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ランス美術館展 [美術]

損保ジャパン日本興亜美術館
http://www.sjnk-museum.org/program/4652.html
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フランス北東部シャンパーニュ地方にある、ランス美術館のコレクションを紹介する展覧会。ランスと言われても全くピンとこないのだが、歴代のフランス国王が戴冠式を行った大聖堂があると言うことで、由緒あることなのだろう。
今回の展覧会では、17世紀から20世紀までのフランス絵画を出品。有名作家の作品もかなりあって見応えがあった。
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ジャック=ルイ・ダヴィッド(および工房)
《マラーの死》
ナポレオンに重用されたダヴィッドの歴史画の一枚。なんか教科書か本で見たことあるような。リアルな描写、明暗に浮かび上がるドラマチックな状況。迫力ある絵。

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クールベ 《彫刻家マルチェロ(カスティリオーネ=コロンナ公爵夫人)》
意志の強そうな女性の肖像。当時は珍しかった女性の彫刻家。

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ゴーギャン 《バラと彫像》(1889)
ゴーギャンにしては(?)落ち着いた色合いの静物画。でもテーブルの上の彫像はタヒチのもの?

この他、ドラクロワ、コローや、モネやピサロ、ドニなどフランス絵画の優品が並ぶ。
だが、この展覧会の見所はそれだけではなくて、レオナール・フジタ(藤田嗣治)の作品、中でも彼がランスの教会のために描いた装飾画の素描などが見られること。
フジタはランスと関わりが深く、この地で洗礼を受け、シャペル・フジタを作り、今はそこに夫人とともに眠っている。

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レオナール・フジタ
「平和の聖母礼拝堂」フレスコ画のための素描
《死せるキリストを嘆く人々 十字架降下》

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レオナール・フジタ
《奇跡の聖母》

フジタの絵って昔はあんまり好きじゃなかったけど、この頃ちょっと惹かれる、と言うか気になる。
チラシの絵は《マドンナ》だが、聖母も周りの天使も黒人。この不思議さ。

あまり話題になっていないような気がする展覧会だけど、なかなかの充実。おすすめ。

花*Flower*華 —琳派から現代へ— [美術]

山種美術館
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所属品から花を描いた作品だけを集めた展覧会。
古くは抱一、其一らの琳派から、現代の上村松篁、加山又造らまで。絢爛豪華な花もあれば、一輪の花もあり、四季それぞれの花はどれも美しい。

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酒井抱一《菊小禽図》
抱一の描く花は好きだなあ。写実とデザインの調和がとても良い。これも菊の花が単純化されてでも茎や葉は写実的で。すっきりとまとまった構図も良い。

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速水御舟「桔梗」
御舟は生涯いろいろな技法をトライした人で、この桔梗の花は絵の具ではなく墨だという。普通紺や紫で描く桔梗を潔く墨で塗ったところが新しい。

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小林古径「菖蒲」
様々な色の菖蒲の花を生けた壺は伊万里か。実際に見たらひっくり返りそうなバランスだが、絵にするとその不安定さも面白い。

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山口蓬春 《梅雨晴》
花と葉とそれぞれの色のグラデーションが美しい。落ち着いた色合いながら華やか。

この他、もちろん土牛の「醍醐」、大観の「山桜」など、どれも作家が愛した花の絵が並ぶ。四季折々の花が見られる日本は恵まれてるな。
また、春に見た省亭の牡丹図に思いがけず再会できたのもうれしかった。

バベルの塔展 [美術]

東京都美術館
http://babel2017.jp/

オランダのボイマンス美術館所蔵のネーデルランド絵画展。メインはタイトルともなっているブリューゲルの「バベルの塔」だが、ボスの作品も重要。


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アルント・ファン・ズヴォレ?《四大ラテン教父:聖アウグスティヌス、聖アンブロシウス、聖ヒエロニムス、聖グレゴリウス》(1480)
聖人だけど、どこか人間くさい顔つきはリアルなモデルを写したものか。衣服の細部まで丁寧に彫られた、暖かみのある彫像。

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ヒエロニムス・ボス
《放浪者(行商人)》1500年頃
ボスの作品は寓意や暗示、暗喩に満ちていて、解説なしには理解が難しいところもある。これも、持ち物や衣服で職はないだろうとか、、後ろの建物は娼家だとか、知識がないとわからない。

