So-net無料ブログ作成
検索選択

真葛香山展 [美術]

日本橋三越新館7階ギャラリー
https://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/event/makuzukozan/index.html
ちらし.JPG
明治の超絶技巧の焼き物の真葛(宮川)香山の展覧会。
宮川家は代々京で焼き物に携わってきたが、明治初めに初代香山が横浜へ窯を移し、真葛焼を始めた。その後四代にわたって繁栄したが、昭和20年の横浜空襲で窯が灰燼に帰し、再建かなわず終焉したとのこと。
装飾性の高い作品は、特に外国で人気が高く、ほとんどが輸出され国内に残っているものは少ないらしい。
今回の展覧会は、鎌倉の吉兆庵美術館所蔵の貴重な品々を見られるありがたい機会。

作風は本当にいろいろ。京焼から始まっているので、仁清写し、乾山写しと言った華麗な絵付けのものも多い。

1a.JPG
乾山意松竹梅大壷
大胆な松の意匠に梅が愛らしい、乾山風の作品。

3a.JPG
古清水意真葛窯水指
絵付けも美しいが、透かしの技術が素晴らしい。

4a.JPG
真葛窯変釉蟹彫刻壷花活
圧巻はチラシにもなってるこれ。蟹がくっついてるんだけど、よく見ると二匹重なってる。リアルで気持ち悪いくらい(苦笑)。焼き物でこの質感が出るのが凄い。まさに超絶技巧。

2a.JPG
黄釉染付桑に群鳥の図
かと思うと、こんなすっきりと品の良い染付の作品も。
全く、どれが本領なのかと思ってしまうくらいジャンルがいろいろ。面白かった。

また会場では、香山の花器に本物の花を生けてディスプレイしてあり、これもとても素敵だった。こういうのはデパートの展覧会ならではかも。

偶然なのか、サントリー美術館でも香山の展覧会が始まった。あっちも行かなきゃ。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

バレンボイム&シュターツ・カペレ・ベルリン [音楽]

2月20日(土) サントリーホール

バレンボイムとSKBが、日本でブルックナー・チクルスを敢行した。
ベートーヴェンやブラームス・チクルスはよくあるが、ブルックナーとは。え、ブルックナーって日本でそんなに人気あるんですか。
正直言うと、私はブルックナーは苦手で、この演奏会も最初は食指が動かなかったが、バレンボイムの弾き振りもあるのでやっぱり行くか~、と言う感じで足を運んだ。

この日はチクルス最終日。

プログラム
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
ブルックナー:交響曲第9番

まずはバレンボイムのピアノでモーツァルト。オケはガンガン鳴らすし、バレンボイムはちょっとお疲れな感じもし、特に第2楽章などねちっこく聞こえて、個人的にはあまり好みのモーツァルトではなかった。もうちょっと、軽やかで爽やかなのが好みなの。やっぱりバレンボイムはベートーヴェンやブラームスみたいな方が向いてるのかな。。。?
でもバレンボイムは機嫌よかったらしく、アンコール2曲も弾いてくれた。
モーツァルトのピアノソナタ第10番から第2楽章アンダンテ・カンタービレ、第3楽章アレグレット。
ちょっと得した気分。だって他の日はアンコールなかったようなので。コンチェルトよりソナタの方がすっきりしていて良かったなあ。

後半はメインのブルックナー。先述の通り、普段あまりブルックナーを聴かないので、他の演奏との比較はできない。
オケは、モーツァルトより人数を加え、厚みがさらに増した。特に弦パートの圧力がグイグイ押してくる感じ。金管もパワフル。そこへ木管が天上から差し込む光のように透明感のある美しい響きを乗せる。ああ、ドイツのオケだな~、と聞き惚れる。

バレンボイムは、どっちかというと無骨にも見える指揮ぶりでムーティみたいな華麗な棒さばきではない。でも素晴らしい求心力があって、オケを引っ張っていく。
時に怒濤のように響く音がホールを満たし、時にひそやかな木管のソロが耳をくすぐる。その大波小波に飲み込まれて、気がつくとぽかんと口を開けて聴いていた。

