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團菊祭 昼の部 [舞台]
5月7日(月)

私にとって連休最終日。團菊祭を観てから帰京というのがこの数年お決まりコース。
一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
寺子屋
松王丸 松 緑
武部源蔵 海老蔵
源蔵女房戸浪 梅 枝
御台園生の前 吉 弥
涎くり与太郎 亀 寿
春藤玄蕃 亀三郎
松王女房千代 菊之助
海老蔵の源蔵以外は初役もしくは初見。花形團菊祭と言った顔ぶれ。
松緑の松王丸は、前半は貫禄や大きさを出そうと腐心するのに意識が行き過ぎな感じ。台詞もゆっくりめ、所作も丁寧にきっちりで悪くはない。首実検の緊張感もなかなか。ただまだ手探りというか、硬さも感じた。まだ始まったばかりだから、月後半はもっと良くなるかも。
でも後半の方がずっと良かった。松王丸がまとっていた時平の家来という仮面が取れたのと同時に松緑も一枚脱げたのかも。自然に息子を犠牲にした悲しさ辛さが出て、「桜丸が不憫でござる」からの大泣きも上手く持って行って、期待以上にこちらも泣けた。
ただ前半の音羽屋型の銀鼠の衣装より一般的な黒地の方がこの人は似合いそう。
出色は菊之助の千代。武家の妻女らしい落ち着きと品の中に母親の慟哭を見せ、それは立派。大仰に泣くわけではないのに、悲しみがひしひしと伝わり、戸浪が抱いてきた小太郎の遺骸を見て顔を背けるしぐさや、焼香の手をふと止める、そんな細かいしぐさにも悲痛さが溢れて涙。松緑が後半良くなったのは、菊之助に助けられた面もかなりあると思う。
海老蔵の源蔵は二回目だが、全体に動作も台詞も大げさでオーバー気味。
梅枝の戸浪も源蔵につられてやや大げさ。初役にしては良くやってはいたけれど。でもこの人は義太夫の台詞がちゃんと言えるから、先が楽しみ。
涎くりが無駄に男前(笑)
二、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)
山蔭右京 菊五郎
太郎冠者 権十郎
侍女千枝 巳之助
同 小枝 尾上右 近
奥方玉の井 團十郎
誰がどうやってもそれなりに楽しめる演目だから、言うこともないけれど、菊五郎の右京はやっぱり当代一、二を争う。浮気はしたいが山の神は怖い、と言う男の可笑しさと可愛さに溢れて、あと一歩で下品になるすれすれを自在に踊る愛嬌と色気、軽妙さがありさすがに上手い。
團十郎玉の井も怖そうでやっぱり可愛い奥方。いや、怖さでは他の人よりむしろ抑えめか。そんなに「がおー」って感じじゃなかったし(笑)。でも普段荒事やってる成田屋さんが、って思うだけで笑えてしまう。
巳之助と右近が可憐。
権十郎の太郎冠者は手堅いが、出来れば亀三郎あたりで見たかった気も。
恋飛脚大和往来
三、玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり)
新町井筒屋の場
亀屋忠兵衛 藤十郎
傾城梅川 菊之助
丹波屋八右衛門 三津五郎
井筒屋おえん 東 蔵
槌屋治右衛門 左團次
藤十郎の忠兵衛は至芸の粋で、ますます自在。あほでだらしなくて、でも色男で憎めない、あのじゃらじゃら加減と、切羽詰まった悲壮感を同時に出せるのはこの人だけ。一人別の次元。しかしお元気だね。二階から降りてくる勢いも衰えないし。
最後の引っ込みが年々時間が掛かるようになってる。引っ張ること引っ張ること。2、3階からだともう姿が見えないのになかなか幕が閉まらない。早く行かないと梅川待ってるで~って心配になるくらい。ちょっとやり過ぎじゃないかな、と言う気がする。
菊之助初役の梅川は、可愛く色気と健気さあり大健闘。大御所藤十郎相手に、不釣り合い感全くなし。綺麗だったわあ。でももう少し抜けた感じがほしい。頭良さそうに見えちゃう。梅川もアホやねんから。
三津五郎の八右衛門は憎らしさもあり、テンポ良く畳みかける調子が上手い。でもやっぱり江戸前だなあ。まあ、藤十郎以外みんな江戸前だったけど。
東蔵のお縁は人のよい感じは良いが、花街の女将のあだっぽさがなく、堅気の商人のおかみさんみたいだった。
左團次の治右衛門は懐深い男気ある様子が上々。
昼夜両方観ると、今年の團菊祭は菊之助が随一の出来。ほとんど菊ちゃん祭り状態。三役とも素晴らしかったし、綺麗だったし。
後、昼夜のバランスが悪い感じ。最後の演目入れ替えた方が良かったんじゃないかな。昼に名作が固まっちゃった気がする。
私にとって連休最終日。團菊祭を観てから帰京というのがこの数年お決まりコース。
一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
寺子屋
松王丸 松 緑
武部源蔵 海老蔵
源蔵女房戸浪 梅 枝
御台園生の前 吉 弥
涎くり与太郎 亀 寿
春藤玄蕃 亀三郎
松王女房千代 菊之助
海老蔵の源蔵以外は初役もしくは初見。花形團菊祭と言った顔ぶれ。
松緑の松王丸は、前半は貫禄や大きさを出そうと腐心するのに意識が行き過ぎな感じ。台詞もゆっくりめ、所作も丁寧にきっちりで悪くはない。首実検の緊張感もなかなか。ただまだ手探りというか、硬さも感じた。まだ始まったばかりだから、月後半はもっと良くなるかも。
でも後半の方がずっと良かった。松王丸がまとっていた時平の家来という仮面が取れたのと同時に松緑も一枚脱げたのかも。自然に息子を犠牲にした悲しさ辛さが出て、「桜丸が不憫でござる」からの大泣きも上手く持って行って、期待以上にこちらも泣けた。
ただ前半の音羽屋型の銀鼠の衣装より一般的な黒地の方がこの人は似合いそう。
出色は菊之助の千代。武家の妻女らしい落ち着きと品の中に母親の慟哭を見せ、それは立派。大仰に泣くわけではないのに、悲しみがひしひしと伝わり、戸浪が抱いてきた小太郎の遺骸を見て顔を背けるしぐさや、焼香の手をふと止める、そんな細かいしぐさにも悲痛さが溢れて涙。松緑が後半良くなったのは、菊之助に助けられた面もかなりあると思う。
海老蔵の源蔵は二回目だが、全体に動作も台詞も大げさでオーバー気味。
梅枝の戸浪も源蔵につられてやや大げさ。初役にしては良くやってはいたけれど。でもこの人は義太夫の台詞がちゃんと言えるから、先が楽しみ。
涎くりが無駄に男前(笑)
二、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)
山蔭右京 菊五郎
太郎冠者 権十郎
侍女千枝 巳之助
同 小枝 尾上右 近
奥方玉の井 團十郎
誰がどうやってもそれなりに楽しめる演目だから、言うこともないけれど、菊五郎の右京はやっぱり当代一、二を争う。浮気はしたいが山の神は怖い、と言う男の可笑しさと可愛さに溢れて、あと一歩で下品になるすれすれを自在に踊る愛嬌と色気、軽妙さがありさすがに上手い。
團十郎玉の井も怖そうでやっぱり可愛い奥方。いや、怖さでは他の人よりむしろ抑えめか。そんなに「がおー」って感じじゃなかったし(笑)。でも普段荒事やってる成田屋さんが、って思うだけで笑えてしまう。
巳之助と右近が可憐。
権十郎の太郎冠者は手堅いが、出来れば亀三郎あたりで見たかった気も。
恋飛脚大和往来
三、玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり)
新町井筒屋の場
亀屋忠兵衛 藤十郎
傾城梅川 菊之助
丹波屋八右衛門 三津五郎
井筒屋おえん 東 蔵
槌屋治右衛門 左團次
藤十郎の忠兵衛は至芸の粋で、ますます自在。あほでだらしなくて、でも色男で憎めない、あのじゃらじゃら加減と、切羽詰まった悲壮感を同時に出せるのはこの人だけ。一人別の次元。しかしお元気だね。二階から降りてくる勢いも衰えないし。
最後の引っ込みが年々時間が掛かるようになってる。引っ張ること引っ張ること。2、3階からだともう姿が見えないのになかなか幕が閉まらない。早く行かないと梅川待ってるで~って心配になるくらい。ちょっとやり過ぎじゃないかな、と言う気がする。
