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四世中村雀右衛門三回忌追善舞踊会 [舞台]

8月21日(木) 夜の部 
国立劇場小劇場 

早いもので京屋さんが亡くなってもう三回忌だとか。正確には2月に亡くなられたので約2年半がたった。その間に新しい歌舞伎座もでき、毎月公演が行われ、どんどん押し流されてちょっと前のことも思い出すのが難しくなっていく。
そんな中で、雀右衛門さんを偲んで息子さん達、お孫さん、それにお弟子さん達が追善の舞踊会を開いた。

一・長唄 廓三番叟
傾城千歳大夫 京紫
太鼓持藤中 京純
新造梅里 京三郎

二・ 上 萩江 現在道成寺
傾城清瀧 京蔵

   下 長唄 手習子
娘お京 京妙

雀右衛門さんは、ぽってりとした濃い色気のたっぷりした美しい女形さんだった。私が生の舞台を観たのは晩年になられてからだったけど、80才くらいを過ぎてもまだまだお綺麗で、ほんとにしたたるような色気のある方だった。
お弟子さん達の踊りも、さすが京屋一門、みなさん濃いわあ。旦那を長い間見続けて、薫陶を受けたお弟子さん達。京紫さんははんなりと品良く、京蔵さんはたっぷりと美しく貫禄あるそれでいて儚げな傾城。そして京妙さんの手習い子の可愛らしく、それでいておませな娘といった色気と言ったら。
もうこの三つの踊りで既に京屋色に舞台が染まった。

鼎談
吉右衛門、友右衛門、芝雀

鼎談と言っても実質は聞き手の松竹の岡崎常務が吉右衛門さんに話を聞く形。時々息子さん二人が相槌を打ったりする程度。
吉右衛門さんの雀右衛門さんの印象は「寡黙な方でしたね」と。それでいてぼそっと仰ることがある。ある日楽屋にご挨拶にうかがったら、突然自分のあるお弟子さんのことを話され、(いろいろ事情があって苦労してるので)機会があったら使ってやってね、と。突然だったのでびっくりした。そんな風にお弟子さんの心配をしてくれる役者なんて他にいない。
芝居の上では、ほんとうにおとくでも相模でも情のある芝居をされた。そして自分のような若輩者でも一歩下がって常に立ち役を立てて下さる方だった。今はああいう女形はあまりいない。
(ここでちょっと脱線して)ほんとの女性以上に女らしい方で、うちの家内の方がよっぽど男っぽい。

と真面目にお話しされているかと思ったら、突然立ち上がって芝雀さんと友右衛門さんの顔の汗をふいてあげるキッチー。可笑しい。恐縮して余計に汗かく芝雀さん。可愛かった~。

三・清元 吉野山
忠信実は源九郎狐 廣太郎
静御前 廣松

お孫さん二人の踊り。若くてまだまだ未熟なところはあるけれど、一生懸命お稽古してるんだなと言うのが伝わる気持ちの良い舞台でした。特に廣太郎君、きっちりして清潔な感じが良い。廣松君もだいぶお化粧が上手になって(これほんとに女形は大事だから)可愛くなってきたし、ますますがんばって。

四・萩江 鐘の岬
清姫 友右衛門

この踊りは「道成寺もの」の一つ。先程の鼎談で、雀右衛門さん生前にこれを何かの会で踊りたいと友右衛門さんが言ったら「お前はダメ(無理、だったかな?)」と言われた、と懐かしそうに話されていた。
友右衛門さんの女形なんて、助六の茶屋のおかみとかくらいしか見たことないので、凄く珍しい。やはり京屋仕込みのたっぷりとした踊り。さっきのお弟子さんでも「たっぷり」ばっかり言ってるけど、ほんとうに、ゆったりとこせこせ体を使わない、大輪の花のようなのが京屋さん流なんだね。

五・長唄 春興鏡獅子

小姓弥生後に獅子の精 芝雀
家老渋井五左衞門 吉三郎
用人関口十太夫 吉五郎
局吉野 梅乃
老女飛鳥井 幸雀
胡蝶の精 京珠、京由

芝雀さん、特に踊りがお得意という印象はないので、演目を聞いた時は失礼だが「えっ、鏡獅子?大丈夫?」と思ってしまった。実際に拝見しても、散々踊りの上手い人のを見てるので技術的にはやや見劣りがするのは否めない。だけど、にもかかわらず、とても素敵な弥生だった。なにより小姓としての性根がしっかりしていて、とてもお行儀よく、品が良い。おっとりとして可愛らしい。この日今まで見てきた中ではお弟子さんよりお兄さんより「濃い色気」では負けている(苦笑)。でもこのほんのりとした優しげな色気が芝雀さんの持ち味。ほんとに可愛らしい弥生でした。
個人的なツボは二枚扇に手こずって一瞬素に戻っちゃった表情と、最後獅子頭に引っ張られていく時の「いや~ん、助けて~」な顔がめっちゃ乙女だったところ。

後シテの獅子では、隈を取った顔が想定外にハンサムでびっくり。そういえばこの人の隈取りなんて見たことなかったわ。毛振りはまあなんとか回しました、なレベルだったけど。
幕切れに片足で立つところが、なかなかできず、2回公演の2回目だしお疲れよね。。。と同情(!)していたらもう緞帳が下りてきてほんとに最後にやっとお上げになったのが、おおよく頑張りました、って感じでちょっと胸熱(いやほんとは良くないんだけど、まあいいじゃないですか)

胡蝶の精は芝雀さんの若いお弟子さん二人が務めた。きちんとして可愛かった。
幕開きの用人らは播磨屋の二人を始め友情出演と言ったところだが、プログラムにはこの人達も雀右衛門さんの思い出を寄せていて、皆に慕われていた様子が伝わった。

長唄三味線なども、里長、三右衛門、栄津三郎、傳左衛門らそうそうたる顔ぶれが並んだ。これも京屋さんのご威徳だろう。
プログラムにはみなさんの思い出話とともに、在りし日の京屋さんの写真が載っていて舞台姿は美しく、素ではバイクに乗って格好いい、素敵なジャッキーを思い出した。

息子さん達はもちろん、お弟子さん達まで熱い心の伝わる、、また客席も温かい空気に包まれた、素晴らしい追善でした。

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コメント 2

★とろりん★

mamiさま

読んでいるこちらまで、温かい気持ちを分けていただきました!

今でも、新しい歌舞伎座の舞台で京屋さんのお姿を拝見できない、という事にふと気づくたびに、なんとも切ない気持ちになります。

それにしても、友右衛門さんと芝雀さんの汗を拭ってさしあげる播磨屋さんの図、を想像しただけで激しく萌えます(≧∇≦)。優しい~☆
by ★とろりん★ (2014-08-29 13:24) 

mami

とろりんさん、
雀右衛門さん、富十郎さん、芝翫さん。。。歌舞伎座新開場を待たずに逝かれた方々を思うと寂しさがこみ上げてきますね。その方々の分まで、遺された役者さんには頑張ってほしいです。

キッチーが突然立ち上がるので何事かと思ったら、ご兄弟の汗をふきに行くので呆気にとられ、次に笑いがこみ上げました。ほんとお茶目なんだから~。舞台での厳しいお姿とのギャップに悶えます。
by mami (2014-08-29 21:28) 

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