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ブリューゲル1世「大きな魚は小さな魚を食う」(1557)
ボスの寓意に満ちた作品は後の画家達に影響を与え、ブリュ-ゲルもその一人。この摩訶不思議な絵もボスの流れをくむものだろう。まるで入れ子のように大きな魚から小さな魚までが口に魚をくわえている。なぜか足の生えた魚や空を飛んでいる魚まで。ううん、なんだこれは。

こういうボスからブリューゲルへとつながる「奇想の系譜」とでも言うものが脈々と見える16世紀頃のネーデルラント絵画というのはなんてへんてこりんで面白いのだろう。でも続けてみるとちょっと辟易とするのも否定できない。

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ピーテル・ブリューゲル1世 《バベルの塔》1568年頃
実物を見ると意外に小さい。その中にびっしりと様々な物、事、人が描き込まれていて、凄い情報量。双眼鏡持ってないと判別できない。一体どうやってこんなに細かく描けたのかとあんぐり。なんか妄執のような物さえ感じてしまう。

ボスとブリューゲル以外の作品もなかなかの見もので興味深い。



芸術新潮 2017年 05 月号

芸術新潮 2017年 05 月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/04/25
  • メディア: 雑誌


公式図録はやめてこちらを購入。ブリューゲルが描いたもう一枚の「バベルの塔」との比較や、あの漫画家大友克洋が描いた塔の内部の絵など、面白い。

茶の湯のうつわ展 [美術]

出光美術館
(既に終了)

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この春から茶道具の展覧会が多いが、これもその一つ。東博のように国宝、重文がバンバンあるわけではないが、幅広い種類の佳品がそろった。
東博に比べるとこちらは茶碗に重点を置いている感じ。楽焼き、萩、唐津、織部、朝鮮からの唐物ももちろん、そして東博ではほとんどなかった京焼などの色絵のものも。バラエティに富んでいるという点ではこちらの方が楽しかった。東博はちょっと「侘び寂び」にこだわりすぎの感じもしたので。

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萩茶碗 銘 雪獅子

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仁清 色絵扇面散文茶碗

渋い萩焼と色絵の仁清。対照的だなあ。

また江戸時代の茶人として知られる松江藩松平不昧縁の「雲州蔵帳とその美」として、松江藩の所蔵品の調べ帳とそこに載っている器のいくつかも展示。大名茶人の好みも興味深かった。

後この展覧会では抹茶だけでなく煎茶の器や、懐石料理の器も取り上げられていて、それも目に楽しかった。

私自身はお茶はやりませんが、器を見るだけでも十分奥が深くて楽しい。まあ、まだまだ焼き物の良し悪しはさっぱりわかりませんが。

5月のそのほかⅡ [美術]

展覧会で記事にしていないものも。

根津美術館
燕子花図と夏秋渓流図
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/past2017_n03.html
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この時期恒例の、光琳の燕子花図と、其一の夏秋渓流図を並べて展示。初夏のすがすがしさが会場に満ちていた。お庭の杜若も見頃。

サントリー美術館
絵巻マニア列伝
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2017_2/index.html
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絵巻そのものもだが、絵巻を愛した昔の帝や皇子達の逸話も面白かった。

太田記念美術館
浮世絵動物園
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/ukiyoezoo
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文句なしに楽しい。実在のも空想のも様々な生き物があふれる。妖怪の類いも。江戸時代の画家の想像力素晴らしい。
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ソール・ライター展 [美術]

Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_saulleiter/
1923年生まれのアメリカ人写真家、ソール・ライターの個展。
写真に詳しくないので、この人の名前も今回初めて知った。
はじめは画家を志したが20代に移り住んだニューヨークで写真を始め、30~40代ファッション誌で作品を発表。しかし50代後半には商業写真用のスタジオを閉じ,自分の周辺の写真だけを撮る生活に入っていった。
それが70を過ぎて,写真感材メーカーの資金援助を受けて,未現像のカラー写真が世に出、個展も開かれて再び注目を浴びるようになり、80代で出版された写真集が大きな評判を呼び、パリでの展覧会も大成功を収める。
しかし本人は隠遁生活を好み、成功にも無頓着だったらしい。
そういう彼の人生はドキュメンタリー映画「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」にもなったとのことだが、見ていないので残念。