菊之助初役の梅川は、可愛く色気と健気さあり大健闘。大御所藤十郎相手に、不釣り合い感全くなし。綺麗だったわあ。でももう少し抜けた感じがほしい。頭良さそうに見えちゃう。梅川もアホやねんから。
三津五郎の八右衛門は憎らしさもあり、テンポ良く畳みかける調子が上手い。でもやっぱり江戸前だなあ。まあ、藤十郎以外みんな江戸前だったけど。
東蔵のお縁は人のよい感じは良いが、花街の女将のあだっぽさがなく、堅気の商人のおかみさんみたいだった。
左團次の治右衛門は懐深い男気ある様子が上々。
昼夜両方観ると、今年の團菊祭は菊之助が随一の出来。ほとんど菊ちゃん祭り状態。三役とも素晴らしかったし、綺麗だったし。
後、昼夜のバランスが悪い感じ。最後の演目入れ替えた方が良かったんじゃないかな。昼に名作が固まっちゃった気がする。
團菊祭 夜の部 [舞台]
5月6日(日) 松竹座
速いもので、大阪で團菊祭が行われるようになってもう3回目。歌舞伎座建て替え中に代わりの小屋として始まったわけだが来年はどうなるんだろう。
今年の團菊祭は、久しぶりに海老蔵も加わって、菊五郎劇団と成田屋との主立った顔ぶれが揃ったかな。
一、絵本太功記(えほんたいこうき)
尼ヶ崎閑居の場
武智光秀 團十郎
操 時 蔵
武智十次郎 菊之助
佐藤正清 海老蔵
初菊 梅 枝
皐月 東 蔵
真柴久吉 菊五郎
昨年4月の演舞場でも團十郎の光秀と菊五郎の久吉で観ているが、他はかなり入れ替わった。
團十郎については言うことなし。どちらかというとネアカなこの人には珍しい沈静気味の役だが、貫禄大きさ十分。心ならずも主殺しとなり、母と息子を同時に失う苦悩と悲しさを見せた。
菊之助の十次郎が、品あり、凛々しさあり、美しさありでそれは立派。幕開き暖簾口から出てきただけで匂い立つような華やかさ。祖母をいたわり、父を案じながら死んでいく姿に悲痛さが見えて涙を誘う。
梅枝の初菊が可憐。一途に十次郎を慕う姿が哀れ。
菊之助との釣り合いも良く、美しいカップル。
時蔵の操はさすがに品良く、武家の妻らしい気丈さと、姑や夫に仕える控えめな様子、それが息子の死を前に夫に必死の意見をする様子に芯の強さが見える。義太夫の糸に乗ったクドキが上手い。
菊五郎の久吉、颯爽とした智将の雰囲気がぴったり。
東蔵の皐月は孫への愛情を見せたが、死をもって息子を諫める厳しさがやや弱い。
海老蔵はいさましいが、相変わらず台詞が不明瞭。
二、高坏(たかつき)
次郎冠者 海老蔵
太郎冠者 亀 寿
大名某 市 蔵
高足売 松 緑
配役見たときから、なんで?な演目。他に踊りの上手い人はいくらでもいるのに、なんで海老蔵で高坏なのか。
案の定、眼目のタップダンスもどきのところは、やっとこさステップを踏んでいるかいないかの次元で話にならない。今までこの演目、勘三郎に現勘九郎と踊り達者な人でしか観たことがないから、余計に海老蔵の下手さが際立ってしまう。去年の鏡獅子はもうちょっとマシだったけどねえ。
とは言え、踊り以外の部分では、いかにも頭の足りないあほっぽいところが意外によく出て、へらへらしたところなどちょっと可愛かったり。ただ、最初から酔っ払いのような赤みが差したメークなのはどうかと思う。
松緑の方はいたって真面目、神妙。おかしみも抑え気味。やや堅すぎる感じも。
海老蔵と松緑って、昔は三之助とか言って良く一緒にされてたけど、芸風もまったく違うし、あまり息が合うようにも見えないのだが。
三、ゆうれい貸屋(ゆうれいかしや)
桶職弥六 三津五郎
家主平作 團 蔵
屑屋の幽霊又蔵 市 蔵
娘の幽霊お千代 梅 枝
弥六女房お兼 吉 弥
魚屋鉄造 権十郎
鉄造女房お勘 秀 調
芸者の幽霊染次 時 蔵
菊五郎劇団お得意の世話物で、軽妙な筋運びの中に人生訓が入り込むのだが、う~ん。
役者はみんながんばってる。
三津五郎はぐうたらな職人の風情がよく似合うし、時蔵は芸者の粋で気っ風の良い雰囲気があって綺麗。
そして確かに笑えるんだ。笑えるんだけどね。
幽霊の又蔵が「生きてるうちが花ですよ」って言うんだけど、台詞でそれを言っちゃ芝居としてどうなのかな、と。観客が芝居を観てそう思うように仕向けるのが芝居じゃないのかなあ、と言う気がするのです。
笑って、ほろっとして、「ああ、死んじまったらおしまいだな」って思うんでないと。
三津五郎さんは好きな役者なだけに、今月唯一の主役がこの演目というのももったいなく、せめて踊りの演目でもあればなあ、と思った。
速いもので、大阪で團菊祭が行われるようになってもう3回目。歌舞伎座建て替え中に代わりの小屋として始まったわけだが来年はどうなるんだろう。
今年の團菊祭は、久しぶりに海老蔵も加わって、菊五郎劇団と成田屋との主立った顔ぶれが揃ったかな。
一、絵本太功記(えほんたいこうき)
尼ヶ崎閑居の場
武智光秀 團十郎
操 時 蔵
武智十次郎 菊之助
佐藤正清 海老蔵
初菊 梅 枝
皐月 東 蔵
真柴久吉 菊五郎
昨年4月の演舞場でも團十郎の光秀と菊五郎の久吉で観ているが、他はかなり入れ替わった。
團十郎については言うことなし。どちらかというとネアカなこの人には珍しい沈静気味の役だが、貫禄大きさ十分。心ならずも主殺しとなり、母と息子を同時に失う苦悩と悲しさを見せた。
菊之助の十次郎が、品あり、凛々しさあり、美しさありでそれは立派。幕開き暖簾口から出てきただけで匂い立つような華やかさ。祖母をいたわり、父を案じながら死んでいく姿に悲痛さが見えて涙を誘う。
梅枝の初菊が可憐。一途に十次郎を慕う姿が哀れ。
菊之助との釣り合いも良く、美しいカップル。
時蔵の操はさすがに品良く、武家の妻らしい気丈さと、姑や夫に仕える控えめな様子、それが息子の死を前に夫に必死の意見をする様子に芯の強さが見える。義太夫の糸に乗ったクドキが上手い。
菊五郎の久吉、颯爽とした智将の雰囲気がぴったり。
東蔵の皐月は孫への愛情を見せたが、死をもって息子を諫める厳しさがやや弱い。
海老蔵はいさましいが、相変わらず台詞が不明瞭。
二、高坏(たかつき)
次郎冠者 海老蔵
太郎冠者 亀 寿
大名某 市 蔵
高足売 松 緑
配役見たときから、なんで?な演目。他に踊りの上手い人はいくらでもいるのに、なんで海老蔵で高坏なのか。
案の定、眼目のタップダンスもどきのところは、やっとこさステップを踏んでいるかいないかの次元で話にならない。今までこの演目、勘三郎に現勘九郎と踊り達者な人でしか観たことがないから、余計に海老蔵の下手さが際立ってしまう。去年の鏡獅子はもうちょっとマシだったけどねえ。
とは言え、踊り以外の部分では、いかにも頭の足りないあほっぽいところが意外によく出て、へらへらしたところなどちょっと可愛かったり。ただ、最初から酔っ払いのような赤みが差したメークなのはどうかと思う。
松緑の方はいたって真面目、神妙。おかしみも抑え気味。やや堅すぎる感じも。
海老蔵と松緑って、昔は三之助とか言って良く一緒にされてたけど、芸風もまったく違うし、あまり息が合うようにも見えないのだが。
三、ゆうれい貸屋(ゆうれいかしや)
桶職弥六 三津五郎
家主平作 團 蔵
屑屋の幽霊又蔵 市 蔵
娘の幽霊お千代 梅 枝
弥六女房お兼 吉 弥
魚屋鉄造 権十郎
鉄造女房お勘 秀 調
芸者の幽霊染次 時 蔵
菊五郎劇団お得意の世話物で、軽妙な筋運びの中に人生訓が入り込むのだが、う~ん。
役者はみんながんばってる。
三津五郎はぐうたらな職人の風情がよく似合うし、時蔵は芸者の粋で気っ風の良い雰囲気があって綺麗。
そして確かに笑えるんだ。笑えるんだけどね。
幽霊の又蔵が「生きてるうちが花ですよ」って言うんだけど、台詞でそれを言っちゃ芝居としてどうなのかな、と。観客が芝居を観てそう思うように仕向けるのが芝居じゃないのかなあ、と言う気がするのです。
笑って、ほろっとして、「ああ、死んじまったらおしまいだな」って思うんでないと。
三津五郎さんは好きな役者なだけに、今月唯一の主役がこの演目というのももったいなく、せめて踊りの演目でもあればなあ、と思った。
蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち展 [美術]
4月30日(月) 千葉市立美術館

