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明治座 四月花形歌舞伎 昼の部 [舞台]

4月25日(月) 明治座

一、芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)
葛の葉

女房葛の葉/葛の葉姫  中村 七之助
安倍保名   中村 梅枝
柵   中村 歌女之丞
信田庄司   片岡 亀蔵

七之助の葛の葉は初役だっけ?姫の方の可憐さはもちろん、女房の方もしっとりとして優しく、妻として母としての情の細やかさと深さがあり、また狐の本性を垣間見せる人外の妖しさもさらりと感じさせる。なんか、妙に狐が似合うよね、この人。曲書きはまあ特に上手くはなかったけど、そこそこ。でもちょっと全体に薄味というか、さらさらした感じだった。文楽の濃いのを見慣れてるからだろうか。
最後の引っ込みは、宙乗りも、引き抜きもなく、ここもあっさり。

梅枝の保名が品良く行儀良くきっちり。でもこの人もあっさり系。珍しいカップルだが案外良いかも。
亀蔵と歌女之丞が丁寧に脇を固めた。

二、末広がり(すえひろがり)
太郎冠者   中村 勘九郎
万商人    中村 国生
宝斉娘福子   中村 鶴松
分限者宝斉   片岡 亀蔵

主人に末広がりを買ってこいと命じられた太郎冠者、末広がりが何かわからずに、出会った商人に傘を売りつけられて帰って来て、、、という、高坏に似たような話。

勘九郎は踊りはもちろんきびきびして上手いし、主や商人とのやりとりがコミカルで、ときおり混ざるペーソスも味があって、楽しい。ただこれも「浮かれ心中」同様、父がやるような笑いの取り方がそこかしこに出て、首を傾げてしまう。そんなことやらなくていいのに、と。

国生の商人は、踊りは行儀良く、一生懸命な点が買い。ずるがしこそうに見せようとがんばってるけど、さすがに若さが出てしまってそこは苦しかった。
鶴松のお嬢様が可愛い。おっとりとして嫌味が無く、春風駘蕩と言った様子が好ましい。
亀蔵がここでもきっちり。やり過ぎず、程の良い可笑しさを見せて上手い。

三、女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)
河内屋与兵衛   尾上 菊之助
お吉    中村 七之助
豊嶋屋七左衛門   中村 勘九郎
太兵衛    坂東 亀寿
芸者小菊   中村 梅枝
小栗八弥   中村 萬太郎
おかち    坂東 新悟
白稲荷法印   市村 橘太郎
綿屋小兵衛   片岡 松之助
河内屋徳兵衛   嵐 橘三郎
おさわ   上村 吉弥
山本森右衛門   河原崎権十郎

今月いちばん「えええ」となったのが、菊之助が与兵衛をやると言うことだった。去年は知盛やったし、この頃の菊ちゃんの方向性がよく解らない。
この与兵衛は仁左衛門に習ったそうで、知盛同様、習ったらしっかり及第点に仕上げてくる力には恐れ入る。
菊之助の与兵衛は甘ったれでアカンたれで、それがどんどん道を踏み外していく危うさと怖さがあった。豊島屋内でお吉に「不義になって(金を)貸して下され」と言うところのゾクッとするような色気。意を決して切りつけてからのどんどんエスカレートしていく残虐さ。あまりリアルにやるとげんなりするが、菊之助にはぎりぎりで踏みとどまれる巧さがある。
上方言葉など、まだまだクリアするべき点もあるが、よくぞここまで、と言うのが正直なところ。知盛にしろ与兵衛にしろ、ニンだろうが何だろうが、全部肥やしにして引き出し増やして大きくなっていくんだろうな、と期待。

七之助のお吉は、世話好きの商家のおかみさん。甲斐甲斐しく夫や子供の面倒をみる優しい人。河内屋の主人夫婦とも親しくしていた、そのちょっとお節介なところが悲劇を招いてしまう無意識の無防備さもほの見える。
子供のためにも「死にとうない」と言いながら息絶えるのが哀れで哀れで。葛の葉と言いこれと言い、母親役が不自然でなくなってきたね。甥っ子ちゃん相手にしてるからかな。

橘三郎の徳兵衛になさぬ仲の父親の寂しさと遠慮があり、苦い。
吉弥のおさわも母親の情と義理に泣く様子が悲しい。
梅枝の小菊が色気があり、与兵衛を手玉にとってる感じが上手い。
橘太郎の法印が怪しげでさすが。

昼夜通じて、いちばん得したのは七之助かな。菊ちゃんは何もこれでなくても、だったし、勘九郎にはもっと父と関係ない演目もやってほしい。
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明治座 四月花形歌舞伎 夜の部 [舞台]

4月19日(火) 明治座

ここ数年春の恒例となりつつある明治座公演。ずっと5月だったと思うけど今年は4月。顔ぶれも初めて菊之助が参加、とやや様変わり。

一・浮かれ心中

若旦那栄次郎 中 村 勘九郎
おすず 尾 上 菊之助
太助 坂 東 亀三郎
帚木 中 村 梅 枝
清六 中 村 萬太郎
栄次郎妹お琴 坂 東 新 悟
伊勢屋番頭吾平 市 村 橘太郎
遣手お辰 中 村 歌女之丞
役人佐野準之助 片 岡 亀 蔵
伊勢屋太右衛門 坂 東 彦三郎