展示はまず初期のモノクロ写真から。さらにファッション写真。どれも、スタジオではなく外で撮られたもので、しかもモデルが鏡や窓ガラスに映ったりした,おそらく当時としては斬新なアングル。でも今見てもとても素敵。あえてカメラ目線でなく、モデルがふと素に戻った瞬間を撮っていたり、その後のすべての写真についても言えるのだが、とにかく一瞬を切り取る目が素晴らしい。

カラー写真のほとんどは屋外で、モデルではなく偶然の通行人が写ったもの。でも人はあくまで点景といった感じで,車の窓越しだったり、傘から見える足だけだったり、とにかくアングルが絶妙。もちろん、色彩も。どこにでもある光景で、でも誰にでも撮れるものではない、瞬間を捉えるセンスが素晴らしい。

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「雪」(1960年)

画家を目指していたライターは、”ニューヨークのナビ派”と呼ばれるように,ボナールやヴュイヤールなどのナビ派の絵画、また日本の浮世絵に傾倒していたと言うが、写真を見てもそれがよくわかる。構図がとても似ている。
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「足跡」(1950年頃)

写真だけでなく絵画作品も出展されていたが、これも色使いが美しいひそやかな味わいの絵が並んでいた。
私は写真のことは無知だけれど、とても素敵な写真ばかりだと思って楽しめた。おすすめです。

木×仏像(きとぶつぞう)-飛鳥仏から円空へ [美術]

大阪市立美術館
http://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/kitobutsuzo#
仏像の中でも、木彫のものに絞った展覧会。タイトル通り、飛鳥時代のものから江戸時代までの木彫仏像を、やや駆け足ながら俯瞰できる。

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菩薩立像 飛鳥時代
横から見ると薄くてほとんど板のよう。7世紀、日本に仏教が伝わった後ごく初期に作られたと思われる。素朴でなんだかにこやかな表情が魅力的。

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重要文化財 宝誌和尚立像 平安時代(11世紀)
「中国南北朝時代の僧・宝誌は観音の化身で、割れた額の中から金色に輝く十一面観音像の姿が現れたという説話があり、本像はそれを造形化しています。」との説明。一瞬、昔のシュワちゃんの映画「トータル・リコール」を思い出した、と言ったら年がばれる。


仏像には鋳造もあるが、木像には鑿目が残っていたり,木目が生かされていたり、ほのかなあたたかさが感じられる。また、木像にも一本造りのもの、寄せ木造りのものなどの違いがあり、それも展示でわかる。

出品数は50体ほどで、それほど多くはないが、展示物のヴァリエーション、工夫された照明などで充実した展示になっている。快慶展だけでなくこちらも併せて見れば日本の仏像美術の豊かさをより感じられると思う。

海北友松展 [美術]

京都国立博物館
http://yusho2017.jp/index.html
この日は奈良と京都の国立博物館をはしご。時間はともかく体力勝負。

桃山時代を代表する画家の一人、海北友松(1533~1615)の展覧会だが、永徳や等伯に比べると知名度ではいまいちな感じ。武家の出身で、はじめは狩野派に学んだが、名が知られるようになったのは60代で,狩野派の影響から離れてからと言うまさに遅咲き。今回は回顧展と言うことで比較的少ない若い頃の作品も出ているが、圧倒的に多いのは60代後半から。実質20年にも満たない晩年に大輪の花を咲かせ、量的にも質的にも瞠目すべき作品を残したその老年パワーに脱帽。

60代で建仁寺の障壁画の多くを任され,現存している。

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雲龍図(部分) 建仁寺大方丈
二双八幅のうち四幅。対の四幅と角を合わせるように配置されていて、両方に囲まれるように見たときの迫力と来たら。よく見ると顔はそう恐くないんだけど、手の爪が鋭くて八つ裂きにされそう。渦巻く雲の間から雷鳴がとどろくかのよう。

さらに驚きなのは、もっぱら水墨画を描いていた友松が彩色の大和絵を本格的に描くようになったのが70代と言うこと。

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重文 花卉図屏風(右隻)妙心寺
建仁寺とともに妙心寺も友松と縁が深い。「妙心寺屏風」と呼ばれる普通より高さの高い屏風を三双も手がけている。中でもこの花卉図は華やか。右隻の金箔に牡丹は華麗でありながら抑えた色味が品が良く清楚で美しい。