今開催中のボストン美術館展でも人気の曾我蕭白と、彼の先行者たちや同時代の画家たちの絵を集めた展覧会。
曾我蕭白なんて、昔はあんまり聞かなかった。もちろん、日本美術に詳しい人は知っていただろうけど、一般の知名度はそうでもなかったはず。若冲にしても簫白にしても、一時期忘れられていた画家たちが大ブレイクしている。面白いね。
簫白は江戸中期の人。着色画もあったけれど、どちらかというと墨絵が多かった。
山水画など見てると、普通に上手いんだ。
ところがその中に、人や動物が入ると、印象が一変する!
特に人物の顔がもう、なんか可笑しい。表情がとてもデフォルメされていて、聖賢でさえまるで下卑た笑いを浮かべているように見える。寒山拾得なんて、ほとんどホラーですよ(笑)。どう見たって、普通の人間の顔じゃないです。魔界の生き物としか思えない!(チラシの絵を見たら、おわかりいただけるでしょうか)
それが動物となると、まったく漫画。虎のぎょろりとした目、人を食ったような鷹の顔、何か言いたげな牛。。。
いやもう、何度絵の前で吹き出しそうになったことか。
なんなんですかねえ。面白い、とか、可笑しい、とかで済ましちゃいけないんだろうけど。素人には他に言葉も見つからず、ただ唖然とするばかり。

山水図押絵貼屏風
こういう、ごくまっとうな絵もあって、すごい力量の画家だってわかるんだけど。

許由巣父図襖 より
この牛が今回いちばんのお気に入り。
蕭白の他に、若冲、池大雅、応挙など同時代の京の画家たちの作品も展示。
蕭白の絵のいわば毒気に当たった後、応挙の淡泊でしっとりした富士の絵の前で、心の底からホッとしてしまったのも事実。
前後期で入れ替え多数。後期は5月8日から。

今開催中のボストン美術館展でも人気の曾我蕭白と、彼の先行者たちや同時代の画家たちの絵を集めた展覧会。
曾我蕭白なんて、昔はあんまり聞かなかった。もちろん、日本美術に詳しい人は知っていただろうけど、一般の知名度はそうでもなかったはず。若冲にしても簫白にしても、一時期忘れられていた画家たちが大ブレイクしている。面白いね。
簫白は江戸中期の人。着色画もあったけれど、どちらかというと墨絵が多かった。
山水画など見てると、普通に上手いんだ。
ところがその中に、人や動物が入ると、印象が一変する!
特に人物の顔がもう、なんか可笑しい。表情がとてもデフォルメされていて、聖賢でさえまるで下卑た笑いを浮かべているように見える。寒山拾得なんて、ほとんどホラーですよ(笑)。どう見たって、普通の人間の顔じゃないです。魔界の生き物としか思えない!(チラシの絵を見たら、おわかりいただけるでしょうか)
それが動物となると、まったく漫画。虎のぎょろりとした目、人を食ったような鷹の顔、何か言いたげな牛。。。
いやもう、何度絵の前で吹き出しそうになったことか。
なんなんですかねえ。面白い、とか、可笑しい、とかで済ましちゃいけないんだろうけど。素人には他に言葉も見つからず、ただ唖然とするばかり。

山水図押絵貼屏風
こういう、ごくまっとうな絵もあって、すごい力量の画家だってわかるんだけど。

許由巣父図襖 より
この牛が今回いちばんのお気に入り。
蕭白の他に、若冲、池大雅、応挙など同時代の京の画家たちの作品も展示。
蕭白の絵のいわば毒気に当たった後、応挙の淡泊でしっとりした富士の絵の前で、心の底からホッとしてしまったのも事実。
前後期で入れ替え多数。後期は5月8日から。
KORIN展 [美術]
4月29日(日) 根津美術館

北斎展の後、足を伸ばして根津へ。
毎年この時期、ここでは光琳の国宝「燕子花図」を展示するが、今年は特別にメトロポリタン美術館所蔵の「八橋図」を並べて展示。二つの燕子花の絵を見比べることが出来る。

こちらがおなじみの「燕子花図」。一面にただ花だけを描いている。

そしてこちらが里帰りの「八橋図」。タイトル通り、橋が描き込まれている。
描かれたのは燕子花図の方が10年早いという。まだ若い光琳の冒険心や野心さえ見えるような大胆さが素晴らしい。
一方の八橋図、橋はたらしこみの技法が施され、よく見ると花弁に軸なども描き込まれ、丁寧さが感じられる。
もちろんどちらが優れた絵かなんていうのは言えないことだが、長年燕子花図に親しんだ目には、なんだか橋が邪魔なの。橋を描かずに、しかししっかりその存在を感じさせた燕子花図の大胆さに改めて瞠目するのである。
他にも光琳数点、抱一の名品なども見られる。
お庭ではまだ燕子花はちらほら咲き。ツツジが見頃だった。

北斎展の後、足を伸ばして根津へ。
毎年この時期、ここでは光琳の国宝「燕子花図」を展示するが、今年は特別にメトロポリタン美術館所蔵の「八橋図」を並べて展示。二つの燕子花の絵を見比べることが出来る。

こちらがおなじみの「燕子花図」。一面にただ花だけを描いている。

そしてこちらが里帰りの「八橋図」。タイトル通り、橋が描き込まれている。
描かれたのは燕子花図の方が10年早いという。まだ若い光琳の冒険心や野心さえ見えるような大胆さが素晴らしい。
一方の八橋図、橋はたらしこみの技法が施され、よく見ると花弁に軸なども描き込まれ、丁寧さが感じられる。
もちろんどちらが優れた絵かなんていうのは言えないことだが、長年燕子花図に親しんだ目には、なんだか橋が邪魔なの。橋を描かずに、しかししっかりその存在を感じさせた燕子花図の大胆さに改めて瞠目するのである。
他にも光琳数点、抱一の名品なども見られる。
お庭ではまだ燕子花はちらほら咲き。ツツジが見頃だった。
北斎展 [美術]
4月29日(日) 三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
ホノルル美術館所蔵の北斎を見せる展覧会。
おなじみの富嶽三十六景をはじめ、少ないが肉筆画まで多様なコレクション。
あまり観たことのないシリーズも結構あって、百人一首の絵解きとか、琉球八景などはあまり見覚えがなく、面白かった。

「諸国名橋奇覧 三河の八ツ橋の古図(しょこくめいきょうきらん みかわのやつはしのこず)」
実際にこんな橋があったのかわからないけど。
北斎の絵は、風景や建物の描写ももちろん良いんだけど、小さく描き込まれた人間が好き。これがなきゃ北斎じゃない、と思っちゃうくらい。

「地方測量之図(じかたそくりょうのず)」
当時の測量の様子をリアルに描いてあるらしい。こういう細かさも北斎らしい。

「鷹(たか)」
ちょっと漫画っぽい鷹の顔がユーモラス。若冲なんかとは全然違う。
でもやっぱりこれ!北斎と言えばこれ!