いや、上手く言えないけど、これは凄いものを聴いているに違いない。それだけはわかる。今この時、サントリーホールに何かが舞い降りてきている、そういう感覚。

ブルックナー、面白いじゃないの。
うん十年クラシック聴いてきて初めてそう思ったくらいだった。これからもうちょっとちゃんと聞こうかな。

それにしても、チクルス全部通ったお客さんもいるんだろうな。強者。経済的にも、だけど。
チクルスの最終日と言うこともあったのかも知れない。何かしら、尋常ではない「気」が満ちているような演奏だった。


nice!(3)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

フェルメールとレンブラント展 [美術]

森アーツセンターギャラリー
http://www.tbs.co.jp/vermeer2016/

17世紀オランダの黄金時代の巨匠たち展。
目玉のフェルメールとレンブラントは各1点ずつ。それでも十分満足できる。

4a.JPG
ヨハネス・フェルメール
《水差しを持つ女》
私はフェルメールよりレンブラント派なんだけど、これはなんだかとっても好きだった。
劇的でもなんでもない日常のワンシーンを描いて、これほど美しい絵になるとは。窓から差し込む光の柔らかさ、女性のベールに透ける頭、銅の器に反射する室内とテーブルクロス。。。本当に隅々まで計算されつくし、しかも見ているものにその計算を感じさせない自然さ。陶然と眺めてしまった。

5a.JPG
レンブラント・ファン・レイン
《ベローナ》
戦争の女神ベローナの肖像画。メドゥーサの像を彫った盾を持ち、堂々たる姿。フェルメールと違い、歴史画の形を取り暗がりの中に鎧の鈍い光が浮かび上がる。レンブラント20代前半の作品。その腕の冴えに舌を巻く。晩年の肖像画のような、人物の内面をあぶり出すような絵とは違うが、技術的にはもう完成されていたのだろう。

まあ、この2枚を観に行ったようなもので、他はおまけな気分だったが、さすがオランダ絵画黄金期、見応えのある絵が並ぶ。

2a.JPG
ウィーリンゲン
《港町の近くにて》
海洋国家だったオランダ、湊や船を描いた絵も人気があった。これもその一つ。立派な帆船はもちろん、空の描写も見事。

1a.JPG
サーンレダム
《聖ラウレンス教会礼拝堂》
こういう、教会など建物内部の絵が発達したのはオランダの特徴。なぜ人気があったのかな。写真のように細密に描かれた教会。でも必ずしも実在の通りではなく、画家の創造のものもあるというから面白い。

3a.JPG
カルフ
《貝類と杯のある静物》
オランダ絵画と言えば静物画、と言う印象もある。

6a.JPG
フランス・ハルス 《男性の肖像(聖職者)》
レンブラントと並ぶ肖像画家、フランツ・ハルス。でもハルスのはなんだか親しみやすい。


知らない画家も多かったが、フェルメールとレンブラントだけでなく他の絵も素晴らしかった。しかし、バロック絵画ってなんか「茶色っぽい」気がするのは不思議(笑)。イタリア・ルネッサンス絵画とは色彩感が全然違うんだなあ。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

はじまり、美の饗宴展 [美術]

国立新美術館
http://hajimari2016.jp/
「すばらしき大原美術館コレクション」とあるとおり、倉敷にある大原美術館の名品展。
大原美術館には一度行ってみたいと思いながら、まだ果たせていない。倉敷自体まだ行ったことないのよね。

倉敷の大実業家大原孫三郎(1880-1943年)が創設した、日本初の西洋美術を紹介する本格的美術館。豊富な財力を持って、同じく岡山県出身の画家である児島虎次郎(1881-1929年)が収集した優れたコレクションを礎に、西洋美術だけでなく、東洋、日本美術にも拡充している。

目玉はなんと言ってもこれ。
エル・グレコa.JPG
エル・グレコ《受胎告知》
1590年頃 - 1603年
「現在日本にあることが奇跡とさえ言われる作品」。確かに日本にエル・グレコの、しかもこのレベルの絵があるなんて信じられない。しかもこれ、オークションじゃなく、巴里の画廊で売りに出されてるのを児島が見つけたと言うからまた驚き。
エル・グレコ特有の縦に引き延ばされた画面、室内や風景といった背景もなく、マリアと天使、聖霊である鳩だけが劇的に描かれる。

