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伊賀越道中双六 [舞台]

国立劇場大劇場

昨年来の国立劇場開場50周年記念公演の掉尾を飾る公演。
平成26年12月の公演が歌舞伎として初めて読売演劇大賞を受賞したことも受けての早々の再演はありがたい。

序  幕 相州鎌倉 和田行家屋敷の場
二幕目 相州鎌倉 円覚寺方丈の場
      同          門外の場
三幕目 三州藤川 新関の場
      同         裏手竹藪の場
四幕目 三州岡崎 山田幸兵衛住家の場
大  詰 伊賀上野 敵討の場

(主な配役)
唐木政右衛門            中 村 吉右衛門
山田幸兵衛              中 村 歌  六
佐々木丹右衛門・奴助平     中 村 又 五 郎
和田志津馬              尾 上 菊 之 助
近藤野守之助            中 村 歌  昇
捕手頭稲垣半七郎・石留武助  中 村 種 之 助
幸兵衛娘お袖            中 村 米  吉
池添孫八               中 村 隼  人
沢井城五郎・夜回り時六      中 村 吉 之 丞
和田行家               嵐   橘 三 郎
沢井股五郎              中 村 錦 之 助
政右衛門女房お谷         中 村 雀右衛門
幸兵衛女房おつや         中 村 東  蔵

配役もほとんどが前回と同じ。
場割は前回の誉田家大広間の場をなくして円覚寺を上演。
ただし円覚寺では本行の股之助の母を出さなかったため、争いの種の刀の扱いについても変更になっているが、文楽を見ていない人には気にならないかも。

全体に、やや手探り感もあった前回よりさらに練れて深みが増した。
序幕では橘三郎が厳格だが子供の心配もする老武士を手堅く見せた。
錦之助が憎々しい敵役で役の幅が広がった。普段優男や屑男なのに。。。(笑)

円覚寺では又五郎が非業の死を遂げる丹右衛門。律儀で物堅い武士の様子があって儲け役。
その同じ又五郎が次の関所の場では奴の助平で、三枚目ぶりで笑わせる。まさに180度転換。いや~、上手いな又さん。

菊之助の志津馬は「家中きっての男前」と言われるだけの二枚目ぶり。それを自覚して、自分に一目惚れしたお袖を利用する非情さも匂わせる。ここが前回より強く感じられたのが進歩。
お袖は米吉で、黄八丈の着物がよく似合いかわいらしい娘ぶり。志津馬に見とれる様子がいじらしい。

眼目の岡崎。
歌六の幸兵衛が素晴らしい。前回にまして古武士の腹の据わった様子が大きく、また口跡の良さが素晴らしく舞台を締める。

吉右衛門は、関所で登場したときの身のこなしがいかにも剣豪の隙のなさ。
岡崎では偶然であった昔の師匠幸兵衛から敵の手がかりを得ようと緊迫感がみなぎる。女房のお谷が苦しむのも見殺しにして、我が子が人質にされそうになると無残にも子を自ら殺して、そうまでしても股五郎の行方を探ろうとする。その非情さが今まで文楽で観てもいまいち納得がいかなかった。前回の吉右衛門の舞台ですら。だが今回のを観たら、そこまで政右衛門が追い詰められて、極限状態にあったのだと言うことがわかった。今このチャンスを逃したら、今度いつ手がかりが得られるかわからない。今までの苦労も水の泡になるかもしれない。そういう緊張と恐れに夫婦親子の情も捨てざるを得なかった、と言うよりとっさに我が子を手にかけてしまった武士の悲しさつらさが胸をえぐる。

雀右衛門のお谷、岡崎では巡礼となって夫の後を追い、苦難にあえぎながらなんとか夫に子供を見せたい一心の切なさを口説きに聞かせる様子が哀れさにあふれる。その苦労がかえって徒となって夫に我が子を殺され、でもそれも仇討ちのためとあれば文句も言えない。武家社会の女のつらさをひしひしと感じさせる。

米吉のお袖も最後は尼となる。女二人と赤ん坊の犠牲の上に仇討ちは成就する。
最後の鍵屋の辻では隼人と種之助も奴で立ち回りで元気はつらつ。
今回は敵側の歌昇は憎らしげな様子が意外に似合って、最後は吉右衛門叔父様に切られて本望か。
とにもかくにも最後は敵を討ってめでたしめでたしで幕。