十八代目勘三郎が得意にした演目。私が見たのは一度だけだが。
勘九郎は父の型をよくなぞっている。台本そのものが井上ひさしの原作でギャグ満載だし、勘三郎はこういう喜劇が得意だったから十八番にしたのはよく解る。でも勘九郎のニンとは違うんじゃないかなあ。ちゃんと笑わせてくれたし、面白かったんだけど、勘九郎が一生懸命父をなぞろうとすればするほど、個性の違いが見えてくるような気がして、痛々しささえ感じてしまった。

菊之助のおすずが珍しくコメディエンヌぶりを発揮。可愛いお嫁さんなのに、偽りの夫婦喧嘩をして見ろ、と言われていきなり男になって啖呵を切って爆笑。なんであんなに可愛いのに格好いいの。
梅枝の帚木もしれっとした様子が上手い。花魁道中も堂に入っていて、いつでも八ツ橋やれそう。
萬太郎には花魁のヒモはやや荷が重かったか。

亀三郎と勘九郎の共演って珍しいが、亀三さんが器用なところを見せて軽妙。しかしまあ、いつもながら良い声。台詞の多い役だから、耳福。
橘太郎、彦三郎、歌女之丞ら脇がしっかり支えていたのは良かった。

二、二人椀久(ににんわんきゅう)
椀屋久兵衛 尾 上 菊之助
松山太夫 中 村 七之助

これまで松山を勤めてきた菊之助が久兵衛にまわり、七之助が松山を勤めた新鮮な舞台。
まあ、そりゃあヴィジュアル的にはうっとりするくらい美しい。菊之助はもちろん、特に七之助のこの世のものでない儚さをたたえた美しさと来たら。
ただ、踊りそのものに惹きつけられたかと言えば、それはなかった。いわば、静止画像の方が動画より心に残るという感じ。でもそれは舞踊としては、いまいちだったってことだろうな。ただ今後に期待を抱かせるカップルではあることよ。

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4月大歌舞伎夜の部 [舞台]

4月18日(月) 歌舞伎座

一、彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)
杉坂墓所
毛谷村

毛谷村六助   仁左衛門
お園    孝太郎
杣斧右衛門    彌十郎
微塵弾正実は京極内匠   歌六
お幸   東蔵

比較的上演回数の少ない杉坂墓所の場からの丁寧な上演。やはりここからやる方が筋がわかりやすい。
仁左衛門の六助が、母の墓に供える花を持って花道を入ってくる。この場面だけで、六助の母親思いの優しい性格がすっと胸に入ってくる。そしてその後の悪党をやっつけるところがあるので、本当は強いんだと言うこともちゃんとわかる。

仁左衛門の六助は、爽やかで良い人で、優しくて誠実でしかも剣の達人というまさに非の打ち所のない男。仁左様がやると六助には好い男過ぎる気もするが、ほんとに良い人オーラが出まくっていて、こんな人が許婚とわかったら、そりゃお園ちゃんだって舞い上がるわよね~。
子供をあやす仕草が可愛くて、お幸やお園の態度に驚いたり呆れたり、の表情も楽しげ。反対に弾正に騙されたと知っての怒りの表情はきりりと引き締まる。もう仁左様の良いとこばっかり見られる一幕。

孝太郎のお園は女武芸者から六助が許婚とわかって態度がころっと変わるところが愛嬌があって可愛い。
東蔵のお幸も後室らしい威厳と気丈さの中に優しさを見せる。
歌六の弾正、珍しく悪役だが色悪めいた格好良さがある。ほんとに何でもこなす人だ。
彌十郎の斧右衛門が剽軽な可笑しさを見せた。

新作歌舞伎
二、幻想神空海(げんそうしんくうかい)
沙門空海唐の国にて鬼と宴す
空海   染五郎
橘逸勢  松也
白龍    又五郎
黄鶴   彌十郎
白楽天   歌昇
廷臣馬之幕   廣太郎
牡丹   種之助
玉蓮   米吉
春琴   児太郎
劉雲樵  宗之助
楊貴妃   雀右衛門
丹翁   歌六
憲宗皇帝  幸四郎

「陰陽師」に続いて夢枕獏原作の歌舞伎化。今回は舞台は唐、留学中の空海とその友人逸勢が奇妙な事件に巻き込まれていく。。。
文庫本でも4冊の長い話を2時間あまりにまとめるためどう端折ったのかは原作を読んでいないのでわからない。どうしても筋の説明的な台詞が多くなるのが仕方ないが冗長さを感じる場面も多い。全体のストーリーどうこうよりは、場面場面の面白さを楽しんだ方が良さそう。