「冨嶽三十六景 凱風快晴(ふがくさんじゅうろっけい がいふうかいせい)」
前後期で全点入れ替え。後期も観たいけど、ちょっと無理かな。
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
ホノルル美術館所蔵の北斎を見せる展覧会。
おなじみの富嶽三十六景をはじめ、少ないが肉筆画まで多様なコレクション。
あまり観たことのないシリーズも結構あって、百人一首の絵解きとか、琉球八景などはあまり見覚えがなく、面白かった。
「諸国名橋奇覧 三河の八ツ橋の古図(しょこくめいきょうきらん みかわのやつはしのこず)」
実際にこんな橋があったのかわからないけど。
北斎の絵は、風景や建物の描写ももちろん良いんだけど、小さく描き込まれた人間が好き。これがなきゃ北斎じゃない、と思っちゃうくらい。
「地方測量之図(じかたそくりょうのず)」
当時の測量の様子をリアルに描いてあるらしい。こういう細かさも北斎らしい。
「鷹(たか)」
ちょっと漫画っぽい鷹の顔がユーモラス。若冲なんかとは全然違う。
でもやっぱりこれ!北斎と言えばこれ!
「冨嶽三十六景 凱風快晴(ふがくさんじゅうろっけい がいふうかいせい)」
前後期で全点入れ替え。後期も観たいけど、ちょっと無理かな。
4月文楽公演 第二部 [舞台]
4月23日(月)
入れ替え時間に1階の資料展示室へ行ってみた。「昭和初期の文楽」という企画展示をやっていて、中では四つ橋文楽座の写真が、二階も桟敷もあってとても立派な建物でびっくりした。文楽が歌舞伎座みたいに社交場のようだった時代があったのかなあ。
加賀見山旧錦絵 かがみやまこきょうのにしきえ
又助住家の段 咲甫・清友、咲・燕三
草履打の段 松香・呂勢・始・靖・希・清治
廊下の段 英・團七
長局の段 源・千歳・藤蔵
奥庭の段 三輪・芳穂・南都・津國・清志郞
玉女の又助、勘弥のお大、簑二郎の求女
勘十郎のお初、和生の尾上、玉也の岩藤
草履打ち以下は文楽でも歌舞伎でもよくやるが、又助住家は初見。この演目、「女忠臣蔵」との別名があるが、そう思って観ると又助の場も六段目に似ていなくもない。妻が身を売り、夫は勘違いの忠義が元で自害に等しい死を選び、、、。だが六段目以上に悲惨なのは、子供の命まで犠牲にし、妻も自害、と言う結末。う~ん、だからあんまり上演されないのかなあ?特に、息子の首をはねる場面があるから、人形とは言えやっぱり残酷。寺子屋だって子供を犠牲にするけど、殺す場面はないからね。
玉女の又助に大きさと律義さが感じられ、過ちを知った後の狼狽とわざと息子を手に掛け死に至る悲しさを見せた。
勘弥のお大もしっとりとした様子と哀れさ。
咲甫が序盤の庄屋や廓の亭主の様子を軽妙に語り、後の咲と燕三が又助の悲劇を豪快さと緊迫感を持って聞かせてさすがに上手い。
後半の女忠臣蔵は、執拗な岩藤の尾上虐めに始まる。
玉也の岩藤が本当にネチネチといやらしく尊大な感じを良く出している。
反対に和生の尾上はひたすら辛抱。ほとんどの場面うつむき加減で、岩藤に対しても口答えもせず耐えるばかり。正直言うと見ていていらいらするのよ、こういう人って。もし実生活でこういうタイプが同僚か部下にいたら、岩藤と一緒になって虐めちゃうかも~、と思う(苦笑)。和生はさすがにひっそりとした尾上の様子を品良く哀れに見せる。
勘十郎のお初は、甲斐甲斐しく尾上の世話を焼く様子が溌剌としていて、健気で一生懸命な様子。尾上の自害を知って半狂乱になるところが派手な動きの中に必死さと悲しさを見せて圧巻。
奥庭での岩藤との立ち回りも傘を使った見得など決まり決まりが美しくさすが。
長局の段での千歳と源の掛け合いが見事。ひっそりと悲しみをこらえる尾上の源大夫に、何とか元気づけようとするお初の千歳の対比がよく効いて、藤蔵もメリハリ。尾上の死骸を前に無念さと怒りに燃えるお初の狂乱を千歳が熱情的に聞かせて、こちらも手に汗握るよう。やっぱり千歳さんはこういう場面が似合う。
その後では奥庭の義太夫はちょっと大人しく聞こえてしまったのが残念。
入れ替え時間に1階の資料展示室へ行ってみた。「昭和初期の文楽」という企画展示をやっていて、中では四つ橋文楽座の写真が、二階も桟敷もあってとても立派な建物でびっくりした。文楽が歌舞伎座みたいに社交場のようだった時代があったのかなあ。
加賀見山旧錦絵 かがみやまこきょうのにしきえ
又助住家の段 咲甫・清友、咲・燕三
草履打の段 松香・呂勢・始・靖・希・清治
廊下の段 英・團七
長局の段 源・千歳・藤蔵
奥庭の段 三輪・芳穂・南都・津國・清志郞
玉女の又助、勘弥のお大、簑二郎の求女
勘十郎のお初、和生の尾上、玉也の岩藤
草履打ち以下は文楽でも歌舞伎でもよくやるが、又助住家は初見。この演目、「女忠臣蔵」との別名があるが、そう思って観ると又助の場も六段目に似ていなくもない。妻が身を売り、夫は勘違いの忠義が元で自害に等しい死を選び、、、。だが六段目以上に悲惨なのは、子供の命まで犠牲にし、妻も自害、と言う結末。う~ん、だからあんまり上演されないのかなあ?特に、息子の首をはねる場面があるから、人形とは言えやっぱり残酷。寺子屋だって子供を犠牲にするけど、殺す場面はないからね。
玉女の又助に大きさと律義さが感じられ、過ちを知った後の狼狽とわざと息子を手に掛け死に至る悲しさを見せた。
勘弥のお大もしっとりとした様子と哀れさ。
咲甫が序盤の庄屋や廓の亭主の様子を軽妙に語り、後の咲と燕三が又助の悲劇を豪快さと緊迫感を持って聞かせてさすがに上手い。
後半の女忠臣蔵は、執拗な岩藤の尾上虐めに始まる。
玉也の岩藤が本当にネチネチといやらしく尊大な感じを良く出している。
反対に和生の尾上はひたすら辛抱。ほとんどの場面うつむき加減で、岩藤に対しても口答えもせず耐えるばかり。正直言うと見ていていらいらするのよ、こういう人って。もし実生活でこういうタイプが同僚か部下にいたら、岩藤と一緒になって虐めちゃうかも~、と思う(苦笑)。和生はさすがにひっそりとした尾上の様子を品良く哀れに見せる。
勘十郎のお初は、甲斐甲斐しく尾上の世話を焼く様子が溌剌としていて、健気で一生懸命な様子。尾上の自害を知って半狂乱になるところが派手な動きの中に必死さと悲しさを見せて圧巻。
奥庭での岩藤との立ち回りも傘を使った見得など決まり決まりが美しくさすが。
長局の段での千歳と源の掛け合いが見事。ひっそりと悲しみをこらえる尾上の源大夫に、何とか元気づけようとするお初の千歳の対比がよく効いて、藤蔵もメリハリ。尾上の死骸を前に無念さと怒りに燃えるお初の狂乱を千歳が熱情的に聞かせて、こちらも手に汗握るよう。やっぱり千歳さんはこういう場面が似合う。
その後では奥庭の義太夫はちょっと大人しく聞こえてしまったのが残念。
4月文楽公演 第一部 [舞台]
4月23日(月)
こんぴら歌舞伎を堪能し、周辺を観光した後大阪の実家に戻り、翌日は文楽へ。

