So-net無料ブログ作成

伊賀越道中双六 [舞台]

国立劇場大劇場

昨年来の国立劇場開場50周年記念公演の掉尾を飾る公演。
平成26年12月の公演が歌舞伎として初めて読売演劇大賞を受賞したことも受けての早々の再演はありがたい。

序  幕 相州鎌倉 和田行家屋敷の場
二幕目 相州鎌倉 円覚寺方丈の場
      同          門外の場
三幕目 三州藤川 新関の場
      同         裏手竹藪の場
四幕目 三州岡崎 山田幸兵衛住家の場
大  詰 伊賀上野 敵討の場

(主な配役)
唐木政右衛門            中 村 吉右衛門
山田幸兵衛              中 村 歌  六
佐々木丹右衛門・奴助平     中 村 又 五 郎
和田志津馬              尾 上 菊 之 助
近藤野守之助            中 村 歌  昇
捕手頭稲垣半七郎・石留武助  中 村 種 之 助
幸兵衛娘お袖            中 村 米  吉
池添孫八               中 村 隼  人
沢井城五郎・夜回り時六      中 村 吉 之 丞
和田行家               嵐   橘 三 郎
沢井股五郎              中 村 錦 之 助
政右衛門女房お谷         中 村 雀右衛門
幸兵衛女房おつや         中 村 東  蔵

配役もほとんどが前回と同じ。
場割は前回の誉田家大広間の場をなくして円覚寺を上演。
ただし円覚寺では本行の股之助の母を出さなかったため、争いの種の刀の扱いについても変更になっているが、文楽を見ていない人には気にならないかも。

全体に、やや手探り感もあった前回よりさらに練れて深みが増した。
序幕では橘三郎が厳格だが子供の心配もする老武士を手堅く見せた。
錦之助が憎々しい敵役で役の幅が広がった。普段優男や屑男なのに。。。(笑)

円覚寺では又五郎が非業の死を遂げる丹右衛門。律儀で物堅い武士の様子があって儲け役。
その同じ又五郎が次の関所の場では奴の助平で、三枚目ぶりで笑わせる。まさに180度転換。いや~、上手いな又さん。

菊之助の志津馬は「家中きっての男前」と言われるだけの二枚目ぶり。それを自覚して、自分に一目惚れしたお袖を利用する非情さも匂わせる。ここが前回より強く感じられたのが進歩。
お袖は米吉で、黄八丈の着物がよく似合いかわいらしい娘ぶり。志津馬に見とれる様子がいじらしい。

眼目の岡崎。
歌六の幸兵衛が素晴らしい。前回にまして古武士の腹の据わった様子が大きく、また口跡の良さが素晴らしく舞台を締める。

吉右衛門は、関所で登場したときの身のこなしがいかにも剣豪の隙のなさ。
岡崎では偶然であった昔の師匠幸兵衛から敵の手がかりを得ようと緊迫感がみなぎる。女房のお谷が苦しむのも見殺しにして、我が子が人質にされそうになると無残にも子を自ら殺して、そうまでしても股五郎の行方を探ろうとする。その非情さが今まで文楽で観てもいまいち納得がいかなかった。前回の吉右衛門の舞台ですら。だが今回のを観たら、そこまで政右衛門が追い詰められて、極限状態にあったのだと言うことがわかった。今このチャンスを逃したら、今度いつ手がかりが得られるかわからない。今までの苦労も水の泡になるかもしれない。そういう緊張と恐れに夫婦親子の情も捨てざるを得なかった、と言うよりとっさに我が子を手にかけてしまった武士の悲しさつらさが胸をえぐる。

雀右衛門のお谷、岡崎では巡礼となって夫の後を追い、苦難にあえぎながらなんとか夫に子供を見せたい一心の切なさを口説きに聞かせる様子が哀れさにあふれる。その苦労がかえって徒となって夫に我が子を殺され、でもそれも仇討ちのためとあれば文句も言えない。武家社会の女のつらさをひしひしと感じさせる。

米吉のお袖も最後は尼となる。女二人と赤ん坊の犠牲の上に仇討ちは成就する。
最後の鍵屋の辻では隼人と種之助も奴で立ち回りで元気はつらつ。
今回は敵側の歌昇は憎らしげな様子が意外に似合って、最後は吉右衛門叔父様に切られて本望か。
とにもかくにも最後は敵を討ってめでたしめでたしで幕。

前回、40何年ぶりとかで復活された岡崎、またこれっきりになるのはなんとももったいない。ぜひ他の座組でも取り上げてほしいし、歌舞伎座でもやってほしいと思う。

この公演で、去年から続いた国立劇場50周年記念も終わり。千穐楽には終演後理事長のご挨拶と吉右衛門の音頭で手締めも行われた。




nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
メッセージを送る