空海と逸勢は、主人公と言うよりは狂言回し的な感じ。二人の仲の良い様子が良い。空海はこの時点ではまだ密教を修得していないので、怪しのものを調伏したりできないはずだが?と思ったりしたがまあいいか。
染五郎は青年空海を爽やかに、また大物の片鱗もさりげなく見せる。ほとんど出ずっぱり。途中では琵琶を弾きながら歌も歌ったりと大活躍。

松也の逸勢は、空海の食えない性格に比べるとずっと普通の青年といった感じ。ところどころで二人の掛け合い漫才っぽい台詞が可笑しい。

個人的には化け猫に取り憑かれた春琴との三人の場面が面白かった。児太郎の春琴がキャッツかよ、と言うような猫の帽子を被って、上品な婦人と化け物の間を行ったり来たり。コタ、上手いじゃないか!

その前の妓楼の場面では米吉、種之助、梅丸が三人娘という俺得状態。種ちゃんは多分わざとぶさかわ風なメイクでキャラ作り。
ここで出てくるのが歌昇の白楽天。良い詩が書けないと悩んでいる真面目人間。不器用そうなところがぴったり(?)

本当の意味での主人公は歌六の丹翁。若き日に楊貴妃に使え、50年もその思いを胸にしまってきた老人。と言ってもただの老人ではない。幻術(と言うのか?)を使う。この丹翁と師の黄鶴、仲間の白龍が楊貴妃をめぐって起こす事件が本題。
歌六がとにかく巧い。飄々とした老人かと思えば、すっと精悍な男に声一つで変わってみせる。そして誠実さと、一人の女を思い焦がれた50年の重さと哀しさを見せつける。
対する又五郎も虚しさ、苦しさに打ちひしがれる悲しい男を熱演。歌六・又五郎の兄弟で対決する場面なんてあまり見られないから、なんだかドキドキ。
彌十郎の黄鶴も貫禄と哀しみがある。

そして二人の運命を変えた楊貴妃は雀右衛門。幕開きからひらりひらりと踊る姿がこの世のものではない浮遊感。再度登場した時は狂っている設定で、ぼんやりと座っている様子が哀れでなお美しい。こういう唐風のひらひらな衣装がよくお似合い。生まれた時から父親の道具とされ、自分の思いのままに生きられなかった女の哀しさと危うさが虚ろな目線に見え、最後に正気に戻った姿がいっそう哀れ。

その、やっと自分を取り戻した楊貴妃を丹翁がいたわるように肩を抱いて去っていく場面が、何とも言えず悲しく、しかし暖かかった。この芝居全体のハイライト。

最後に皇帝で幸四郎が付き合う。ストーリー的には出てこなくても良いような場面だが、さすがの貫禄。

途中の場面では、楊貴妃の物語を説明するために女義太夫に扮した芝のぶと京蔵を登場させたのが面白い趣向。芝のぶちゃん可愛い。京蔵が味がある。でもこの場もちょっと長く感じた。

新作で一回しか見てないと、物語を追うのに精一杯になってちょっと消化しきれなかった。見逃してる演出もあったんだろうなと思うけど仕方ない。又五郎白龍が生み出した眷属がぞろぞろ出てくるところなど「陰陽師」を思い出すところも結構あった。原作同じ人だからね~。


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ミュージカル グランドホテル [舞台]

4月14日(木)夜の部 赤坂ACTシアター
http://musical-grandhotel.com/

グランドホテル GREENチーム

脚本=ルーサー・ディヴィス
作詞・作曲=ロバート・ライト&ジョージ・フォレスト
追加作詞・作曲=モーリー・イェストン
演出=トム・サザーランド

オットー・クリンゲライン  中川晃教
フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵  宮原浩暢(LE VELVETS)

ヘルマン・プライジング  戸井勝海
フレムシェン   昆夏美
エリック  藤岡正明

湖月わたる スペシャルダンサー

ラファエラ  樹里咲穂
オッテンシュラッグ医師   光枝明彦

エリザヴェータ・グルシンスカヤ   安寿ミラ

出演者をGREENチームとREDチームに分け、単なるWキャストではなく演出もエンディングも違うという2ヴァージョンを上演。私が観たのはGREENの方。

普段ほとんどミュージカルは観ないのになぜこれを見に行ったかというと、これ、昔宝塚で上演したのを観てとても感動したものだったから、懐かしくて。その時は涼風真世のさよなら公演で涼風さんがオットー、二番手の天海祐希がラファエラだった。今思うと、なんでゆりちゃん男爵じゃなかったんだろうな。久世星佳さんが男爵だったよな。ああ、懐かしい。

細かいところは覚えてないけど、宝塚版とGREEN版は、少なくともエンディングは同じ。演出も大体一緒だったんじゃないかな。つまりこっちがオリジナルヴァージョンってことか。

緞帳や幕は使わず、シンプルなセット、回り舞台のように回転する階段とドアで場面転換し、出演者自らが運ぶ椅子やテーブル、カウンターで簡単にセッティングする装置もよく考えられていて無駄がなく、次々に場面が変わって話が進行していく。シンプルだけどちゃんと豪華ホテルの雰囲気があるのが凄い。
衣装も1920年代の雰囲気で特に女性のがとても素敵。特に安寿さんのはセレブらしくて豪華。男性はほとんどスーツだけど。