前回、40何年ぶりとかで復活された岡崎、またこれっきりになるのはなんとももったいない。ぜひ他の座組でも取り上げてほしいし、歌舞伎座でもやってほしいと思う。

この公演で、去年から続いた国立劇場50周年記念も終わり。千穐楽には終演後理事長のご挨拶と吉右衛門の音頭で手締めも行われた。




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三月大歌舞伎 夜の部 [舞台]

歌舞伎座

双蝶々曲輪日記
一、引窓(ひきまど)

南与兵衛後に南方十次兵衛 = 松本幸四郎(9代目)
濡髪長五郎 = 坂東彌十郎(初代)
平岡丹平 = 松本錦吾(3代目)
三原伝造 = 大谷廣太郎(3代目)
母お幸 = 市川右之助(3代目)
女房お早 = 中村魁春(2代目)

幸四郎の与兵衛はちょっと立派すぎるかな。侍に取り立てられたばかりという初々しさが薄い。義理堅い様子はよく出ていたけど。それと、母が絵姿を売ってくれと言うのを受けて他の人と違い「私“も”あなたの子でございます」って言っていた。それもかなり”も”を強調していたような。「私は」だと、息子に隠し事をするのか、という感じなのが、「私も」だと私も息子なのに、実の息子をかばうんですね、と恨みがましい感じ。なので個人的には「私は」の方が好き。

魁春のお早は元は花街にいた艶やかさの名残と、人の良さがあっていい。
右之助のお幸も、実子と継子の間で揺れる母の切なさを見せる。この人のお幸で良かったのは、夫が生きていた頃は武士の女房でしかも代官の妻とあればそれなりの気位もあるであろうというところが垣間見えたところ。であればこそ、はじめは実子を助けたいと思うが、後にはそれでは義理が立たぬと思い直すだけの理性を持つ。ただの百姓女ではない。

彌十郎の長五郎も誠実で義理に厚い様子が似合い。

二、けいせい浜真砂(けいせいはまのまさご)
女五右衛門
南禅寺山門の場

石川屋真砂路 = 坂田藤十郎(4代目)
真柴久吉 = 片岡仁左衛門(15代目)

「楼門五三桐」の五右衛門を女に置き換えたもの。ストーリーなんてあってないようなもので、ただ二人の役者ぶりを愛でる演目。
藤十郎は台詞が聞き取りづらかったが、あのたいそうな衣装で舞台に立たれるだけでもう頭が下がる。
そして仁左衛門の久吉の颯爽として美しいこと。
ただただこの場面が見られただけで眼福。


河東節開曲三百年記念
歌舞伎十八番の内
三、助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
河東節十寸見会御連中

花川戸助六 = 市川海老蔵(11代目)
三浦屋揚巻 = 中村雀右衛門(5代目)
くわんぺら門兵衛 = 中村歌六(5代目)
朝顔仙平 = 市川男女蔵(6代目)
通人里暁 = 坂東亀三郎(5代目)
三浦屋白玉 = 中村梅枝(4代目)
福山かつぎ = 坂東巳之助(2代目)
傾城八重衣 = 坂東新悟(初代)
傾城浮橋 = 尾上右近(2代目)
傾城胡蝶 = 大谷廣松(2代目)
傾城愛染 = 中村児太郎(6代目)
男伊達山谷弥吉 = 澤村宗之助(3代目)
男伊達田甫富松 = 市川男寅(7代目)
文使い番新白菊 = 中村歌女之丞(3代目)
奴奈良平 = 市川九團次(4代目)
国侍利金太 = 片岡市蔵(6代目)
遣手お辰 = 市村家橘(17代目)
三浦屋女房お京 = 大谷友右衛門(8代目)
曽我満江 = 片岡秀太郎(2代目)
髭の意休 = 市川左團次(4代目)
白酒売新兵衛 = 尾上菊五郎(7代目)
口上 = 市川右團次(3代目)
後見 = 市川右之助(3代目)