西洋美術はこのエル・グレコ以外は19世紀中頃以降の近代絵画が並ぶ。モネやセザンヌ、ドガといった印象派が多い。
ゴーギャンa.JPG
ゴーギャン《かぐわしき大地》

実は無知で、大原美術館は西洋絵画専門だと思っていた。オリエント、エジプトなどの美術もあって、へえ、とびっくり。
だが今回の展覧会で、正直言うと感銘を受けたのは日本美術の方だった。
岸田a.JPG
岸田劉生 「童女舞姿」
言わずと知れた麗子像の1枚。着物の質感がすごい。

萬a.JPG
萬鉄五郎 「雲のある自画像」
これにしても、上の岸田劉生にしても、なんというか「日本人の描く西洋画」という感じが色濃く出ている。モデルが日本人だからと言うのではない、西洋人には描けない絵。

志功a.JPG
棟方志功 「流離抄板画柵 31図[詩:吉井勇]の内 狐狼の柵」
これが素晴らしかった。全部で何枚あったか。どれもこのように絵と詩が描いてある。美しくて楽しくて力強い。
志功は他にも「二菩薩釈迦十大弟子板画柵」もあってこれも傑作。

工芸では民藝運動の濱田庄司、バーナード・リーチ、富本憲吉、河井寛次郎らの陶芸が目を引く充実ぶり。

さらに戦後は,孫三郎の後継者らが現代美術のコレクションも拡充する。ピカソ、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコらのモダン・アートが並ぶ。
そして現在も、アーティスト・イン・レジデンス・プログラムと言う活動などを通じて、現代作家との共同作業を行っているという。ただ単にコレクションを展示するのではなく、作家の制作にかかわっていく。これほど充実した活動を行っている美術館は国内では珍しいのではないだろうか。
現代美術は私にはよくわからないので、最後のコーナーはちんぷんかんぷんではあったけれど、素直にその活動に感服。倉敷にも行かなきゃな~。

とにかく見応えのある展覧会。是非ご覧下さい。


nice!(6)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦展 [美術]

1月31日(日) 江戸東京博物館
http://www.davinci2016.jp/index.html

山種美術館を見た後、両国にとって返す。ちょっと時間が足りないかな、とも思ったけど、見たかったのは1枚だけなので十分だった。

メイン、と言うか、油絵の真筆は「糸巻きの聖母」一点のみ。でもこれが見られただけでありがたい。
エジンバラの公爵家の所蔵で現在はスコットランド・ナショナル・ギャラリーに寄託。初来日、どころか、イギリスを出るのも1939年以来というまさに秘宝。

a.JPG
ダ・ヴィンチ「糸巻きの聖母」1501頃
前景の聖母子と岩はダ・ヴィンチの真筆、背景は後世の加筆と考えられているそう。
やや不自然なポーズで糸巻きを手にする幼子イエスと、それを支える聖母マリア。マリアの陰影のある表情がなんと言っても美しい。イエスは屈託のない柔らかい表情を浮かべる。
でも、マリアの青い服とイエスの肌が浮いて見えて、よく見てるとなんだか合成のように見えてくる不思議な感覚。この青いケープも加筆じゃないんだろうか、なんて素人頭で考える。いやでもとにかく、二人の顔が素晴らしいから他はいいや。

b.JPG
第二の目玉はダ・ヴィンチ自筆の「鳥の飛翔に関する手稿」。ダ・ヴィンチが鳥の羽の構造や動きを研究して飛行機を作ろうとしていた、そのスケッチ。びっしりと書き込まれたメモと、鳥などのデッサン。さらには息抜き(?)に描かれたいたずらがきみたいな自画像なども。

他にも技術者としてのダ・ヴィンチの考案した土木技術関連の模型なども多数。男性はこういうの好きよね。食い入るようにご覧になってる方多数。私はあまり興味がないのですっ飛ばしたけど。

絵画では、ダ・ヴィンチのものはいくつかのスケッチが。
d.JPG
ダ・ヴィンチと弟子「手の研究」
この手は糸巻きの聖母子のマリアの手と左右が違うが同じ。

油絵は、弟子達や、後世のダ・ヴィンチを崇拝した画家の模写や影響を感じさせる絵がある。
c.JPG
カプロッティ 「12歳のキリスト」
面白いのは、そういう他の画家の絵がどれもどこか不気味に見えること。そもそもダ・ヴィンチの絵の、特に女性の顔ってちょっと不気味なところがある。あのモナ・リザも。でもそれをあまりそう感じさせない、ぎりぎりのラインを描いているんだろう。だが他の人がそれを真似しても真似しきれないでほんのちょっとのことでバランスが崩れる。天才と凡人の差がいかに大きいか。