ほとんどの場面で、複数の物語が同時進行する複雑な構成。主人公も一人じゃない。多くの人がすれ違い、出会って別れるグランドホテル。出てくるのは崖っぷちにいる人物ばかり。絶望と希望、生と死、長年の愛と一瞬に落ちる恋。たった一日の間にグランドホテルという場所の中でこれらすべてが描かれる。でもこんがらがることはないのは脚本と歌の力。

当たり前だがみんな歌が上手い。特にオットーの中川晃教と男爵の宮原浩暢。アフタートークで宮原さんが舞台初出演と聞いてびっくり。端正な容姿も魅力で新しいミュージカルスターの予感。
中川さんのオットー、難しい役と歌を見事にこなす力に脱帽。歌でオットーの心理を伝える表現力。
引退間近のバレリーナ役安寿ミラに華と、忍び寄る老いへの恐怖があり、、突然の男爵との出会いに燃え上がり、揺れる女心が見える。安寿さん、美しいわ。
樹里咲穂のラファエラが安定感のある演技と歌で、ラファエラの孤独と哀しみを聞かせる。
そして湖月わたるのまるで死に神のようなダンサーが妖しさに溢れ、宝塚OGが存在感を見せる。
普段ミュージカルを観ないので他の人もよく知らないのだが、みんな実力者揃いのよう。

ストーリーは決して明るくはない。どの人物も何かしら追い詰められていて、見知らぬもの同士が同じホテルに集ったことで、なぜか運命の歯車が動き出す。練り上げられた脚本と歌で綴られていく重厚で辛口な大人のドラマ。でも重い場面ばかりではなく、チャールストンなどの音楽も挟まって、ダンスもあり、ずっとワクワクしながら観ていた。

印象的な場面はたくさんあるけど、やはりいちばんは男爵とエリザヴェータが恋に落ちるシーン。甘くて切なくて、崖っぷちの二人が生きる希望を見出す。でもここが素敵だった分、余計に最後が悲しいけど。

終盤には、ヒットラーの演説が流れたり、世相も反映してGREEN版は悲劇的な結末だけど、それでも新しい命の誕生、新天地を求めて旅立つ人たち、と言う希望も見える。歌って踊って楽しかった~、と言う舞台ではなく、胸にズシンと響く心に残る舞台だった。観に行って良かった。
ミュージカル苦手な方にもおすすめ。と言うか、ストレートプレイが好きな方にこそ観てほしい。

終演後は、安寿さん、樹里さん、宮原さんでアフタートーク。これも楽しかった!詳しくはこちらでhttp://musical-grandhotel.com/info/news/at041419.php

あ~、REDチームも観たいよおお。
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四月大歌舞伎・昼の部 [舞台]

4月4日(月) 歌舞伎座

一、松寿操り三番叟(まつのことぶきあやつりさんばそう)
三番叟  染五郎
後見   松也

三番叟が操り人形で、後見がそれを操る、と言う楽しい趣向の踊り。
染ちゃんは顔が可愛いwwとっても人形っぽい顔。 踊りはまあ軽快ではあるけど、さほどキレッキレと言うほどではなく。でもふんわりとして、人形らしい操られ感はあり、またそれでもばたばたしない行儀の良さがあるのはさすが。
松也は細かい手先などの所作に雑さが目に付き残念。もっとしっかり踊りのお稽古しなきゃ。

沖津浪闇不知火
二、不知火検校(しらぬいけんぎょう)
浜町河岸より横山町の往来まで
按摩富の市後に二代目検校  幸四郎
生首の次郎後に手引の幸吉  染五郎
奥方浪江    魁春
指物師房五郎   錦之助
湯島おはん   孝太郎
手引の角蔵   松江
丹治弟玉太郎   松也
若旦那豊次郎   廣太郎
娘おしづ   児太郎
富之助   玉太郎
魚売富五郎   錦吾
初代検校   桂三
因果者師勘次   由次郎
夜鷹宿おつま    高麗蔵
検校女房おらん   秀調
岩瀬藤十郎    友右衛門
鳥羽屋丹治   彌十郎
母おもと    秀太郎
寺社奉行石坂喜内    左團次

話はうんざりする場面の連続でどこが面白いのかわからないが、幸四郎は底知れない不気味さを持った極悪人を好演。こういう変態悪人好きだよね、この人。

染が相棒だけど悪党に見えないのは何なのか。と言うか、淡々と検校の悪事に荷担していて、丹治や玉太郎のような逡巡も全く見せない。と言って検校に引きずられているようでもない。これはこれで怖い。
松也が気の弱いと言うか、根は善人な男でニン。
丹治がその兄でこちらも悪党だが、幸吉と違って検校にズルズルと引きずられている弱さが見える。
孝太郎も性悪女で意外にはまる。
秀太郎もほんのちょっとの出番で、強欲な母親の性根をきっちり見せるのがさすがに上手い。
魁春の奥方が、気の弱そうな、富の市に騙されて身を落とす危うさのある女でこれもはまる。
他もそれぞれ役者は良い。だがやっぱり後味が悪い。最後に検校が啖呵を切るが、河内山とは違ってちっとも溜飲が下がるわけでもない。

