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松竹座七月大歌舞伎夜の部 [舞台]

松竹座
1707松竹座a.jpg

例年七月の松竹座はにざ様中心の公演だが、今年は夜の部だけの出演。

再春菘種蒔
一、舌出三番叟(しただしさんばそう)
三番叟   鴈治郎
千歳    壱太郎

見るからに福々しい(笑)鴈治郎の三番叟は、踊りはきっちりと行儀良く。もっと派手でも良いくらいだがほどよく収めていた。
壱太郎の千歳もたおやかで美しい。

通し狂言
二、盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)

薩摩源五兵衛    仁左衛門
笹野屋三五郎    染五郎
若党六七八右衛門   松也
芸者菊野     壱太郎
ごろつき勘九郎   橘三郎
仲居頭お弓   吉弥
富森助右衛門   錦吾
芸者小万    時蔵
家主くり廻しの弥助/出石宅兵衛   鴈治郎
同心了心    松之助

見終わって、言葉もない。というのが正直な感想。それくらい仁左衛門が凄かった。
幕開きの鷹揚なお侍さんの様子が可愛らしくさえあるだけに、後半の殺しの場の冷たさが胸を刺す。

心の闇と言葉で言うのは簡単だが、それをまざまざと見せてくれるニザ様。小万夫婦を訪ねて花道に出てくる横顔が逆光に浮かび上がったときのゾクッとする冷たさに、この人の心はもう死んでいると震える心地。光の消えた瞳が一瞬燃えるのは、小万の「あの人を助けて」の言葉を聞いたとき。修羅。

その鬼には誰がした、と憎しみをぶつける一方で、首をそれはそれは愛おしそうに抱きかかえて頬ずりする男は本当に鬼なのか。これを冷血鬼と呼べるのか。究極の、歪んでいたとしても愛の深さに息をのむしかない。

時蔵の小万あだっぽくて小粋な芸者の色気と、本来の人の良さがない交ぜに見えるのが良い。ほんとは源五兵衛のことだって騙したくはなかった。すべては夫のため。だから瀕死でも夫をかばう切なさが哀れ。

染五郎の三五郎も良いんだけど、個人的にはあの役にはもう少し陰がほしい。ちょっと真っ直ぐすぎる感じ。勘当受けた身の悲しさ悔しさがあるからこそ、人を騙しても金がほしいという鬱屈のようなものが感じられたらなお良かった。

松也の八右衛門、誠実で主思いの真っ直ぐさがよく見えて良い。ニザ様相手に大健闘。とても良い経験になると思う。今後に生かしてほしい。
しかしまあ、今日いちばん萌えたのは、ニザ様がマッティにほおかむりさせてやって抱きしめたとこだよなあ~。多分客全員がマッティに嫉妬したはず。

鴈治郎が強突く張りな大家をコミカルに。この陰惨な芝居の息抜き。

まあとにかくにざ様が凄かったとしか言い様がなく、細かいことは思い出せないレベル。こんなの見られて大阪の人は幸せでっせ。
この日の席は生協で安く取ってもらった、花外左のしかもいちばん後ろと言う、自分ではまず取らない席だったけど、おかげで花道を出入りするニザ様を堪能した。逆光でみえないとこもあったけど、反対に逆光に浮かび上がるお姿の陰影の神々しさに息するのを忘れそうだった。
ひょっとするとにざ様の源五兵衛はこれが最後になるかもしれない。そう思わせる渾身の舞台だった。ありがたい。
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