絵画目当てだと数は少ないが、はじめにも言ったとおり「糸巻きの聖母」だけでも満足できる。
科学者ダ・ヴィンチが好きならなおさら楽しめるだろう。

nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

ゆかいな若冲 ・ めでたい大観展 [美術]

1月31日(日) 山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

tirasi.JPG
今年は若冲生誕300年とか。記念の展覧会もいろいろありそうだが、まずこちらのは新春らしく、おめでたい、楽しい絵を集めたもの。

1a.JPG
若冲「河豚と蛙の相撲図」
まずは若冲版鳥獣戯画?二匹の顔がなんともユーモラス。毒を持つもの同士の勝負に何らかの比喩があるのかも、とあったが、まあいいじゃないかそんなことは。ただクスクスと笑って見たい。

4.JPG
横山大観 「心神」
大観と言えば富士、と言うくらいたくさん富士を描いた人。気高い富士はまさにおめでたい図柄の筆頭格。

2.JPG
河鍋暁斎「五月幟図」
こちらはお正月じゃなくて五月の節句のお飾り。勇ましい鍾馗、昇る鯉などがにぎやか。

3.JPG
竹内栖鳳《艸影帖・色紙十二ヶ月》のうち「鯛(一月)」
めでたいと言ったらやっぱり鯛。栖鳳の絵は写実だが、これは色紙のようにささっと描かれたようで、でもまだ生きてるような鯛。ちょっと顔が恨めしそうだったりして。

これらの他にも鶴、亀、松竹梅に七福神など吉祥の図柄、今年の干支の猿の絵がたくさんあって、どれも楽しい。のんびり楽しんで見たい展覧会。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 昼の部 [舞台]

1月26日(火) 歌舞伎座

一、廓三番叟(くるわさんばそう)
傾城千歳太夫   孝太郎
新造松ヶ枝    種之助
太鼓持藤中    染五郎

初春の舞台の幕開けに相応しい、ゆったりとおめでたい演目。
孝太郎の傾城が貫禄と艶やかさを見せる。
染五郎の太鼓持ちというのはもったいない気がするが、軽やか。
でも誰より目を引いたのが、おそらく本公演では初の女形の種之助。ええ、種ちゃん?か、かわいいっ!月初に初見の時はまだ表情が硬かったが、楽日にはお行儀良い中にも、ちょっといたずらっぽい表情が浮かんだり、太鼓持ちにつんけんする時はほっぺたがプクッとなったり、うわはは、可愛い、可愛い。去年の勉強会で船弁慶の静をやった時から、もっと女形やればいいのにと思っていた。これからもやってほしいな。

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
鳥居前
佐藤忠信実は源九郎狐  橋之助
源義経   門之助
静御前   児太郎
逸見藤太   松江
武蔵坊弁慶   彌十郎

橋之助は顔が大きくて隈が映える。立派な役者顔。この忠信も勇壮できりっとして、義経に仕える律義さもあってなかなか。芝翫襲名を控え、これからこういう役も増えるんだろうな。

門之助の義経は鉄板。気品ある御大将ぶりが凛々しく、すっきりとした二枚目振り。
静の児太郎が綺麗でおっとりとした中にも義経を慕ういじらしさがあって良い。ほんとに綺麗になってきたなあ。

三、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
鶴ヶ岡八幡社頭の場
梶原平三景時  吉右衛門
梢         芝雀
俣野五郎景久  歌昇
奴菊平      種之助
山口十郎     由次郎
川島八平     桂三
岡崎将監     宗之助
剣菱呑助     男女蔵
大庭三郎景親   又五郎
六郎太夫     歌六

