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メディチ家の至宝展 [美術]

東京都庭園美術館
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/160422-0705_medici.html

メディチ家と言えば、イタリアルネッサンスを語るには外せない一族。フィレンツェの栄光と衰退はそのままメディチ家の興亡でもあった。そんなメディチ家の代々が集めた宝飾品を、珍しい一族の人々の肖像画と共に展示して、メディチ家の歴史を辿る一風変わった展覧会。

ジュエリーと言っても、ダイヤとか大きな宝石とかのは来ていない。宝飾品の中でも工芸的な作品ばかり。
また、偉大なるロレンツォは中世や古代のカメオを集めていてこれも目玉。

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古代ローマ工芸(カメオ) イタリアの金工家(フレーム) 《ナクソス島のバッコスとアリアドネ》 3世紀(カメオ) 16世紀(フレーム) オニキス 金 1個の真珠 多色七宝 
中のカメオは古代のもので、まわりの装飾は16世紀のイタリアの作、と言うことかな。カメオも素敵だけど、まわりの細かい宝石や七宝の細工がとても美しい。

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オランダ(アムステルダム)の金工家 《赤ん坊を入れたゆりかご》 1695年頃 金 七宝 2個のバロック真珠 28個のダイヤモンド 20の真珠 真珠を縫いとめた青い絹 銘(裏面、2つの脚の間に)「AVGROR EVENIET」
写真だとわかりにくいが、ゆりかごの中の真珠がちゃんと赤ちゃんに見える。とても大きなバロック真珠。
確か解説によると、どの人だったか当主が奧さんに跡継ぎが生まれるように贈ったものとか。(でも恵まれなかったらしい。。。)

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フランドルの金工家 《蜂に襲われる竜がついたペンダント》 1580年頃 金 多色七宝 1個のバロック真珠 2個のルビー
ちっさいんですよこれ。蜂ってどこ?龍の下腹部あたりについてるヤツ?拡大鏡置いてほしかった。。。
龍の舌まで見える。

絵画は肖像画ばかり。

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ブロンズィーノ《マリア・ディ・コジモ1世・デ・メディチの肖像》 1551年 
初代トスカーナ大公となったコジモ1世の長女。聡明で美しく、父親にも溺愛されていたそうだが17歳で夭折。コジモ1世は悲嘆にくれたそう。この絵を見ても愛らしい様子が見て取れる。

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ジェルマン・ル・マニエ(?)《フランス王妃、カテリーナ・デ・メディチ(カトリーヌ・ド・メディシス)の肖像》 1547-1559年 
メディチ家出身の女性で有名なのはこの人。政治的にもいろいろあるけど、フランスにお嫁に行く時、イタリアの食文化を持ち込んだ。
この絵の衣装、高価そうな毛皮が施され、ちりばめられた宝石はいったい幾つ?権勢を誇った様子が見える。

男性陣の肖像画ももちろんあったけど、つまらないので割愛。

本当に値のはる高価な宝石類は、かえって売却されたり贈り物にされたりで、今も残ってウフィツィに納められているのはこういう工芸的価値の高いものの方が多いらしい。実際、肖像画に描かれた宝石の方がずっと豪華。

今も残っているこういうメディチ家の財産は、メディチ家最後の血族アンナ・マリア・ルイーザが「フィレンツェから持ち出さない、一般に公開すること」を条件にトスカーナ大公国に全て遺贈したからだとか。あれだけ栄えたメディチ家も絶えてしまったのね。

会場の庭園美術館は、旧宮家のアールデコ様式の邸宅。この展覧会にここほど相応しい会場もないだろう。

前進座「東海道四谷怪談」 [舞台]

5月15日(日) 国立劇場大劇場

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東海道四谷怪談

第一幕 第一場 浅草観世音境内の場
第二場 宅悦住居の場
第三場 裏田圃の場
第二幕 第一場 伊右衛門浪宅の場
第二場 伊藤喜兵衛内の場
第三場 伊右衛門浪宅の場
第三幕 砂村隠亡堀の場
第四幕 第一場 深川三角屋敷の場
第二場 同 返し
第三場 夢から蛇山庵室の場