一・祇園祭礼信仰記
金閣寺の段 呂勢・清介
爪先鼠の段 津駒・寛治、相子・清丈
玉女の大膳、清十郎の雪姫、和生の東吉、清五郎の鬼藤太、幸助の軍平、文昇の狩野之介
いちばんの注目は清十郎初役の雪姫。このところ大役への挑戦が続く清十郎、この雪姫も期待に違わず、楚々とした色気と品の良さがある。じっとうつむいて大膳の話を聞いている姿に、悲しみが見えて美しい。
眼目の爪先鼠のところは後ろ手に縛られて、遣い手も左手のみの不自由さ。縄のかかり方が悪かったのかしばしば引っ張って直してるようなのが気になったが、ままならない動きの中で姫の哀れさと必死さが感じられて美しかった。
玉女の大膳、国崩しの悪人らしい大きさ、巨魁ぶりがあって立派。
和生の東吉が颯爽とした味わい。慶寿院を救出しに桜の木を登っていくしぐさが楽しい。
呂勢と清介に勢い。姫の悶々としたところなどもうちょっとしっとりさもほしいが。
津駒と寛治がさすがに味わい深く、雪姫と大膳の倶利伽羅丸を中にしての争いの緊迫から、爪先鼠の件はじっくりと聞かせる。
幕切れは、歌舞伎と違って姫と狩野之介、慶寿院も舞台に揃う。この方が自然だが、歌舞伎は大膳役者に花を持たせるんだろうな。こちらの大膳は鳥かごみたいな檻みたいなのの中に閉じこもって出てこない。ちょっと哀れっぽい(笑)。
二・桂川連理柵 かつらがわれんりのしがらみ
六角堂の段 文字久・喜一朗
帯屋の段 嶋・富助、住・錦糸
道行朧の桂川 咲甫・睦・咲寿・小住・亘・文字栄、宗助・團吾・龍爾・寛太郎・清公・錦吾
勘十郎の長右衛門、、文雀のお絹、簑助のお半、紋壽の儀兵衛、文司の長吉、勘壽のおとせ、玉也の繁斎
帯屋が見物聞き物。前半のチャリ場は嶋大夫の独壇場。笑いが止まらなくなった儀兵衛とあほな丁稚の長吉のやりとりをこれでもかと笑わせる。もう、まさに嶋節炸裂という様子で、涙が出るほどおかしかった。その一方で親繁斎の滋味、お絹と長右衛門の忍耐などはじっくり聞かせる。メリハリが効いて本当に素晴らしい。
後の住も負けていない。いささか声量に衰えは感じるが、お絹の嘆き、長右衛門の苦悩、お半のいじらしさをじっくりしみじみ聞かせ、お半の書き置きを見つけた長右衛門の焦りを緊迫した様子で畳みかけるように語る幕切れまで、一気に聞かせてさすがに圧巻。上手いなあ、ええもん聴かせてもろたなあ、としみじみ。
勘十郎の長右衛門、悶々とした発散できないお役で大変そうだが、近松の心中ものの他のつっころばしとは違って、分別もある大人の男が、ふと道を外してしまった悲劇を見せる。と言って堅物でもない、昔は遊女と心中しようとした過去もある、二枚目の色気もにじむという複雑な男をうかがわせてさすがに上手い。
文雀のお絹、まさに賢妻、だがやや出来過ぎな女房ぶりを、しっとりとしかし物堅い様子も交えてみせる。さらっと見えて、実は怖いんじゃないかな、このおかみさん、と言う雰囲気。
この二人だけでも見応え十分だったのに、簑助のお半が出てきて全部持って行ってしまうからすごい。出番短いのに。14才の小娘、でももう生娘じゃない、どころか妊んでる。そして長右衛門を一途に子供の頃から慕っている、と言う一見おぼこ娘のようでまったく違う、背伸びした色気もある、と言う複雑さを暖簾から顔を出した瞬間に全て見せてしまう。ああ、すごい。やっぱり簑助さんの遣う恋する娘は天下一だ。名残にも一度、と長右衛門と顔を見合わせてすがる姿のいじらしさ儚さ。ただただ溜息が出るばかり。
紋壽が儀兵衛とはご馳走な。チャリ場で長吉相手に笑い転げる姿が可笑しい。
文司の長吉も、こちらはあくまで大真面目ぶった様子が笑える。
人形も義太夫も大顔合わせの素晴らしい舞台でした。
こんぴら歌舞伎を堪能し、周辺を観光した後大阪の実家に戻り、翌日は文楽へ。