三、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)
山蔭右京   仁左衛門
太郎冠者   又五郎
侍女千枝   米吉
同 小枝    児太郎
奥方玉の井  左團次

仁左衛門の右京はとにかく可愛い。これじゃ奥方が構い過ぎるのも仕方ないわ~。そしてでれでれしてても大名らしい品はある。なのでほんとに浮気してきたのかな?と言う気がしないでもない。こんなかわいいだんなさまに「ごめんそうらえ、ごめんそうらえ」って手を合わされちゃったら最後には許しちゃうでしょ、玉の井さん。

その玉の井は左團次ですっかり持ち役。いかつさと可笑しみがあって、まさに山の神。
又五郎の太郎冠者が絶品。主人夫婦に振り回される使用人の哀しさを大袈裟すぎず、絶妙に見せて、ここ数年ではいちばんの太郎冠者ではないだろうか。
米吉と児太郎の千枝小枝が楚々として行儀の良い侍女。米吉と並ぶと不思議に児太郎の方がほっそりして見える。元ラガーなのに(笑)。

不知火検校の後味の悪さを払ってくれる良い打ち出し。

安田靫彦展 [美術]

東京国立近代美術館
http://yukihiko2016.jp/

日本画家、安田靫彦(1884~1978)の大回顧展。
歴史上の人物や場面を描いた「歴史画」で名を馳せた人。
昔々、家にあった日本文学全集のどれかに、挿絵が載っていた。何だったか覚えてないけど(ちゃんと読んでないから)。「平家物語」とか、そう言うのだったのかしら。

ほぼ年代順の展示なのだが、初っ端の10代の絵の巧さに度肝を抜かれる。14歳で師事したそうだが、こんな早熟の天才に入門されても師匠も困ったんじゃないか、と思うくらい。(実際、二年ほどで門下を離れたらしい)
もうこの頃に、一生続く画風はできあがっていたように思える。簡潔な描線、無駄を省いた画面構成、清潔感のある色調、と言ったものは、多少の変化はありつつも生涯靫彦の特徴であり続けた。

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《風神雷神図》 1929年
まるで少年のような溌剌とした風神雷神。

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《孫子勒姫兵(そんしろくきへい)》 1938年
少ない色数でまとめた上品な画面の中に、緊迫した一瞬を切り取った。

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《黄瀬川陣(きせがわのじん)》〈重要文化財〉上:右隻 下:左隻 1940‒41年
挙兵した頼朝と、馳せ参じた義経の対面の場面。戦を前にした張り詰めた空気が漂う。二人の衣装や武具の美しさも目を引く。

(靫彦とは関係ないんだが、この頼朝が三津五郎さんに似てるな~、と思ったら義経が巳之助君に似て見えてきて、ちょっとたまらなかった。二人の芝居をもっと観たかったな。。。)

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《王昭君》 1947年
凛として気高い表情。目に意志の強さが表れる。

どの絵の人物も、必要最小限な線描で表されているのに、性格がわかる。描き込んで描き込んで伝える油絵との違いに考え込む。
そういえば、片岡球子の人物画もそうだなあ、と靫彦の絵を見ながら思いだした。顔の描き方以外は全然似てないのに。

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《室内》 1963年
晩年描かれた静物画のような絵には、山口蓬春を思い出させるようなのがあったり。また梅の絵など琳派風のもあったり、歴史画一辺倒だったわけではない。

とても見応えがあって、感銘を受けた展覧会。珍しく図録も買ってしまった。是非お見逃しなく。



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黒田清輝展 [美術]

東京国立博物館
http://www.seiki150.jp/

黒田清輝(1866-1924)の生誕150年を記念した大回顧展。日本の洋画界の基礎を築いた画家。

フランスに法律を学ぶために留学したのに画家になっちゃったという。
絵を学んだ師はアカデミズム派のコラン。この師の選択が黒田の画家のその後の歩みを決めたのだろう。

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読書 1891年(明治24)
18歳で渡仏して、絵の修行を始めて8年でフランスのサロンに入選した記念すべき絵。

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湖畔 1897年(明治30)
帰国後、日本洋画のあるべき姿を模索する黒田が描いた。日本画の美人画の面影が見える。水彩画のような淡い色彩が綺麗。

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舞妓 1893年(明治26)
こちらの方が帰国直後。いかにも洋画って感じがする。
この時代の洋画家が描く日本人、特に女性の顔が、外国人が見た「エキゾジックジャパニーズ」みたいに見えるのはなんでなのかな。洋画であることと関係があるのだろうか。昔から不思議。