晩年になっても衰えぬ意欲で制作に取り組んだ友松。その最晩年の傑作と言われるのがこれ。

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月下渓流図屏風
妙心寺屏風の華やかさから,静謐で哲学的とさえ感じられるような境地にたどり着いた友松。この絵があの等伯の「松林図屏風」とも並び称されると言うのもうなずける。ほの明るい月明かりの下梅が咲き川が流れる。しかし音はほとんど聞こえてこない。深閑とした冷たい空気だけが感じられ、目を閉じると梅の香りがほんのり漂う。そんな景色。
今はアメリカの美術館所蔵で60年ぶりの里帰り。


初めて友松の作品をまとめて観たせいか、実に新鮮。力強さもあり、華麗さもあり、狩野派にも長谷川派にもない面白さも感じた。

展示は京博の新館の広さを生かし,ゆったりと間を取ってあるのと、作品が大きな障壁画が多いためせせこましくなくて見やすかった。また、最後の部屋では数枚の龍図だけを真っ暗な中に浮かび上がらせるように展示。そういう工夫も楽しい。

東京で開催されないのがとても残念。京都まで行ける人は必見。

快慶展 [美術]

奈良国立博物館
http://www.ytv.co.jp/kaikei/

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鎌倉時代を代表する仏師の一人、快慶(?~1227以前)の展覧会。仏像展はよくあるけど、仏師一人に的を絞ったのはあまりないかも。

快慶と言えば運慶、と言うくらい運慶快慶でセットで覚えてしまってるけど、別にいつもコンビで活動していたわけではない。
また、京や奈良、あるいは鎌倉などだけでなく、広島とか栃木などにも快慶作の仏様が伝わっているのも驚き。

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弥勒菩薩立像(1189)
快慶の作でも最も早い時期のもの。ふくよかな肉付き、安定感のある体型とゆったりした衣紋。

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広目天像 和歌山・金剛峯寺
運慶快慶と言えば、東大寺の阿吽の像でしょ、と言う私のような素人には、おおこれこれ、という感じの像。どっしりした重量感、厳つい顔つき。なんともかっこいい。

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釈迦如来立像
比較的晩年の作と考えられ、春日大社ないし興福寺周辺に伝来したと推測される。写真ではよくわからないが、表面の金泥塗や截金文様が繊細でとても美しい。光背も当時のものというのも貴重。

私は特別仏像愛好家ではないので、年代による細かい違いとかはよくわからないし、正直どうでも良いんだけど、いくら工房的に集団制作していたにしても、生涯でよくこれだけ作ったなあ、とつくづく感心。美しさと力強さで御仏の心を表す快慶仏。仏像好きはもちろん、そうでない人も必見。
秋には東京で運慶展もあるそうで、これも観なきゃ。

茶の湯展 [美術]

東京国立博物館

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なんとなく勝手に茶碗ばっかりかと思ってたら、もちろんそうではなく。
12世紀に宋から入ってきた「喫茶」が15世紀室町時代にかけて定着、桃山時代に発展し千利休の登場によって「佗茶」が起こり現代につながっていく流れを、道具類とともにたどる。

もちろんメインは名物の茶碗。だが、唐物と呼ばれ珍重された牧谿らの中国絵画の名品があったのが望外の喜び。

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廬山図 玉㵎筆、自賛 1幅 南宋時代・13世紀

佗茶の世界に入ると、素人にはもはや価値基準がよくわからない。いわゆる井戸茶碗とか三島茶碗とか、ふうん、これが重文なのか、と見入るばかり。

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唐物肩衝茶入 銘 初花 中国 1口 南宋~元時代・13~14世紀
元々は中国で日用品として作られたものが日本では珍重されたとか。これは「天下の名肩衝」として有名なのだそう。シンプルですっきりしたフォルムは確かに美しい。

茶入れはまだしも、茶杓となると何が名品なんだかさっぱり。(苦笑)
まあ、利休や小堀遠州が自分で削って作ったんだなあ、と言う歴史的価値の方を感じる。

茶碗はもちろん名物がずらり。国宝、重文オン・パレード。
先日見たばかりの楽茶碗、志野、井戸、天目、青磁、、、。一口に茶碗と言っても、形も大きさも様々で、見飽きない。

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重要文化財 雨漏茶碗 朝鮮

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青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆


私は茶道には疎いけど、佗茶の世界がその後の日本文化に及ぼした影響は大きいと思う。「侘び寂び」という思想が日本の美学を決定的に支配してきたのではないかしら。
茶道具を見ながら,今更そういうことに思いが及ぶ展覧会。
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