お岩 河原崎 國太郎
民谷伊右衛門 嵐 芳三郎
直助権兵衛  藤川 矢之輔
お袖   忠村 臣弥
佐藤与茂七 瀬川菊之丞
宅悦  柳生啓介

初めて前進座を観に行った。これまでも気になる公演はあったがきっかけがなく、今回、来月コクーン歌舞伎でやる四谷怪談を上演するというので、比較になって面白いかな、と思って。

場割でわかるとおり、普段歌舞伎で上演する時割愛されることの多い、三角屋敷と夢の場までちゃんとやって約4時間半。つまり歌舞伎よりかなりスピーディというか、カットされている部分もあるのだろうが、見ていて気になることはなかった。むしろ変に役者本位演出家本位の入れ事がない分、物語に集中してみられて面白かった。まあ、普段からこの劇団を見ていないので、贔屓の役者とかがいないからかもしれないけれど。

南北の原作を読んだことはないのでわからないが、良い意味でとてもまともというか、変なケレンを使ったり、うけ狙いの特殊効果などを用いてなくて、でももちろんお岩さんの亡霊が出る場面などはお馴染みの提灯抜けなどの仕掛けもしっかり見せてくれるし満足。
それにやっぱり三角屋敷と夢の場があるのが嬉しい。お岩さんだけでなく、妹のお袖も非業の死を遂げるやりきれなさ。武家の仇討ちに縛られた女たちの苦しさと、男に頼らざるをえない無念さに胸が締め付けられる。

國太郎のお岩様が素敵。子までなした男に踏みにじられ、邪険にされても父親の仇を討ってもらいたさにすがって生きるしかない哀れさ。変貌して騙されたと知っても、逆上の中にも武士の妻女の凛としたたたずまいが表れる。とても丁寧にお岩様の心情を描き出していて惹かれた。今までに見たお岩様の中でもいちばん好きかも。

芳三郎の伊右衛門は非情さの中にどこかお育ちの良さが覗くような、甘ったれの残滓があるような青年。お梅があれほど惚れるくらいなんだから伊右衛門は甘いマスクの二枚目なんだろう、そちらの方が勝ってる印象。もうちょっと冷たさがほしい気がした。

矢之輔の直助がお袖を手に入れたいばかりに悪に走る男の愚劣さをストレートに見せ、三角屋敷では自分の業の深さに絶望する男の苦悩を見せる。この直助も根っからの悪人ではない、道を誤って転がり落ちていった弱さが哀れ。
臣弥のお袖が薄幸で、与茂七を思いながら死んだと思い込んで直助と夫婦になる、運命に翻弄される哀れさと芯の強さを見せた。

菊之丞の与茂七はすっきりとした二枚目。出てきただけで好い男。この人の伊右衛門も見てみたい。
柳生啓介の宅悦も実直で人の良い様子。


お客さんに意外と若い人が多くて、ちょっとびっくり。日曜だったのもあってかなりの大入りだったし。人気あるんだな。また観てもいいかな、と思った。





若冲展 [美術]

東京都美術館 5月13日(金)

http://jakuchu2016.jp/

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いやあ、なんとも凄いことになっちゃってますね。企画が発表された時から、内容と会期の短さで激混みは予想されましたが、会期後半になって今では連日4時間超待ちの行列が発生。もはや社会現象か。

行くのやめようかと思ったけど、前売り券買ってあったのでもったいないし~、ととりあえず行ってみた。金曜の夜間開館を狙って、4時過ぎにつくと上野駅前でプラカード持った人が「若冲展はただいま160分待ちです!」と叫んでる。う~ん、夕方でもこれか。でも諦めず並んでみた。結局並んでから会場に入るまで150分くらいかかった。やっと中に入っても当然大混雑で、ゆっくり絵を眺める状況ではない。いやはや。

展示作品は、実を言うと前に見たことあるのが八割くらいか。なので、驚きや感動より、ああ、これだこれだ、と言う感じ。今回こんなに人を呼んでるのは、テレビで宣伝したせいもあるが、「動植綵絵」30幅と「釈迦三尊像」3幅が同時公開されているから。