今年は河東節ができて300年になるそうでそれを記念しての上演。

なんだかんだいっても、助六は海老蔵だな。他に男前な役者はいっぱいいるけど、助六となると話は別で、やはり成田屋でなくちゃ。と、とりあえず思わせてくれたので満足。

雀右衛門初役の揚巻。観る前は地味じゃないかと心配したが、なかなかどうして。それは玉様のような女王様ではないけど、華もあり堂々として美しい。悪態の初音も明瞭で気持ちいい。だが何よりも、助六への思い、その母満江への気配りがしっとりと感じられるのがこの人らしい。再演を重ねて当たり役にしてほしい。

菊五郎の白酒売が、力の抜け加減といい、柔らかみといい、この人ならではの傑作。さらさらと何も構えるところないようでいて、きっちりツボを押さえてくる最上の巧さに舌を巻く。

左團次の意休も今はこの人しかいない安定感。
白玉は梅枝。雀右衛門揚巻の妹分として十分の貫禄。毎度ながらこの安定感は何なんだ。

かつぎは巳之助で、頑張ってるけどちょっと力みが目立った。今月はこれ以外の役も含めて大車輪だが、どれもややもすると顔芸に走りがち。抜けといっても難しいだろうけど、もうちょっと力抜けると良いな。
通人里暁は亀三郎。代々のこの役の人に比べるとあっさり目で行儀良く。きっとお金の払いもきれいで、太鼓持ちや花魁にも人気がありそう。立ち去り際には5月の襲名もしっかりアピール。

並び傾城がまた若返った。みんな可愛い。この中から次の白玉や揚巻は出るだろうか。

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三月大歌舞伎 昼の部 [舞台]

歌舞伎座

一、明君行状記(めいくんぎょうじょうき)
池田光政 = 中村梅玉(4代目)
青地善左衛門 = 坂東亀三郎(5代目)
妻ぬい = 市川高麗蔵(11代目)
弟大五郎 = 中村萬太郎(初代)
若党林助 = 市村橘太郎
木崎某 = 中村寿治郎(初代)
吉江某 = 片岡松之助(4代目)
筒井三之允 = 中村松江(6代目)
磯村甚太夫 = 河原崎権十郎(4代目)
山内権左衛門 = 市川團蔵(9代目)

禁猟の御用地で過って鳥を撃ち殺した善左衛門。明君と名高い主君の光政は善左衛門の命を助けようと考えを巡らすが、一方善左衛門の方は主君の本心を知りたいと直々の裁断を願う。
青果らしい台詞劇。
なんと言っても光政を演じる梅玉の口跡が素晴らしい。日頃かわいがっている家臣の善左を助けてやろうとしているのに、小生意気に向かってくる善左を掌で転がすように理屈でへこませる様子が傑作。権威を笠に着るのではなく、善左衛門と正面から向き合いながら、青二才のおまえなぞに本心など探られてたまるものか、という自負心がみなぎる。同じ殿様でも綱豊卿とは違う、ざっくばらんな物言いもおかしみがあり、人を食ったような理屈にも最後は善左ともども煙に巻かれたような気分だがなんとなく言いくるめられた気になってしまう。梅玉さん、すごいわ。

対する善左は亀三郎。こんなに台詞の多い役初めてではないだろうか。日頃から声のいい人なので、あの美声で台詞がたくさん聞けて幸せ。もちろん感情表現もよく練られて、こんなに芝居のうまい人だったかと改めて感心。一本気で、かなりめんどくさい性格の善左を好演。

團蔵の権左衛門が殿様の側近で狸親父のようなとぼけた味を見せる。
松江が善左のいとこで、善左を案じる様子に心情がこもる。

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
渡海屋
大物浦

渡海屋銀平実は新中納言知盛 = 片岡仁左衛門(15代目)
女房お柳実は典侍の局 = 中村時蔵(5代目)
相模五郎 = 坂東巳之助(2代目)
銀平娘お安実は安徳帝 = 市川右近(2代目)
入江丹蔵 = 市川猿弥(2代目)
武蔵坊弁慶 = 坂東彌十郎(初代)
源義経 = 中村梅玉(4代目)

仁左衛門は銀平の出から颯爽として文句なしにかっこいい。衣装を改めての知盛は神々しいばかりの高貴さ。手負いとなっての再度の出では深手を負った凄惨な姿で、義経一行へのすさまじいまでの恨みと、ひたすら帝大事の一念を見せる。帝に諭され、局も自害し、心も折れての述懐が悲痛で、最後の「昨日の敵は今日の味方」の後の笑いが、これですべてが終わるのだという諦念と、戦い疲れた自分の一生を振り返る寂しさにあふれて胸を刺す。美しくて気高い知盛。