一・祇園祭礼信仰記
金閣寺の段 呂勢・清介
爪先鼠の段 津駒・寛治、相子・清丈
玉女の大膳、清十郎の雪姫、和生の東吉、清五郎の鬼藤太、幸助の軍平、文昇の狩野之介
いちばんの注目は清十郎初役の雪姫。このところ大役への挑戦が続く清十郎、この雪姫も期待に違わず、楚々とした色気と品の良さがある。じっとうつむいて大膳の話を聞いている姿に、悲しみが見えて美しい。
眼目の爪先鼠のところは後ろ手に縛られて、遣い手も左手のみの不自由さ。縄のかかり方が悪かったのかしばしば引っ張って直してるようなのが気になったが、ままならない動きの中で姫の哀れさと必死さが感じられて美しかった。
玉女の大膳、国崩しの悪人らしい大きさ、巨魁ぶりがあって立派。
和生の東吉が颯爽とした味わい。慶寿院を救出しに桜の木を登っていくしぐさが楽しい。
呂勢と清介に勢い。姫の悶々としたところなどもうちょっとしっとりさもほしいが。
津駒と寛治がさすがに味わい深く、雪姫と大膳の倶利伽羅丸を中にしての争いの緊迫から、爪先鼠の件はじっくりと聞かせる。
幕切れは、歌舞伎と違って姫と狩野之介、慶寿院も舞台に揃う。この方が自然だが、歌舞伎は大膳役者に花を持たせるんだろうな。こちらの大膳は鳥かごみたいな檻みたいなのの中に閉じこもって出てこない。ちょっと哀れっぽい(笑)。
二・桂川連理柵 かつらがわれんりのしがらみ
六角堂の段 文字久・喜一朗
帯屋の段 嶋・富助、住・錦糸
道行朧の桂川 咲甫・睦・咲寿・小住・亘・文字栄、宗助・團吾・龍爾・寛太郎・清公・錦吾
勘十郎の長右衛門、、文雀のお絹、簑助のお半、紋壽の儀兵衛、文司の長吉、勘壽のおとせ、玉也の繁斎
帯屋が見物聞き物。前半のチャリ場は嶋大夫の独壇場。笑いが止まらなくなった儀兵衛とあほな丁稚の長吉のやりとりをこれでもかと笑わせる。もう、まさに嶋節炸裂という様子で、涙が出るほどおかしかった。その一方で親繁斎の滋味、お絹と長右衛門の忍耐などはじっくり聞かせる。メリハリが効いて本当に素晴らしい。
後の住も負けていない。いささか声量に衰えは感じるが、お絹の嘆き、長右衛門の苦悩、お半のいじらしさをじっくりしみじみ聞かせ、お半の書き置きを見つけた長右衛門の焦りを緊迫した様子で畳みかけるように語る幕切れまで、一気に聞かせてさすがに圧巻。上手いなあ、ええもん聴かせてもろたなあ、としみじみ。
勘十郎の長右衛門、悶々とした発散できないお役で大変そうだが、近松の心中ものの他のつっころばしとは違って、分別もある大人の男が、ふと道を外してしまった悲劇を見せる。と言って堅物でもない、昔は遊女と心中しようとした過去もある、二枚目の色気もにじむという複雑な男をうかがわせてさすがに上手い。
文雀のお絹、まさに賢妻、だがやや出来過ぎな女房ぶりを、しっとりとしかし物堅い様子も交えてみせる。さらっと見えて、実は怖いんじゃないかな、このおかみさん、と言う雰囲気。
この二人だけでも見応え十分だったのに、簑助のお半が出てきて全部持って行ってしまうからすごい。出番短いのに。14才の小娘、でももう生娘じゃない、どころか妊んでる。そして長右衛門を一途に子供の頃から慕っている、と言う一見おぼこ娘のようでまったく違う、背伸びした色気もある、と言う複雑さを暖簾から顔を出した瞬間に全て見せてしまう。ああ、すごい。やっぱり簑助さんの遣う恋する娘は天下一だ。名残にも一度、と長右衛門と顔を見合わせてすがる姿のいじらしさ儚さ。ただただ溜息が出るばかり。
紋壽が儀兵衛とはご馳走な。チャリ場で長吉相手に笑い転げる姿が可笑しい。
文司の長吉も、こちらはあくまで大真面目ぶった様子が笑える。
人形も義太夫も大顔合わせの素晴らしい舞台でした。
タグ:文楽
こんぴら歌舞伎大芝居 昼の部 [舞台]
4月22日(日)
この日は千秋楽。天気予報では太平洋側は大荒れとかで心配したが、降ったり止んだりでそれほどの大雨にはならず助かりました。
開演前に劇場前で出演者が出て餅つきがあったそうですが、残念ながら間に合わず。
一、正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)
曽我五郎時致 種太郎改め歌 昇
小林朝比奈 歌 昇改め又五郎
一連の襲名披露の中でも、二人だけでの演目はこれが初めて。
歌昇はむき身の隈もよく似合い、凛々しい五郎。踊りもすっきりと力強く、手先、足の爪先までピンと力の入った様子が美しい。襲名してからわずか半年で、本当に華が出てきたなあ。この五郎を観ていたら、いつか助六やらないかなあ、と思った。
又五郎の歌昇が立派。剽軽さも見せながら誠実さが感じられるのがこの人らしい。踊りは堅実で堂々とした貫禄もあり、良くニンに合っている。
二人とも小さい小屋からはみ出さんばかりのパワー溢れる様子で、本当に誠心誠意、一生懸命の舞台。清々しかった。ええもん見せてもらいました。
二、一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)
駒形茂兵衛 吉右衛門
お蔦 芝 雀
堀下根吉 種太郎改め歌 昇
若船頭/おみな 種之助
子守娘おてる 米 吉
伊兵衛 隼 人
船戸の弥八 吉之助
清大工 桂 三
老船頭 由次郎
船印彫師辰三郎 錦之助
波一里儀十 歌 六
夜の部は吉右衛門はお付き合いだけで、今回主演はこの茂兵衛のみ。
この小屋で長谷川伸の新歌舞伎って合うのかな?とちょっと思っていたが、意外と違和感なくすんなり。青果や綺堂の理屈らしいのだと駄目かもしれないが、人情味溢れる長谷川のは、ちょっと大衆演劇みたいな趣もあって面白く観られた。
吉右衛門茂兵衛は前半は情けないふらふらの相撲取り。お蔦に問われ、ぼつぼつと身の上を語るのが決して同情を買おうとしているようではなく、淡々と語る様子にかえって哀れさが溢れる。母親の居所を「なあに、そこは、お墓さぁ」と言うところ、さらっと言っているのに、泣けて泣けてしょうがなかった。
そしてお蔦に金や櫛を恵んでもらい、感激する姿に誠実さがこもってまた涙。きっとこれまで人から親切にされたことなんてなかったんだろうなあ。。。
後半は一転して貫禄あるヤクザの親分風。しかし、船頭ら堅気の人に対する腰の低さには誠実さが見え、一方根吉ら儀十一味には貫目ある様子で圧倒する。しかりつけられた根吉たち、芝居と判っていてもびびりそうな迫力。
儀十らをやっつけてお蔦一家を逃がした後の幕切れの万感のこもった名台詞にまたハラハラと涙がこぼれる。十年間暖め続けたお蔦への恩と淡い憧れもしくは恋心。やっと会えた、でももう多分会うことのない切ない別れ。約束を果たせなかった我が身への悔い。全てがあの「しがねえ姿の横綱の土俵入りでござんす」に詰まっていて、誰にでもある思うようにならなかった人生への悔いと、それでも忘れてはいけないことの大事さを、腕を組んでお蔦たちの行方を黙って見送る茂兵衛に見る思いがした。
芝雀のお蔦は、あまり酌婦のすれた感じがないのはこの人らしい。口は悪いが気の良い、根は優しい女と言う風情。人によるともっとやけっぱちな雰囲気を出すが、これくらいの方が、後半で出ていったままの亭主をずっと待ち続けていた一途な女に無理なくつながって良かったと思う。茂兵衛に助けられて逃げるとき、何度も何度も振り返り、お辞儀をする姿に誠実さが見えて暖かい気持ちになった。
錦之助の辰三郎は気の弱いくせに悪事を働いてしまう二枚目という様子がぴったり。
歌六の儀十が出番は少ないが貫禄十分。渋い悪役ぶり。
歌昇の根吉は目一杯背伸びして悪ぶってる青年という感じ。大阪弁て言う「いきり」って感じ。さすがにちょっと若過ぎか。でもそのがんばってる感じが可愛かった~(笑)
桂三、由次郎の大工船頭コンビがのんびりと良い感じ。
今月の公演は、播磨屋一門に芝雀さんや錦之助さんなど、いつもご一緒の面々ばかりで和気藹々の雰囲気。
歌昇君はじめ若手の成長も著しく、チームワークもますます良くなって、まさしく吉右衛門劇団と言っても良いくらい。昼夜どの演目も、誠意に満ちた、とても気持ちよい舞台でした。
こんぴら、楽しかったです。
この日は千秋楽。天気予報では太平洋側は大荒れとかで心配したが、降ったり止んだりでそれほどの大雨にはならず助かりました。
開演前に劇場前で出演者が出て餅つきがあったそうですが、残念ながら間に合わず。
一、正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)
曽我五郎時致 種太郎改め歌 昇
小林朝比奈 歌 昇改め又五郎
一連の襲名披露の中でも、二人だけでの演目はこれが初めて。
歌昇はむき身の隈もよく似合い、凛々しい五郎。踊りもすっきりと力強く、手先、足の爪先までピンと力の入った様子が美しい。襲名してからわずか半年で、本当に華が出てきたなあ。この五郎を観ていたら、いつか助六やらないかなあ、と思った。
又五郎の歌昇が立派。剽軽さも見せながら誠実さが感じられるのがこの人らしい。踊りは堅実で堂々とした貫禄もあり、良くニンに合っている。
二人とも小さい小屋からはみ出さんばかりのパワー溢れる様子で、本当に誠心誠意、一生懸命の舞台。清々しかった。ええもん見せてもらいました。
二、一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)
駒形茂兵衛 吉右衛門
お蔦 芝 雀
堀下根吉 種太郎改め歌 昇
若船頭/おみな 種之助
子守娘おてる 米 吉
伊兵衛 隼 人
船戸の弥八 吉之助
清大工 桂 三
老船頭 由次郎
船印彫師辰三郎 錦之助
波一里儀十 歌 六
夜の部は吉右衛門はお付き合いだけで、今回主演はこの茂兵衛のみ。
この小屋で長谷川伸の新歌舞伎って合うのかな?とちょっと思っていたが、意外と違和感なくすんなり。青果や綺堂の理屈らしいのだと駄目かもしれないが、人情味溢れる長谷川のは、ちょっと大衆演劇みたいな趣もあって面白く観られた。
吉右衛門茂兵衛は前半は情けないふらふらの相撲取り。お蔦に問われ、ぼつぼつと身の上を語るのが決して同情を買おうとしているようではなく、淡々と語る様子にかえって哀れさが溢れる。母親の居所を「なあに、そこは、お墓さぁ」と言うところ、さらっと言っているのに、泣けて泣けてしょうがなかった。
そしてお蔦に金や櫛を恵んでもらい、感激する姿に誠実さがこもってまた涙。きっとこれまで人から親切にされたことなんてなかったんだろうなあ。。。
後半は一転して貫禄あるヤクザの親分風。しかし、船頭ら堅気の人に対する腰の低さには誠実さが見え、一方根吉ら儀十一味には貫目ある様子で圧倒する。しかりつけられた根吉たち、芝居と判っていてもびびりそうな迫力。
儀十らをやっつけてお蔦一家を逃がした後の幕切れの万感のこもった名台詞にまたハラハラと涙がこぼれる。十年間暖め続けたお蔦への恩と淡い憧れもしくは恋心。やっと会えた、でももう多分会うことのない切ない別れ。約束を果たせなかった我が身への悔い。全てがあの「しがねえ姿の横綱の土俵入りでござんす」に詰まっていて、誰にでもある思うようにならなかった人生への悔いと、それでも忘れてはいけないことの大事さを、腕を組んでお蔦たちの行方を黙って見送る茂兵衛に見る思いがした。
芝雀のお蔦は、あまり酌婦のすれた感じがないのはこの人らしい。口は悪いが気の良い、根は優しい女と言う風情。人によるともっとやけっぱちな雰囲気を出すが、これくらいの方が、後半で出ていったままの亭主をずっと待ち続けていた一途な女に無理なくつながって良かったと思う。茂兵衛に助けられて逃げるとき、何度も何度も振り返り、お辞儀をする姿に誠実さが見えて暖かい気持ちになった。
錦之助の辰三郎は気の弱いくせに悪事を働いてしまう二枚目という様子がぴったり。
歌六の儀十が出番は少ないが貫禄十分。渋い悪役ぶり。
歌昇の根吉は目一杯背伸びして悪ぶってる青年という感じ。大阪弁て言う「いきり」って感じ。さすがにちょっと若過ぎか。でもそのがんばってる感じが可愛かった~(笑)
桂三、由次郎の大工船頭コンビがのんびりと良い感じ。
今月の公演は、播磨屋一門に芝雀さんや錦之助さんなど、いつもご一緒の面々ばかりで和気藹々の雰囲気。
歌昇君はじめ若手の成長も著しく、チームワークもますます良くなって、まさしく吉右衛門劇団と言っても良いくらい。昼夜どの演目も、誠意に満ちた、とても気持ちよい舞台でした。
こんぴら、楽しかったです。
こんぴら歌舞伎大芝居 夜の部 [舞台]
4月21日(土)
香川県琴平にある江戸時代からの芝居小屋、金丸座で毎年この時期行われる歌舞伎公演。一度は行ってみたいとずっと思っていたが、今年は播磨屋一門の公演と言うことで、この機を逃しては、と思いきって行ってきた。