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「釈迦三尊像 普賢菩薩」
何と色鮮やかできらびやかな菩薩像。象も美しく飾り立てられて華やか。

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「動植綵絵 梅花群鶴図」
とにかく細かい。目を皿のようにして眺めたい。みんなそうだから、ますます列が進まない(笑)。
こういうのを30幅、たとえがらがらの展示室だったとしても、隅から隅までじーっと見ようと思ったら、何時間かかることか。目がちかちかしてくる。

でも実を言うと、若冲では水墨画の方が好き。
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「果蔬涅槃図」
ユーモアたっぷりの涅槃図。お釈迦様は大根に、菩薩や羅漢は野菜や果物に見立てられている。
こういう、ちょっと力の抜けた感じの水墨画が大好き。

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「虎図」
これもユーモラスな表情が楽しい。

その他、プライスコレクション展でも見た「鳥獣花木図屏風」など、確かに若冲の有名作品は集まっている。
でも壁に掛かっている絵はまだしも、巻物など台の上の展示物は頭越しにも見るのが困難で諦め。
「動植綵絵」なども絵の下の方は最前列に陣取らないと見られないけど、それでも本物を見ないと味わえない部分は確かにあって、だから行って良かったとは思うけど、ほとんどの作品は国内にあってまた見る機会もありそうだから、4時間も5時間も並ぶ必要はないんじゃないかな、、、とこれから行こうかと思ってる人には申し上げます。蛇足ながら、グッズ売り場も長蛇の列でした。
図録だけは外の特設売り場で買えます。

広重ビビッド展 [美術]

サントリー美術館
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_2/index.html

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太田記念に続いてこちらも広重展。ただしこちらは、名所江戸百景と六十余州名所図会をメインにしているのでほとんど重ならない。両館で示し合わせてるのかしら?

それと、サントリーの展示品はすべて故原安三郎氏のコレクションで、貴重な初刷りの保存状態も素晴らしいもの。広重が彫り師刷り師と共に作り上げたばかりの作品を観るようで感動的。

六十余州名所図会は、江戸百景や富士三十六景ほど有名でないけど(私が知らないだけかも)、日本各地の名所を描いたもの。もちろんすべてに広重自身が足を運んだわけではなく、先人の描いた名所図や地誌を参考に、広重自身の工夫を加えて描いたもの。

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六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波
キャプションによると、原氏は徳島の出身でこの絵には特別な思い入れがあっただろうとのこと。
深い藍色が印象的だが、波に添ったぼかしの技術は広重作品ではこのシリーズから使われ始めたとか。当時最新の技術だったんだなあ。
先日見た土牛の鳴門の絵とも比較して面白かった。

この展覧会では、名所図の1枚1枚に、現在のその地の様子を示す写真がついていた。広重の頃の面影が残るところもあれば、すっかり景色が変わってしまったところも。なんだか味気ない。

有名な絵が多いのは江戸百景の方。

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名所江戸百景 深川萬年橋
タイトルは萬年橋だが、橋はまるで額縁のよう。つり下げられた亀は放生会で放されるために売っているもの。遠くには富士。
広重のこの独特な構図が楽しい。

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名所江戸百景 王子装束ゑの木大晦日の狐火
これこれ、これがいちばん見たかった。百景の中で異彩を放つ1枚。これだけが現実ではなく言い伝えというか想像の場面。大晦日に榎のまわりに続々と集まってくる狐。遠くにも狐火が点々と見える。なんとも不思議というか、他の絵のように赤みもないし、しんしんとした冬の夜の冷たさが伝わる。

また広重の他に北斎の珍しい「千絵の海」も全10枚を展示。海辺の漁師などの営みを描いたシリーズで、10点揃ってのコレクションは日本でも数組という。

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北斎 千絵の海 五島鯨突

北斎はこの他、富嶽三十六景からも数点あり、こちらも見逃せない。また国芳も数点。

とにかくどれも色が綺麗。広重ビビッドというのも看板倒れではない。次にいつ見られるかわからない個人コレクション。お見逃しなく。

歌川広重展 [美術]