先駆者としての宿命か、帰国後は日本の洋画界を背負って立つような立場になり、教育者としても多忙、その上親の後を継いで貴族院議員になるという二足のわらじ。普通の人の何倍も働いたんだろうな。

21世紀の今の目から見ると、独創的な個性が感じられず、師を始めとする西洋絵画のよく描けた模倣の域を出ない気もするが、それでも産声を上げたばかりの日本の洋画の技術でこれだけ描いたのは凄いこと。

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鉄砲百合 1909年(明治42)
官展などへの出品を目的とした絵より、晩年描かれたこういう小品の方が私は好き。政治や教育も大事だけど、自分で絵筆を取って描いてる時間がもっとほしかったんじゃないかな。

なお、この展覧会では、黒田の絵だけではなく、師のコランを始め、影響を受けた西洋絵画も展示。中にはミレーの「羊飼いの少女」などもあって、こっちの方が見物だったりして。
また、黒田の同時代や後に続く日本人画家、青木繁や浅井忠らの絵も。青木繁なんかに比べるとやっぱり黒田のはアカデミズム派というか、お行儀が良い感じがするのも面白かった。
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「新説西遊記」 [舞台]

3月26日(土) KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

KAAT次世代への古典芸能プロジェクト
若手舞踊公演「SUGATA」
「新説西遊記」(しんせつさいゆうき)
~猪八戒と沙悟浄~
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【出演】

中村鷹之資
中村玉太郎
中村梅丸

花柳時寿京
花柳凜
澤村國矢

尾上菊之丞

藤間勘十郎

去年から始まった、藤間勘十郎プロデュースで若手歌舞伎俳優を中心にした公演。
若手といっても花形どころか、子役を卒業しかかっている高校生くらいの半端な年代で本公演では役がつきにくいところから、そういう世代に経験を積ませたいと宗家が考えての公演。今年も鷹之資と玉太郎、それに梅丸が参加。

鷹之資が猪八戒、玉太郎が沙悟浄、梅丸が孫悟空。これに宗家勘十郎と尾上菊之丞らが絡む。
基本的に素踊りだが最小限の衣装やメークでそれらしく。鷹之資は耳が折れたような帽子とちょっと頬を赤くして猪八戒らしく、玉太郎は緑の口紅で河童ふう。梅丸は金髪の孫悟空、といった案配。

西遊記だが、新説とあるように、宗家が作ったエピソードで、前半は歌舞伎の一つ家風に老婆(の妖怪)が家に泊めた旅人を殺すのを三蔵法師が退治する。この老婆が宗家で、まあ怖いのなんの。踊りももちろんだが、表情というか顔芸が凄くて(笑)。

後半は、金魚の妖怪が生け贄を取って食うのを三蔵法師一行がまたやっつける。ここでももちろん妖怪は宗家。
こちらも恐ろしいやら可笑しいやら。
菊之丞さんの方は品の良い三蔵法師がぴったり。

主役の三人は、みんなとても生き生きとして、踊りも芝居も楽しそう。子役として数々の名演技をしてきた玉太郎はさすがに芝居が達者。鷹之資は踊りが上手いのは知っていたが、お芝居も愛嬌のあるところを見せてなかなか。芝居中に美味しそうに豚まん食べて、中華街の有名なお店の宣伝までしてた(笑)。梅丸は普段は楚々として行儀の良い女形だが、この舞台でははじけて溌剌としていた。金髪なのでまるでジャニーズにいそうな美少年!
とにかく三人ともほんとに一生懸命がんばっていて、見ていて嬉しくなってしまった。

賛助出演の國矢さんもきっちり。凜さんは三蔵法師を慕う美女実は妖怪から天女に生まれ変わる役で、可憐でしっとりと美しかった。寿京さんが猪八戒が化けてる美女の役をコミカルに演じて楽しかった。

でも宗家と菊之丞さんが踊るとさすがに格が違って、いや~凄いわ。特に宗家、踊りはもちろん、芝居も上手。もし役者の家に生まれてたら凄い役者になったかも、と改めて思った。

作品としても、そこここに歌舞伎の船弁慶だったり、棒しばりだったり、の音楽や振り付けがちりばめられていて、とても楽しい。さすが宗家は歌舞伎に精通してるなあ。なんだか宗家の天才ぶりに呆気にとられた公演でもあった。

音楽も常磐津、長唄、箏曲に鳴り物と全部生で贅沢。でも常磐津にマイクが入っていて、大ホールでもないのにいらないんじゃないかと思った。

来年以降も是非続けてほしい。あ、でもメンバーは替わっちゃうかもしれないな。

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三月大歌舞伎 夜の部 [舞台]

3月21日(月) 歌舞伎座

一、双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)
角力場
濡髪長五郎   橋之助
藤屋吾妻    高麗蔵
平岡郷左衛門   松江
三原有右衛門   亀寿
茶亭金平    橘三郎
山崎屋与五郎/放駒長吉   菊之助