時蔵はお柳ではさっぱりとした世話女房の風情。局と改まってからは高貴な様子と帝への敬愛を見せて、凜として美しい。
義経の梅玉も御大将の凜々しさと気高さを見せる。やはり梅玉さんの義経は当代一。

三、神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)
荷持どんつく = 坂東巳之助(2代目)
親方鶴太夫 = 尾上松緑(4代目)
若旦那 = 市川海老蔵(11代目)
太鼓打 = 坂東亀寿(初代)
町娘 = 坂東新悟(初代)
子守 = 尾上右近(2代目)
太鼓持 = 坂東秀調(5代目)
太鼓持 = 坂東彌十郎(初代)
田舎侍 = 市川團蔵(9代目)
芸者 = 中村時蔵(5代目)
白酒売 = 中村魁春(2代目)
門礼者 = 坂東彦三郎(8代目)
大工 = 尾上菊五郎(7代目)

三津五郎さんの三回忌追善。もう二年か。。。
巳之助のどんつくは、まだ堅さもあるが、丁寧に一生懸命なのが良い。これから何度も踊るだろう。見続けていきたい。
松緑の親方がひょうひょうとした様子で、こちらはさすがに踊りも軽やか。曲芸の方はいささか危なっかしいがご愛敬。
亀寿も交えた三人での踊りが息も合って楽しげ。
周りも追善らしく顔ぶれがそろい、中でも大工の菊五郎がおおらかな味を出して場を和ませ、時蔵の芸者とも色めいた様子を見せて粋。
全員でのどんつくの踊りも楽しい。
三津五郎さん、見てるかなあ。みっくん頑張ってますよ。みんなが応援してますよ。と、楽しいのにホロリとなった。
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足跡姫 [舞台]

3月8日(水) 東京芸術劇場プレイハウス

NODA・MAP 足跡姫~時代錯誤冬幽霊(ときあやまってふゆのゆうれい)~
作・演出/野田秀樹

出演
宮沢りえ 妻夫木聡 古田新太 佐藤隆太 鈴木杏 池谷のぶえ 中村扇雀 野田秀樹 他


美術/堀尾幸男  照明/服部基 衣裳/ひびのこづえ
作調/田中傳左衛門 サウンドデザイン/原摩利彦 音響/zAk
振付/井手茂太 映像/奥秀太郎 美粧/柘植伊佐夫 舞台監督/瀬﨑将孝

野田秀樹が、十八代目勘三郎へのオマージュとして書いた芝居。
普段ストレートプレイを見ない私には、この作品について語る力はない。
観る前はもっと難解なのかと思ったけど、ギャグもあり、楽しかった。
主人公は宮沢りえの”三、四代目阿国”と、妻夫木聡のその弟で戯作者”サルワカ”。
将軍の前で演じることを望む阿国と創作の苦しみにもがくサルワカに、一座の者達や得体の知れない人々が絡み合い、さらに取り締まろうとする役人達との悶着が騒動をもたらす。
演じること、芝居を作ることに取り憑かれた者の業とでも言うのか。乗り移った足跡姫を葬るために自ら死を選ぶ阿国を抱いて「穴」に飛び込んだサルワカがたどり着くのが現代の歌舞伎座。
そう、阿国もサルワカも、現代につながっている。すべての演じることに執着する者に魂が受け継がれている。
阿国の遺体を抱いたサルワカの絶叫。「幕を閉めろ、そうすればまた生き返るんだ」という言葉に、もっともっと舞台の上で死んでは生き返りたかったであろうあの人達を思って涙があふれた。

宮沢りえちゃん、実は生の舞台を観たのは初めて。ほっそ~い!そしてテレビなど映像では聞けない発声が、へえこんな声が出せる人なんだ、とちょっとびっくり。や、舞台女優なんだね。
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KAAT竹本駒之助公演 [舞台]

3月6日(月) KAAT神奈川芸術劇場中スタジオ
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女義太夫の人間国宝、竹本駒之助さんの公演。
今回は一谷嫰軍記の「熊谷陣屋の段」を一段丸々語るという。近頃は文楽の太夫でも一段語る人はいない。それを80歳を過ぎた女性が語るというのだから恐れ入る。
相三味線は鶴澤津賀寿さん。