沿道には幟がはためいて、芝居気分を盛り上げてくれる。

これが金丸座。情緒たっぷり。キャラクターのこんぴー君もお出迎え。
小屋の構造などにご興味のある方は金丸座のHPをご覧頂きたいが、座席はほとんど椅子ではなく桟敷。一枡に5人座る形で、私たちはちょうど5人グループだったので、少しでも楽な姿勢が取れるように足を崩していたが、知らない方と相席だとあまり勝手なこともできないしかなりしんどいかも!
今月の公演も、去年からの又五郎、歌昇の襲名披露公演の一つ。

一、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
浪花の次郎作 歌 六
禿たより(交替出演) 種之助
〃 ( 〃 ) 米 吉
〃 ( 〃 ) 隼 人
吾妻の与四郎 錦之助
日替わりのたよりは、この日は米吉君。三人の中では、少なくともビジュアル的にはいちばん禿に向いてると思われ、実際とっても可愛かった。台詞などはまだ固いというか、勉強の余地ありだけれど、首をかしげて相手を見上げる様子とか、愛らしい禿の雰囲気が良く出ていた。
歌六が次郎作実は石川五右衛門。やや赤っ面っぽい、いかつい作りの堂々たる風情。歌六さん、最近何やっても格好いいなあ。
錦之助は白塗りの与四郎実は真柴秀吉。似合いの二枚目をすっきりと。
一演目見て驚いたのは、客席と舞台の近さもさることながら、音の響き方が普通の劇場とまったく違う。悪く言えばデッドで、残響が少なく、唄や鳴り物の人はひょっとするとやりにくいかも。でも、客からすると聞きづらいことはなく、特に役者の台詞など妙に近く、生々しく感じられる。見た目だけでなく音も近いという印象。
二・口上
出演は、吉右衛門、又五郎、歌昇、錦之助、芝雀、歌六、種太郎。
芝雀と錦之助以外みんな播磨屋。錦之助も播磨屋とよく似た紋と色の裃で、なんか見た目地味な口上(笑)。
去年9月に始まった襲名口上、はじめの頃はつまりつまりだった吉右衛門さんがすっかり慣れてなめらかな口調になって、安心なようなちょっと寂しいような。。。
三、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
川連法眼館の場
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐 歌 昇改め又五郎
静御前 芝 雀
亀井六郎 種太郎改め歌 昇
駿河次郎 隼 人
源義経 吉右衛門
又五郎の忠信は以前鑑賞教室で観ている。
特に前半の本物の忠信がすっきりしていて良い。又五郎らしく律義で忠義心に篤い、武将と言うより能吏のようなかっちりした印象。
源九郎狐としては、狐言葉はあまり強調せず、所々アクセント程度に抑え、動きもそんなに飛び跳ねるという感じではない。だからそういうアクロバティックな狐を期待する人には物足りないかもしれない。だが、いちばん肝心な、親への愛情と寂しさにあふれて、又義経に鼓をもらって喜ぶ様子も素直に胸を打つ。襲名披露にふさわしい、変なケレンのない、真っ直ぐな舞台。
3月の船弁慶もそうだったが、又五郎の芝居や踊りは本当に真心が詰まっているようで、観ていて胸が熱くなる。
芝雀の静御前は初見か。花道を登場したときから、義経に会える喜びを体一杯に表したいじらしさと可愛さ。偽忠信詮議の凛とした様子と、源九郎狐の身の上を知った後の優しさと情のある様子。しっとりとした品と色気のある美しい静御前。
吉右衛門の義経は襲名披露のご馳走。ちょっと立派すぎないかという懸念もあったが、さすがに品格と貫禄のある御大将ぶり。久しぶりに会った静を見る目が愛情たっぷりで優しい。だがなにより、源九郎狐に自らの境遇を重ねる述懐に、寂しさと悲しさ、兄頼朝への複雑な思いなどがひしひしと感じられたのがさすが。この段のこの場面で義経に泣かされたのは初めて。
それにしても、吉右衛門さんと芝雀さんがカップルをやると、ほ~んとにラブラブなの。幕切れで寄り添うところなんかも、とっても良い感じ。四の切りの義経と静がこんなに仲よさそうなのって、そうないよなあ。妬けるわ(笑)。
歌昇の亀井は力一杯。(小屋小さいんだから、そんなにがんばらなくても良いんだよぉ~)と思うくらい、どったどったと大股で歩いてました。
隼人の駿河は反対にお行儀よすぎか。まあ、二人が対照的で面白かったけど。
又五郎、吉右衛門、芝雀の三人が揃って実のある様子で、本当に気持ちの良い舞台でした。
香川県琴平にある江戸時代からの芝居小屋、金丸座で毎年この時期行われる歌舞伎公演。一度は行ってみたいとずっと思っていたが、今年は播磨屋一門の公演と言うことで、この機を逃しては、と思いきって行ってきた。
沿道には幟がはためいて、芝居気分を盛り上げてくれる。
これが金丸座。情緒たっぷり。キャラクターのこんぴー君もお出迎え。
小屋の構造などにご興味のある方は金丸座のHPをご覧頂きたいが、座席はほとんど椅子ではなく桟敷。一枡に5人座る形で、私たちはちょうど5人グループだったので、少しでも楽な姿勢が取れるように足を崩していたが、知らない方と相席だとあまり勝手なこともできないしかなりしんどいかも!
今月の公演も、去年からの又五郎、歌昇の襲名披露公演の一つ。