太田記念美術館
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/utagawa-hiroshige

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主に風景のシリーズ物で人気を取った広重の浮世絵。人気シリーズの内、東海道五十三次と富士三十六景を展示替えはあるが全部見せようという展覧会。

先に描いたのは東海道五拾三次のほう。先というかまだ若い頃で、これが当たって売り出した。

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東海道五拾三次之内 庄野 白雨
シリーズの中でも有名な1枚。驟雨を細かい線で表し、墨の濃淡で背景の木々が揺れるのが見える。手前の走る人々も生き生き。

一方の富士三十六景は晩年のシリーズ。広重が若い頃、北斎が描いたのが富嶽三十六景。おそらく北斎のを意識したろうし、対抗心も、敬意も、両方あっただろう。

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冨士三十六景 武蔵小金井
この絵のように、画面手前に木などを大きく描くのが広重の特徴の一つ。もう一つの人気シリーズの江戸名所図会では多用されている。一見、どこに富士があるんだ、と思ってしまう。木の後ろからのぞいてるんだな、これが。
東海道との違いの一つに、人物があまり書かれてなくて風景そのものが主役になっているのも特徴か。

どちらのシリーズもデフォルメされたり、省略されたりした風景ではあるけど、見た気にさせてくれる。当時の人にはガイドブック的な要素もあっただろう。とても楽しい。
ほんとは前後期両方観ないといけないけど、行けるかな。

奥村土牛展 [美術]

山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

奥村土牛(1889 - 1990)の展覧会。
土牛は100歳の長寿を全うした、その生涯を通じて、丹念な写生を元にして、しかし単なる写実に終わらない穏やかで美しい絵を描き続けた。
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醍醐 1972
代表作の一つのこれは醍醐寺の桜を描いたもの。満開の桜の豪華さ、空気までも桜色に染まるかのよう。

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鳴門 1959
もう1枚の代表作。鳴門の渦を描くのに、船からスケッチする時落ちないように夫人に帯を掴んでもらって描いた、と言うエピソードが残る。
色数はむしろ少なく、わずかに胡粉の白で波頭が際立つ。大胆な省略と細心の色使いで渦巻く波が画面いっぱいに見る者も呑み込むよう。

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舞妓
あまり数が多くない人物画。顔の描写とか結構単純化してあるのに、全体として舞妓さんのはんなりした雰囲気がよく出てる。

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閑日
動物の絵は結構多かった。うさぎとか、牛なんかも。これはひょうきんな顔が可愛い。毛並みなど、そう細かく描き込まれているわけでもないけど、ふわふわとした様子が感じられる。

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吉野
桜にかすむ山々。朧で輪郭もはっきりしない。のどかで、でも神秘的で、ただただうっとりと美しい。

どの絵を見ても、なんだか幸福感が溢れているよう。心が洗われるような展覧会。

吉田博展 [美術]

千葉市立美術館
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2016/0409/0409.html
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生誕140年記念の大回顧展。
吉田博(明治9年~昭和25年/1876-1950)は福岡県久留米市の生まれ。黒田清輝が生誕150年だから、ちょうど10歳年下。黒田がフランスに留学してから本格的に絵の勉強を始めたのに対し、吉田は日本で勉強してから渡米してあちらで展覧会を開いて絵を売りながら各地を回って絵を描き続け、帰国して、また外国に行って、と言った絵描き人生。黒田が白馬会を結成して日本洋画界の主流となったのに対し、太平洋画会の設立メンバーとなって、白馬会と明治洋画界を二分して対立。吉田が年上の黒田を殴ったという武勇伝(?)もあるらしい。

黒田と吉田の絵の違いとかそういう専門的なことはおいておく。ただ、私が見て、黒田に感じなくて吉田に感じたのは絵の中の湿度というか水気というか、そういうもの。ある時は朝靄の、ある時はそぼ降る雨の、または田んぼであったり、川のせせらぎであったり、そういう日本の風景の中の湿っぽさを吉田の絵には感じた。