文楽と違って、女義は人形はつかず素浄瑠璃が基本。観客と正面から向かい合う真っ向勝負。
男の太夫を聞き慣れてる耳には、女義ってどうなんだろう、という不安はすぐに払拭される。もちろん、音量という意味では男性に劣るかもしれないが、気迫とか、力強さとかで引けを取る気は全くしない。それどころか、語り口の丁寧さ、登場人物の語り分けの的確さ細やかさが、物語をくっきりと浮かび上がらせる。女性なんだから相模や藤の方がいいだろうと予想していたが、むしろ義経や弥陀六が眼前に現れるようだった。
熊谷の眼目の台詞「十六年はひと昔」はさらりと聞かせ、その後の「ほろりと流す涙の露」にぐぐっと情がこもったのに胸が熱くなった。

最後まで調子が衰えないどころか、後半にかけてどんどんのってくるようで、圧倒された。
はあ、ええもん聞かせてもらいました。こちらの寿命が延びた気がする。どうぞいつまでもお元気でまた聞かせていただきたい。
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宝塚月組公演 [舞台]

2月28日(火) 東京宝塚劇場
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「グランド・ホテル」
「カルーセル輪舞曲」

(まともな感想ではないです)

10何年ぶりの宝塚観劇。去年見たミュージカル「グランド・ホテル」を宝塚でも再演すると聞いて、なんとしても見たくなって、ヅカファンのお友達にお願いしてチケットを取ってもらった。
久しぶりすぎて、初めてと同じ気分。
当然、出てる人は知らない人ばかり。
わー、でもやっぱり皆さん素敵。

「グランド・ホテル」の方は、前回の宝塚初演ではオットーとフラムシェンをトップコンビが演じたのに対し、今回はトップお披露目の玉城りょうさんと愛希 れいかさんが男爵とエリザヴェータをやったので、多少印象が違ったかな。
玉城さん、少し陰のある男爵がお似合い。愛希さんが大人の女の可愛らしさ。
個人的に目が止まったのはオットーを演じた美弥 るりか さん。宝塚としては異色の性格俳優的な役をしっかりこなして、また歌声が初演の涼風さんに感じが似ていて。

この作品は宝塚向きとは思えなくて、だからもう再演はないのかと思っていたので、正直今回再演されたのも意外だった。でも本当に素晴らしい作品なので、劇団にとってチャレンジングであっても財産だと思うのでまたやると良いなあと思う。

ショー「カルーセル輪舞曲」の方は、これぞ宝塚!という華やかで楽しいショー。ドラマが重かったのでバランスがとれて良かったと思う。
何しろ、ドラマと違って誰が誰だかわからないので(苦笑)、デュエットダンス素敵!男役さん達の黒燕尾の群舞最高!と、ただただうっとりと眺めている間に、あっという間に大階段。羽背負って降りてくるのは全く変わってないのね~。

またはまる気はないけど、宝塚はやっぱり夢の世界ね。と改めて感激。
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二月花形歌舞伎 昼の部 [舞台]

2月21日(火) 松竹座
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一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
渡海屋
大物浦
渡海屋銀平実は新中納言知盛   松也
女房お柳実は典侍の局     壱太郎
入江丹蔵    右近
相模五郎    種之助
源義経     新悟
武蔵坊弁慶   歌昇

松也大健闘の知盛。うん、しかし難しい役だな知盛って、と改めて。松也は銀平は颯爽としてまずまず。最難関は知盛と改まっての出。位取りが難しい。見た目は美しいが、能掛かりにも苦心。手負いとなってからはとにかく必死。それはわかる。でもその必死が生々しく、義太夫狂言の芝居でない。
でも去年の浅草以来松也にはずっともやもやしていたけど、それを払拭する知盛ではあった。課題も見えたと思うので頑張ってほしいな。

壱太郎はおりうより典侍局の方が良かった。世話女房のおりうって実は結構難しいのかも。もちろん、仕方話などきちんとやっていたけど、なんというか、女房らしい生活感のようなものがもう少し出てほしい。一方、局としては位の高さ、幼い帝への愛情をしっかり見せて立派。宮中にいたころの華やかな生活をしのばせるあでやかさも。こと切れる前、帝の顔を愛おしそうに見守り見守り息絶えたのが印象的だった。あの局は知盛とできてないな。死ぬ前にほとんど知盛を見なかった。