菊之助の与五郎は、う~ん、あほぼんにしてはちゃんとした人に見えてしまってどうも。。。お育ちの良いお坊ちゃんで可愛げはあるけど、賢そうに見えるからなあ、菊ちゃんは。
長吉の方はまだましで、少年らしい真っ直ぐさがあり、濡髪への憧れと抗争心が混じる複雑な心境を見せた。

橋之助の濡髪は貫禄と大きさがあり、与五郎大事の礼儀正しさ誠実さを見せ、長吉との格の違いを見せつけた。

橘三郎の茶店の主人が上手い。人が良さそうで、でもちゃっかりしてる亭主ぶり。

二、五代目中村雀右衛門襲名披露 口上(こうじょう)
芝雀改め雀右衛門
    幹部俳優出演
藤十郎を仕切りに、下手端に吉右衛門、上手端は菊五郎と豪華な顔ぶれ。先代が亡くなってまだ4年と言うこともあり、先代の思い出を語る人が多かった。梅玉さんが、先代は良く食事に連れて行って下さったが酔うと息子たちの悪口を言っていた、とか。東蔵さんが、襲名を機に当代にはもっと自己主張を、と言ったところが印象に残った。とにかく四代目さんは皆さんに愛されてたんだなあ、と改めて。

三、祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)
金閣寺
雪姫    芝雀改め雀右衛門
松永大膳    幸四郎
狩野之介直信  梅玉
松永鬼藤太  錦之助
春川左近  歌昇
戸田隼人  萬太郎
内海三郎  種之助
山下主水  米吉
十河軍平実は佐藤正清  歌六
此下東吉   仁左衛門
慶寿院尼   藤十郎

新雀右衛門二度目の雪姫。鴇色の衣装がよく似合う。艶やかで品があって美しい。夫を助けるために大膳の言うことを聞こうか思い悩む儚さ、大膳が父の敵とわかって斬りかかる凛とした姿、縛られたまま爪先で鼠を描く姿の嗜虐趣味をそそる美しさ。降るかかる桜の花吹雪、先代の時は姿が見えなくなるくらいばっさばっさ降ってて凄かったが、今回月初はそれほどでもないな、と思っていたけどだんだん多くなってきたようで(笑)。最後に夫の元に駆け出す時、花道で刀を抜いて姿を写して身繕いするのが女らしくて良い。
昼の時姫より雪姫の方が良かったと思う。

仁左衛門の東吉が颯爽とした知将ぶりで爽やかこの上ない。碁を打つ時の手つきがなんとも優雅。(猿の異名をとる東吉にはお上品すぎる気もww)後半の鎧姿は松嶋屋謹製有職五月人形か。
幸四郎の大膳が大きさと変人さがあって良い。

歌六の軍平実は正清が緊張感と誠実さがあり上等。
錦之助の鬼藤太が軽率であほっぽくて上手い。ほんとは赤ッ面やる人じゃないのにねえ。

梅玉の狩野之介が品があり、絵に描いた優男。いや~、縛られて舞台横切るだけであの存在感。
藤十郎が慶寿院というのもさすが襲名という御馳走。座ったままで台詞も二言三言、でも溢れる貫禄。

襲名ならではの大顔合わせで、昼の鎌倉三代記より舞台が華やかな分祝祭感があり、大歌舞伎らしくて今月いちばんの見応えある一幕だった。

四、関三奴(せきさんやっこ)
奴駒平   鴈治郎
奴勘平   勘九郎
奴松平   松緑
    
三人の奴が毛槍を振りながら踊る。三人三様、皆踊り上手なので華やかで見応えがある。中でも勘九郎のきびきびとした足捌きと姿勢の良さが目を引く。いちばん最後の低い姿勢がきれいに決まって惚れ惚れ。
また松緑も軽やかで動きが美しい。この人の手先が本当に好き。
鴈治郎も可笑しみがあって楽しそう。
三人の化粧がそれぞれ違うのだが、勘九郎と鴈治郎はまあ普通に白塗りに格好いい隈取りで、松緑だけ赤ッ面とまではいかないが茶色の顔に変顔のメークで狸っぽかった(笑)。あれはこの演目のお約束なのかしら。
とても楽しい踊りで、短いのがもったいないくらい。打ち出しにはとても良かった。またこの三人で何かやってほしいな。
    

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三月大歌舞伎 昼の部 [舞台]

3月27日(日) 歌舞伎座

中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露の公演。遂にこの日が来たんだなあ。

一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
工藤祐経   橋之助
曽我五郎   松緑
曽我十郎   勘九郎
化粧坂少将   梅枝
近江小藤太   廣太郎
八幡三郎    廣松
喜瀬川亀鶴    児太郎
梶原平次景高   橘太郎
梶原平三景時   錦吾
大磯の虎    扇雀
小林朝比奈   鴈治郎
鬼王新左衛門   友右衛門
     
襲名公演らしく、幕開きは祝祭感溢れる「対面」。
橋之助の工藤はもう何度目かで、貫禄も出てきた。月初は喉の調子が悪そうだったが後半は持ち直した。今回は十郎五郎はじめ比較的若い座組だったので、橋之助も工藤としてしっかり務まっていた。この人も襲名を控えている。今後こういう芯になる役がもっと増えるんだろう。