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《新月》 水彩 明治40(1907)年 
これなどその典型。もやもやとした水蒸気が立ちこめているような。

また、吉田は山の画家でもあった。自身登山が好きで日本アルプスなどに登ってじっくりと写生したそう。

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《穂高山》 油彩 大正期

1920年代から木版画に取り組み、後半生はもっぱらそちらが中心となった。

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《瀬戸内海集 光る海》 木版大正15(1926)年
吉田の木版画の特徴は、摺の回数の多さによる細やかな表現。普通の浮世絵が10回くらいなのを、吉田のは平均でも30回以上、多いものでは100回近い摺を重ねたという。驚異的。
これも、水彩画かと思うような繊細な色の変化が実に美しい。

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《エルキャピタン》 木版 大正14(1925)年 
これはアメリカの風景だけど、夕陽か朝陽かわからないが、明るいところと手前の影に入った部分の対比がくっきりとして綺麗。湖の表面も鏡のようで。

初期の版画が、川瀬巴水と雰囲気がにてるなあ、と思ったら版元が同じだった。

また、吉田は同じ版木を使って色を変えて、朝昼夜など、時間の変化を見せる組み物を作る新しい試みもした。これも面白かった。

吉田は、昭和を知らずに亡くなった黒田と違って戦後まで生きた。従って、戦争も経験して、従軍して描いた絵もあった。それさえも新しい興味の対象ととらえた画家魂。

実を言うと、吉田博という名前は知らなかった。チラシを見て良さそうだったので行った展覧会だったが、正直黒田展より感銘を受けた。好みの問題ではあろうけれど、黒田よりも日本的な感性を洋画に取りこむことに長けていたように感じるのだが、今知名度は断然黒田が上なのは何故なのかな、と素人は不思議に思ってしまった。
ぜひ足をお運びください。

黄金のアフガニスタン展 [美術]

東京国立博物館 表慶館
http://www.gold-afghan.jp/index.html

若冲展を見ようかな、と都美をのぞいたら凄い人だったので諦めてこちらへ。
表慶館に入ったのは久しぶり。

1979年のソ連による軍事介入やそれに続く内戦の折、アフガニスタン国立博物館の職員たちが、爆撃や略奪を恐れて、博物館の貴重な文化財を秘かに隠していた。それが明らかになったのは内線が収束した2003年。
今回の展覧会は、その守られていた秘宝と、内戦時に不法に日本に持ち込まれたのを故平山郁夫氏らが呼びかけて保護され、この機に返還されることになった文化財を一堂に展示するもの。

アフガニスタンは文明の十字路と言われるくらい、古代から栄えたところだった。キリスト教、仏教、ヒンズー教にイスラム教も混在した。今回の展示では、古くは紀元前2000年くらいから。ふ~ん、日本はまだ縄文時代?
主な遺跡ごとの出土品をコーナーでまとめての展示。中にはギリシャの影響のものや、インドからと思われるものなど多種多様。ほんとに十字路だったんだなあ。シルクロードの出発点でもあったのだ。マケドニアとか、アレクサンダー大王とか、世界史で聞いた言葉がよみがえる。。。

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キュベーレ女神円盤 前三世紀
ニケにヘレオスと言うギリシャ神話の神が描かれるが、乗っている戦車はペルシャ風。

とは言え、正直言うと古代文明にそんなに関心はなく。また展示も中心は「黄金の~」と言うとおり、遺跡から発掘された埋葬品の金の装飾品の数々。遺跡によって時代は違えど、どれも細工が細かくて、デザインも素敵。

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ドラゴン人物文ペンダント 1世紀
女性の髪を飾っていたもの。金に真珠、トルコ石、ガーネットなどの宝石があしらわれた見事なもの。どんな人が身につけていたんだろう?