新悟の義経が、凛々しく、御大将の落ち着きと、同じ武将として知盛への敬意も見せて上々。新悟ちゃんは声が良いから、立ち役でもあまり線の細さを感じない。幕切れ、知盛への悼みと安徳帝へのいたわりの表情が静謐さの中に感じられて胸を打つ。

種之助の相模五郎、渡海屋では目一杯背伸びして悪役面してるのが、悪いけどかわいくて,ニコニコしてしまう。放り出されてからの魚尽くしがコミカルで楽しい。右近君との息もぴったり。御注進は小さい体を思いっきり大きく使ってきびきびと。力強くて颯爽。

右近の入江も渡海屋では剽軽な味を見せ、二度目の出では注進と立ち回りを颯爽と見せながら壮絶な最期を遂げる。そういえば今月は立ち役ばかり。女形も見たいなあ。

歌昇君弁慶は、貫禄不足は否めない。夜は抑えめだった顔芸が。。。あはは。ほら貝、ほとんど音が出ず。もうちょっと練習してね。

二、三人形(みつにんぎょう)
若衆   梅枝
奴    種之助
傾城   新悟

スッキリ男前な梅枝君、ほっそりしとやかな新悟君、コロコロ元気いっぱいな種ちゃん、とそれぞれ役に似合って華やかな舞台。三人とも特長が出て楽しい。でもやっぱり種ちゃんの踊りが一番!タップみたいな足拍子やぎばなど見せ場たっぷりで、客席も沸いていた。何より、本人がそれは楽しそうに踊っていてそれがこちらにも伝わってくる。見ていて幸せな気分にしてくれる。梅枝君新悟ちゃんも美しくてほんとに良い打出し。

三人形と連獅子は東京だったら幕見に通うな~。もっと見たかったわ。

今月の松竹座やおととしの南座の花形に比べると、この頃の正月の浅草はぬるく感じる。あんまり必死でやってる感じがなくて、そうでなくても客が入ってるし、っていう。去年も今年も、もう来年の浅草は見ないでいいかな、と思ったくらいだった。だから今月のような、アウェイでの公演は貴重。


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二月花形歌舞伎 夜の部 [舞台]

2月20日(月) 松竹座

ほとんどが20代の若手に上置きとして又五郎を迎えての花形公演。

祇園祭礼信仰記
一、金閣寺(きんかくじ)
雪姫    梅枝
此下東吉後に真柴久吉   歌昇
慶寿院尼   新悟
十河軍平実は佐藤正清   種之助
松永鬼藤太    右近
狩野之介直信    壱太郎
松永大膳    又五郎

梅枝初役の雪姫、期待通りというか上回る出来。楚々として品よく、はかなげで美しく、でも父の敵と切りかかる芯の強さもしっかり。眼目の爪先鼠は降りしきる花びらの中、夫を救いたい一念が奇跡を起こす姿が、まさに絵のよう。なんだろうこの安定感。何やっても梅子が出てくれば大丈夫、な感じ。もはや花形じゃないんじゃないか?歌舞伎座の本公演でも通用しそう。
それにしてもあれだな、梅子はどうしてこう踏まれたり縛られたりの姿が様になるのか。。。

又五郎の大膳も風格と大きさがあり、さすがの上置き。ただこの人はどこかいい人オーラが出てるので、大膳にしてはまとも過ぎる。エロさとか変人ぽさとかが薄い感じ。

歌昇の久吉は爽やかで、きっちり行儀良く。叔父様に教わったことを一生懸命なぞってるのが見えて好ましかった。顔芸も控えめ(^_^)台詞がちゃんと義太夫狂言になってた。昨夏の勉強会での松王丸から格段の進歩。やっぱり一日二日の勉強会より一ヶ月の公演は大きいんだなと実感。