吉右衛門の石切梶原は当たり役の一つ。出端の花道での「しからば、ごめ~ん」の一言でもう気分が上がる上がる名調子。本舞台に乗ってからも終始大人の余裕を漂わせる。決して、大庭をはじめ回りの人を見下している風ではないのに、何か空気を支配している大きさがあって、しかもそれが暖かい。常に口の端、目の端に笑みが浮かんでいるような気配。そして表情がとにかく豊かで、特に六郎大夫が持ってきた刀を見て魅せられる様子が実に生き生きとうれしそう。さらに試し切りの後、惚れ惚れと刀に見入る様子が、お気に入りのおもちゃを手に入れた子供のように、楽しそうで嬉しそうで、可愛いのなんの。
もちろん台詞の調子の良さも絶品。試し切りしてくれという六郎大夫へかける言葉のあたたかさ、自分が試し切りをするという俣野を叱りつける調子の手厳しさ、終盤、頼朝を助けた様子を物語る時の朗々たる台詞回し、どれを取っても聞き惚れるような名調子。あ~、気持ちいい!
刀に下げ緒を巻く仕草も含めて、目が離せない吉右衛門様の梶原。ほんとに素敵だった。

芝雀の梢も持ち役。可憐で親思いの様子がぴったり。父を助けようとしてのクドキが切なく、一転、最後の浮き浮きとした様子が可愛らしい。
歌六の六郎大夫も慈愛ある父親で、また気骨あるところも見せる。
吉右衛門とこの二人が鉄板のトリオで、筋と言ってはどうってことないこの演目が極上の一幕となる素晴らしさ。

俣野は今回初役の歌昇。観る前は心配したが大健闘。やんちゃでお馬鹿な俣野を元気よくやっていて、吉右衛門の叔父様の梶原相手に怖めず臆せずきっちり芝居していて、感心。
大庭は俣野が持ち役だった又五郎が昇格(?)。大名の貫禄をしっかり見せて安定。
種之助がさっきとは打って変わってきびきびした奴。ほんと器用な子だわ。
呑助は男女蔵。がんばってたけどもうちょっと可笑しさが出ると良い。


四、新古演劇十種の内 茨木(いばらき)
伯母真柴実は茨木童子  玉三郎
士卒運藤   鴈治郎
士卒軍藤   門之助
太刀持音若   左近
家臣宇源太  歌昇
渡辺源次綱   松緑

玉三郎は前半が圧倒的に良い。音もなく現れ出てくる花道での姿は、ただひっそりと歩いてくるだけなのにどこかひんやりとした空気をまとう。ひっそりと戸を叩き、物忌みだから入れないと言われて恨み言を言って戻っていく姿に悲しみが纏わり付く。呼び戻されて再び花道をやってくる足どりの速さが老女のそれではない。綱と対面している姿は、どう見ても慈愛に溢れた伯母様。そりゃ綱も騙されるわ。それが、唐櫃に入った鬼の片腕を見た瞬間、文字通り目の色が変わる。衣装も化粧もおば様のままなのに、完全に鬼と化す。そのおどろおどろしさ。飛び上がった身のこなしも既にすっかり老女ではない。

後シテで鬼となってからは、顔の拵えが眉毛が異常に長かったりしてどこか道化じみていて、怖いより可笑しく見えてしまう。立ち回りも勇壮さにはやや欠ける。やっぱりあんまりこういうのは得意ではなさそう。でも不思議なのは玉三郎の鬼には禍々しさがあまりない。むしろ前シテの時の方が不気味で怖い。だから、後シテの最後で、奪い返した腕を見て満足そうに微笑むところも、むしろちょっと可愛かったりする。明らかに人外なのに。そして妙に清々しい。不思議な鬼だった。

松緑の綱は力強く、まさしく剛の者といった風情。訪ねてきたのが若い女だったら中に入れたりしないだろうに、恩も義理も、懐かしさもある伯母様だから入れてしまう。そういうところも清廉な武士の様子がよく似合う。踊りはもちろんきびきびとして、決まりが美しい。このところ玉様の踊りの相手役に使っていただけているのが嬉しい。でも、なぜかいつも玉様は人外。。。(笑)

左近ちゃんが行儀良く、きちんとした踊りを見せたのも嬉しい。
間狂言は門之助と鴈治郎。他愛もないと言えばないやりとりが、ほんわか笑える。

昼の部は、どれも見応えがあって、華があって、正月から良いもの観たなあ、と思える舞台だった。


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇
メッセージを送る