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冠 1世紀
王妃の冠と思われる。分解して持ち運びが可能になっているのは遊牧民の知恵。こういう冠、日本でも仏様が被ってないかしら。彌勒菩薩とか。またこのようなデザインの冠は藤ノ木古墳でも見つかっているそうで、文明の交流の印なんだとか。

こういう完成品ではないパーツもたくさんあって、一つ一つがハート形だったり真ん中にトルコ石などがはめてあったりして実に細かい。デザインも今でも使えそうなくらい。

日本で保護された流出文化財には仏像なども。

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カーシャパ兄弟の仏礼拝 2~3世紀
こういう彫刻、アンコール・ワットでも見たかも。
この作品は、国立博物館を代表する仏教美術の名品であったが、1992年に盗難に遭い、パキスタン経由で日本に持ち込まれたのだとか。無事に戻されることになって良かった。

表慶館は建物自体も素敵。若冲展並ぶの諦めたら是非こちらへ。

開館50周年記念 美の祝典 I [美術]

出光美術館

タイトル通り、開館から50周年を記念しての展覧会。ほぼ3ヶ月連続シリーズで、まず第一期は「やまと絵の四季」と題して名画の数々を展示。

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四季花木図屏風 六曲一双 伝土佐光信 室町時代 紙本着色
右から、春から冬へと四季の移ろいを描く四季図は日本伝統の画題。右隻には紅梅、松、百合など。左隻には竹、薄、女郎花などが配され、紅葉の間から遠景に雪を被った山が覗きわずかに冬を告げる。見事な四季の流れ。

画像ないけど、「吉野龍田図屏風」も素敵だった。右隻には桜、左隻には紅葉を画面いっぱいにこれでもかと埋めつくすように描く。圧倒される質量。

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日月四季花鳥図屏風(右隻) 室町時代
こちらは狩野派だろうか。実物を見ると繊細に花々が描かれ、鳥も生き生き。太陽を金箔で輝かしく表しているのも華やか。

他に四季図では宗達、伊念印のものが草花が可憐で美しかった。

四季図の他に、やまと絵で大事なのは宗教画。

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真言八祖行状図 のうち 龍智図 筆者未詳 保延2年(1136) 絹本着色
宗教画ではあるけれど、風景画としても見事。
今回の展示を前に修復が完成したのだそう。

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もう一つ、この美の祝典シリーズの目玉は国宝「伴大納言絵巻」を3回に分けてすべて展示すること。なので今回は上巻。これは前回、全巻一度に見せてくれた時も見たけど、本当に描写が細やかで、人物の顔や衣服も丁寧に描き分けられていて見飽きることがない。

と言うことで、あと二回も絶対観なくては。

俺たちの国芳 わたしの国貞展 [美術]

Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_kuniyoshi/

ボストン美術館所蔵の浮世絵の中で、幕末に活躍した国芳と国貞という初代歌川豊国の兄弟弟子に当たる二人にスポットライトを当てた展覧会。
タイトルの由来は、ヒーローものを得意とした国芳は男性ファンが熱狂し、役者絵で当てた国貞には女性ファンが夢中になった、ということから。もちろんその逆もあったではあろうけれど。

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歌川国芳「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」
国芳の方はここ数年ブームかと言うくらいで何度も展覧会があってやや食傷気味。とは言え、やっぱり見ると楽しい。これも何度も見てるけど、このデザイン性には毎度感心する。着物の髑髏の柄、よく見ると猫が集まってできているなんて!

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歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」
国芳は妖怪変化の絵も得意。これも発想のユニークさが面白い。


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歌川国貞「当世三十弐相 よくうれ相」
一方国貞は役者絵美人画で名をなした。これは芸者。粋な着物や髪飾り。見る女性たちにはファッション誌みたいな感じだったかも。

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歌川国貞 「御誂三段ぼかし 浮世伊之助」
こちらは役者絵。三代目岩井粂三郎ら6人を並べたポートレート。ちょっとずつ着物や帯、髪型が違い、背景も違う。多分それぞれの役者の特徴を表しているのか。

どちらも、おなじみな絵はもちろん、初めて見る絵もそこそこあって、どれも楽しい。それに皆保存状態が良くて、色が綺麗なのも特筆すべき点。浮世絵ファンはお見逃しなく。

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