壱太郎の直信、やや背伸びが感じられるがすっきり行儀よく。
右近の鬼藤太、珍しい赤っ面で一瞬だれかわからなかったが、やんちゃな若者の雰囲気。
軍平実は正清は種之助。力強さを見せる。幕切れで槍を構えて腰をぐっと落とした姿が立派。
新悟が慶寿院尼とは気の毒じゃないか、と見る前は思っていたが、どうしてなかなかの落ち着きとしっかりした位取りを見せた。ちょっと驚き。

正直言って、花形でこの演目をやるのは無理じゃない?と思っていたが、予想以上の完成度だった。ま、それもこれも梅枝君凄いに尽きるけど。


二、連獅子(れんじし)
狂言師右近後に親獅子の精   松也
狂言師左近後に仔獅子の精   右近

観る前から予想はしていたけど、子の方が明らかに上手い連獅子も珍しいな。
松也一人で踊ってる間はまだしも、二人で踊ってると目が右近君にどうしても引きつけられちゃう。でもしょうがないよなあ。誰が観たってケンケンが上手いもの。

ケンケンの足拍子の音の迫力がすごい。劇場の大きさもあるだろうけど、あんな音聞いたことない。ダンダンッと響く小気味よさ。に反して手先の優美さ。あくまでも息子側の分をわきまえた所作でありながら、遙かに凌駕してしまう。後シテ毛振りは終わりに向けてどんどんハイスピードに。客席も熱気を帯びて大喝采。最後は普段行儀のいいこの人には珍しく、ドヤ顔だったが、無理もなかろう。

松也も懸命に頑張っていて、少なくとも先月浅草の吉野山の忠信よりはずっと良かった。でも特に前シテの腰の据わらなさが気になった。
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猿若祭二月大歌舞伎 夜の部 [舞台]

2月12日(日) 歌舞伎座

今月最大の見ものは中村屋の二人の息子、勘太郎と長三郎の初舞台。夜の部は早々に完売の大人気。
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一、門出二人桃太郎(かどんでふたりももたろう)
三代目中村勘太郎 二代目中村長三郎 初舞台
劇中にて口上相勤め申し候

兄の桃太郎    初舞台勘太郎
弟の桃太郎    初舞台長三郎
お婆さん     時蔵
お爺さん     芝翫
息子勘作/鬼の総大将  勘九郎
嫁お鶴   七之助
犬彦   染五郎
猿彦   松緑
雉彦   菊之助
村の女   児太郎
村の男   橋之助
村の男   福之助
鬼     錦吾
鬼     亀蔵
村の男    彌十郎
庄屋妻お京   雀右衛門
吉備津神社巫女お春   魁春
庄屋高砂   梅玉
吉備津神社神主音羽    菊五郎

何を言っても野暮。あの可愛さの前では脱帽しかない。お兄ちゃんの勘太郎ちゃんは、もう自分がしっかりしなきゃ、という自覚があって必死で頑張ってる。弟の長三郎ちゃんはまだよくわかってないからマイペース。でも二人とも役者のDNAをしっかり持ってるのが感じられる。初日の様子をテレビで見たが、わずか十日足らずの間に上達して、台詞は大きな声でしっかり、見得もちゃんとして立派なもの。でもたとえうまくやれなくたって誰も叱ったりしないよ。二人が舞台に出てくるだけで、みんなにっこにこ。客席はもちろん、他の役者さんもうれしそう。引きつってるのは勘九郎と七之助だけ。
のりのりの染松菊の犬猿雉をはじめ、菊五郎御大も梅玉さんら幹部も顔をそろえる。考えたら、これだけ豪華な顔ぶれの初舞台ってなかなかないよな。祖父の十八代目がいないのだけが寂しいけれど、どこかで見守っているはず。
30年前の現勘九郎と七之助の初舞台は見ていない。今回初舞台の二人の30年後は多分見られないだろう。ただこの二人の将来に幸多かれと祈る。それが歌舞伎の未来にもつながっていると思うから。

二、絵本太功記(えほんたいこうき)
尼ヶ崎閑居の場
武智光秀    芝翫
操      魁春
真柴久吉     錦之助
佐藤正清     橋之助
初菊     孝太郎
武智十次郎    鴈治郎
皐月     秀太郎

前の桃太郎ではしゃぎすぎたのか、半分以上寝落ちしてしまった。でも起きていたとしてもあまり感心はしない舞台だったと思う。
襲名疲れか芝翫に勢いがない。ニンでないはずはないと思うが、深さも大きさも重さもない。この人がしっかりしなくて、これから先の時代物はだれがやるのか、なのにである。襲名を機に大きくなってくれることを期待しているが。

