
武満徹  : 弦楽のためのレクイエム
モーツァルト : ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K466


内田光子さんの名前を初めて知ったのは、30年くらい前、ジェフリー・テイト指揮のイギリス室内管とモーツァルトの協奏曲全曲集のCDを出し始めた時。その時買った、20番と21番のCDは今も愛聴盤。これまで生を聴く機会はなかったが、その20番をやると知ってどうしても聴きたくなり、足を運んだ。

内田さんのピアノは、繊細で、音の粒が立ってキラキラ光るようで、と言っても真珠のような優しい光であくまで上品。と言ってただ綺麗なだけではなく、芯が通って意志の強さも感じさせて気高い。本当に素敵だった。

オケの評価にはやや迷う。上手いしアンサンブルも良い。でも音が若い。よく言えば勢いがある。悪く言えば繊細な陰が足りない。特に20番の協奏曲の短調。”モオツアルトのかなしみ”とも言うべき儚さがもっと感じられたら、と思う。

アンコールは内田さんのソロでスカルラッティのソナタ。これがまた美しくて天上の音楽みたいだった。まさしく心が洗われるような。良いものを聴かせてもらったなあとしみじみ。ありがとうございました。

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