一、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
浪花の次郎作 歌 六
禿たより(交替出演) 種之助
〃 ( 〃 ) 米 吉
〃 ( 〃 ) 隼 人
吾妻の与四郎 錦之助
日替わりのたよりは、この日は米吉君。三人の中では、少なくともビジュアル的にはいちばん禿に向いてると思われ、実際とっても可愛かった。台詞などはまだ固いというか、勉強の余地ありだけれど、首をかしげて相手を見上げる様子とか、愛らしい禿の雰囲気が良く出ていた。
歌六が次郎作実は石川五右衛門。やや赤っ面っぽい、いかつい作りの堂々たる風情。歌六さん、最近何やっても格好いいなあ。
錦之助は白塗りの与四郎実は真柴秀吉。似合いの二枚目をすっきりと。
一演目見て驚いたのは、客席と舞台の近さもさることながら、音の響き方が普通の劇場とまったく違う。悪く言えばデッドで、残響が少なく、唄や鳴り物の人はひょっとするとやりにくいかも。でも、客からすると聞きづらいことはなく、特に役者の台詞など妙に近く、生々しく感じられる。見た目だけでなく音も近いという印象。
二・口上
出演は、吉右衛門、又五郎、歌昇、錦之助、芝雀、歌六、種太郎。
芝雀と錦之助以外みんな播磨屋。錦之助も播磨屋とよく似た紋と色の裃で、なんか見た目地味な口上(笑)。
去年9月に始まった襲名口上、はじめの頃はつまりつまりだった吉右衛門さんがすっかり慣れてなめらかな口調になって、安心なようなちょっと寂しいような。。。
三、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
川連法眼館の場
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐 歌 昇改め又五郎
静御前 芝 雀
亀井六郎 種太郎改め歌 昇
駿河次郎 隼 人
源義経 吉右衛門
又五郎の忠信は以前鑑賞教室で観ている。
特に前半の本物の忠信がすっきりしていて良い。又五郎らしく律義で忠義心に篤い、武将と言うより能吏のようなかっちりした印象。
源九郎狐としては、狐言葉はあまり強調せず、所々アクセント程度に抑え、動きもそんなに飛び跳ねるという感じではない。だからそういうアクロバティックな狐を期待する人には物足りないかもしれない。だが、いちばん肝心な、親への愛情と寂しさにあふれて、又義経に鼓をもらって喜ぶ様子も素直に胸を打つ。襲名披露にふさわしい、変なケレンのない、真っ直ぐな舞台。
3月の船弁慶もそうだったが、又五郎の芝居や踊りは本当に真心が詰まっているようで、観ていて胸が熱くなる。
芝雀の静御前は初見か。花道を登場したときから、義経に会える喜びを体一杯に表したいじらしさと可愛さ。偽忠信詮議の凛とした様子と、源九郎狐の身の上を知った後の優しさと情のある様子。しっとりとした品と色気のある美しい静御前。
吉右衛門の義経は襲名披露のご馳走。ちょっと立派すぎないかという懸念もあったが、さすがに品格と貫禄のある御大将ぶり。久しぶりに会った静を見る目が愛情たっぷりで優しい。だがなにより、源九郎狐に自らの境遇を重ねる述懐に、寂しさと悲しさ、兄頼朝への複雑な思いなどがひしひしと感じられたのがさすが。この段のこの場面で義経に泣かされたのは初めて。
それにしても、吉右衛門さんと芝雀さんがカップルをやると、ほ~んとにラブラブなの。幕切れで寄り添うところなんかも、とっても良い感じ。四の切りの義経と静がこんなに仲よさそうなのって、そうないよなあ。妬けるわ(笑)。
歌昇の亀井は力一杯。(小屋小さいんだから、そんなにがんばらなくても良いんだよぉ~)と思うくらい、どったどったと大股で歩いてました。
隼人の駿河は反対にお行儀よすぎか。まあ、二人が対照的で面白かったけど。
又五郎、吉右衛門、芝雀の三人が揃って実のある様子で、本当に気持ちの良い舞台でした。
ボストン美術館展 [美術]
4月17日(火) 東京国立博物館
http://www.boston-nippon.jp/
ボストン美術館の、日本美術だけの里帰り展覧会。
つくづく、こんなすごいモノを海外に放り出しちゃって、明治時代の日本政府の芸術政策の無策ぶりを感じる。まあ、とは言えそういうのは日本だけじゃなくて、エジプトやギリシャの美術品は大英博物館はじめヨーロッパの博物館に行った方が良いものが観られたりするわけで、19世紀には美術品保護なんて考え自体なかったんだから仕方ないんだねえ。
今回は仏画をはじめとして、水墨画、絵巻、刀剣、能装束など着物類、障壁画、などの名品が並ぶ。浮世絵や琳派などはあまりないのでいささか通好みというか、渋い選択かもという気はした。
私がいちばん面白かったのは、「吉備大臣入唐絵巻」。遣唐使吉備真備の活躍を描いたもので、話もドラマティックで面白いが、絵もユーモラスでかつ細かい描写が生き生きとして楽しい。こういうのを観ると、日本人の漫画好きは1000年近く昔からのものなんだなあ、と感心するやら呆れるやら。
(HPで詳しく見られます)

吉備大臣入唐絵巻 (きびだいじんにっとうえまき) (部分)
見た目に華やかだったのは着物類。能装束はお大名が贅を尽くして作ってるからまさしく金襴豪華。小袖類も意匠が凝っていて綺麗ねえ。

小袖 白綸子地松葉梅唐草竹輪模様
(こそで しろりんずじまつばうめからくさたけわもよう)
仏像、仏画も名品揃い。

弥勒菩薩立像(みろくぼさつりゅうぞう)
快慶作 鎌倉時代・文治5年(1189)
鎌倉仏像にしては優美な表現。ほっそりとした体つきも評定も美しい。
充実していたのは水墨画や障壁画。

龍虎図屏風 (りゅうこずびょうぶ) 長谷川等伯筆
出光美術館に似た感じの虎の絵があったような。ユーモラスだが端正な、晩年の等伯らしい気品ある絵。
そして今回の目玉とされるのが簫白の数々の絵。

雲龍図
中でもこれはど迫力の一言。ちょっと笑っちゃうくらい。この目玉とか爪とか、もうほとんど劇画の世界。面白いですねえ。江戸時代ですよ。
浮世絵はないし、日本美術を網羅した展覧会ではないけれど、とても面白かったです。
http://www.boston-nippon.jp/
ボストン美術館の、日本美術だけの里帰り展覧会。
つくづく、こんなすごいモノを海外に放り出しちゃって、明治時代の日本政府の芸術政策の無策ぶりを感じる。まあ、とは言えそういうのは日本だけじゃなくて、エジプトやギリシャの美術品は大英博物館はじめヨーロッパの博物館に行った方が良いものが観られたりするわけで、19世紀には美術品保護なんて考え自体なかったんだから仕方ないんだねえ。
今回は仏画をはじめとして、水墨画、絵巻、刀剣、能装束など着物類、障壁画、などの名品が並ぶ。浮世絵や琳派などはあまりないのでいささか通好みというか、渋い選択かもという気はした。
私がいちばん面白かったのは、「吉備大臣入唐絵巻」。遣唐使吉備真備の活躍を描いたもので、話もドラマティックで面白いが、絵もユーモラスでかつ細かい描写が生き生きとして楽しい。こういうのを観ると、日本人の漫画好きは1000年近く昔からのものなんだなあ、と感心するやら呆れるやら。
(HPで詳しく見られます)

吉備大臣入唐絵巻 (きびだいじんにっとうえまき) (部分)
見た目に華やかだったのは着物類。能装束はお大名が贅を尽くして作ってるからまさしく金襴豪華。小袖類も意匠が凝っていて綺麗ねえ。

小袖 白綸子地松葉梅唐草竹輪模様
(こそで しろりんずじまつばうめからくさたけわもよう)
仏像、仏画も名品揃い。

弥勒菩薩立像(みろくぼさつりゅうぞう)
快慶作 鎌倉時代・文治5年(1189)
鎌倉仏像にしては優美な表現。ほっそりとした体つきも評定も美しい。
充実していたのは水墨画や障壁画。

龍虎図屏風 (りゅうこずびょうぶ) 長谷川等伯筆
出光美術館に似た感じの虎の絵があったような。ユーモラスだが端正な、晩年の等伯らしい気品ある絵。
そして今回の目玉とされるのが簫白の数々の絵。

雲龍図
中でもこれはど迫力の一言。ちょっと笑っちゃうくらい。この目玉とか爪とか、もうほとんど劇画の世界。面白いですねえ。江戸時代ですよ。
浮世絵はないし、日本美術を網羅した展覧会ではないけれど、とても面白かったです。
タグ:ボストン美術館
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