松緑の五郎はやんちゃな暴れ者の様子がぴったり。また、姿勢が美しく、ピンと伸ばした手先が綺麗で見とれる。
勘九郎の十郎というのはちょっと意外だったが、これが良かった。品の良さの中に、張り詰めた緊張感と、何かあったら自分も刀を抜く気構えが見えて、普通の女形がやる十郎とちょっと違って硬派というか武闘派というか。一方で荒ぶる五郎の袴を押さえて小さく首を振る様子に無念さも表れて、とてもきっちりとした、十郎の性根がちゃんと見えるいい兄だった。だ、か、ら、勘九郎の時代物をもっと観たいんだってば。

鴈治郎の朝比奈がおおらかで力強い。
目に付いたのが廣松の八幡で、こんな口跡の良い子だったっけ。伸び盛りなのね。

二、女戻駕(おんなもどりかご)
  俄獅子(にわかじし)
〈女戻駕〉
吾妻屋おとき  時蔵
浪花屋おきく  菊之助
奴萬平      錦之助 

芸者二人が駕籠かきで、奴を乗せてくる「戻り駕籠」の男女が逆のパターンと言うのが趣向。
時蔵も菊之助も綺麗で目の保養。でも芸者らしい粋であだな感じはやっぱり時蔵。菊ちゃんはどちらかというと芸者より花魁向き。
錦之助は奴と言うより若殿様が似合うけど、この頃は役の幅が広くなって奴も粋で格好いい。

〈俄獅子〉
鳶頭梅吉  梅玉
芸者お孝  孝太郎
芸者お春  魁春

こちらはとにかく梅玉が格好いい!粋で鯔背な鳶頭。梅玉さんこそ殿様役者だけど、この格好良さは何事。絡みの若い衆をすいすいとかわす様子も若々しくきびきび。いやほんとに格好良かった。
魁春の芸者といい仲でらぶらぶ。魁春も色っぽくて良い。
なんだか蚊帳の外の孝太郎が「なんでアタシここにいるのかしらね」って顔してるのが、可愛い。孝太郎さんの芸者姿好き。

三、鎌倉三代記(かまくらさんだいき)
絹川村閑居の場
時姫    芝雀改め雀右衛門
佐々木高綱   吉右衛門
おくる   東蔵
富田六郎   又五郎
母長門   秀太郎
三浦之助義村   菊五郎

昼の襲名披露演目。今月は昼夜で「三代赤姫」に取り組む新雀右衛門。時姫は初役。
雀右衛門は姫の拵えがよく似合い、」おっとりとした中に芯の強さも見える。三浦之助に取りすがる様子が可憐で一途。一方藤三郎には位の高さを見せる。三浦之助を介抱しても何をしても、お姫様育ちのおっとりとした品の良さがあって綺麗。あたりをはらうような大きさはまだないけれど、近頃めっきり存在感が出てきた。襲名を機にますます大きくなられるだろうと期待しています。

菊五郎の三浦之助が、凛々しい二枚目でそれは素敵。こういう菊五郎さんちょっと久しぶり?でもこれが本役なんだなあ。水もしたたる貴公子。他の人の三浦之助だと、時姫につれなくて全然惚れてなくて利用するだけに見えるけど、菊五郎のは惚れてはいないけど不憫には思ってる、くらいの情は感じられる。根が優しいんだな。

吉右衛門は、最初は藤三郎としての出が剽軽なおかしみを見せるが、ややもたつきも感じられてお疲れかしら、とちょっと心配に。だが、後半高綱と顕してからは圧倒的な大きさを見せる。井戸から上がってくると、バーン!高綱であ~る!と言う威圧感。古怪な大きさと迫力があり、物語の明瞭さ、面白さに聞き惚れ、衣装のぶっかえりもあって、おおお、でっけえ~となる。最後は全部持っていく播磨屋。

恋しか頭にない姫と、戦だけを見ている男たちが、一瞬交錯してすぐに別れていく。その儚さと酷さを幕切れの絵面の決まりの華やかさが鮮やかに浮き上がらせる。

三浦之助の母に秀太郎。文楽と違って歌舞伎だと一場面しか出てこなくてもったいない。でもさすがに武家の後室の気概のある老女。

東蔵のおくるがきっちり。
又五郎の冨田が手堅い。
京蔵京妙コンビが姫迎えの局役。

それにしても歌舞伎の原稿上演台本は、カットが多すぎてあんまりだといつも思う。

    
四、 団子売(だんごうり)
杵造   仁左衛門
お福   孝太郎

短い一幕だが、仁左衛門がニッコニコの笑顔を振りまく。それだけで見た甲斐があったと思ってしまう。うう、なんて可愛いんだ。
孝太郎も愛嬌たっぷり。
楽しくてあっという間に終わってしまって、もっと見たいのに、と思う。明るくて華やかで、良い打ち出し。
    
      
    
    
    

    
    
    
    
     
    
    
    
    
    
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