鴈治郎の十次郎はさすがにミスキャストと言わざるを得ない。いや、台詞回しはきちんとしているんだけど、少年の初々しさがなくつらい。桃太郎が年取って出てきたのかと思ってしまった。。。

女形陣は本役がそろう。特に魁春の操が良い。姑に仕え、夫に尽くす武家の妻女がこらえきれずに夫を責める口説きに真情がこもる。
秀太郎の皐月も、手ごわい老女の厳しさと、孫への情がこもる。
孝太郎の初菊が可憐。一途に十次郎を慕う様子がいじらしい。
錦之助の久吉が颯爽。んん~、でも錦之助さんが十次郎の方がニンだったのに。

三、梅ごよみ(うめごよみ)
向島三囲堤上の場より深川仲町裏河岸の場まで
丹次郎    染五郎
芸者仇吉   菊之助
芸者米八   勘九郎
千葉半次郎   萬太郎
許嫁お蝶   児太郎
本田近常   吉之丞
芸者政次    歌女之丞
太鼓持由次郎   松之助
番頭松兵衛   橘三郎
古鳥左文太   亀鶴
千葉藤兵衛   歌六

なんというか、芸者二人が男を取り合っての喧嘩の繰り返し。これに盗まれたお家の重宝探しが絡んで、最後は男はもともとの許嫁とくっつき、芸者二人は茫然のところで幕。
とストーリーを書いても意味がない舞台。芸者二人の意地の張り合いが見ものでそれだけとも言える。

勘九郎久々の女方、しかも世話物の芸者がピタリとはまって、深情けで癇癪もちで、でもかわいい女になっている。

菊之助は美人で気位も高く、でも丹次郎にはぞっこん。すでに米八とできていた丹次郎にいわば横恋慕の態だが、悪びれもせず突き進む。

とにかくこの二人のやりあいが面白くてわかせる。羽織ふんづけ事件とか、米八を仇吉が下駄で打つとか(加賀見山か!),傘を持っての立ち回りとか(髪結新三!)、パロディなのか知らないが、笑える。
意地悪もするけど、不思議と女の喧嘩にありがちな陰険さがないから、見ていてスカッとする。

そしてこの二人の間に入ってうろうろするのが染五郎の丹次郎なのだが、もうしょうがないなあ、という色男で、悪びれもせず二股どころか三股かけて、みんなにいい顔してるようないい加減な男だが、でも丹さんじゃしょうがないわね、ってなっちゃう。

許嫁のお蝶は児太郎で、仇吉と米八のさや当てをよそに、自分が本命と信じ切っている様子がなんか可笑しい。そして実際その通りになるんだけど。コタちゃんって、いわゆるコメディエンヌではなくて、本人はまじめにやってるその存在が微苦笑を誘う役が似合う。先月の「雁のたより」の殿様の愛妾とか。

歌六が留男よろしく二人の仲裁に入ってくる、粋な旦那。丹様より頼りがいがあってこちらの方がずっといいけどな。

最初の幕の大川を船で行く舞台装置が良くできていて素敵。歌舞伎らしいセット。

桃太郎だけ見て帰ってしまうお客さんがいてもったいない。太十はともかく、梅ごよみは見ないと損。

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猿若祭二月大歌舞伎 昼の部 [舞台]

2月6日 歌舞伎座

今月は勘九郎の二人の息子の初舞台。ということで猿若祭。昼は坊ちゃんずは出ないので、それほどの熱気はないが。

一、猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)
猿若      勘九郎
出雲の阿国   七之助
若衆      宗之助
若衆      児太郎
若衆      橋之助
若衆      福之助
若衆      吉之丞
若衆      鶴松
福富屋女房ふく   萬次郎
奉行板倉勝重    彌十郎
福富屋万兵衛    鴈治郎

中村屋にはゆかりの演目で、十八代目勘三郎の襲名公演でも上演された、と思い出しながら見ていると感慨深い。演目そのものはたいして面白いとも思わないけど。
勘九郎の踊りはきびきびとして、下半身がしっかり安定しているのがよくわかる。なんかこう、ぴたっと動かない感じ。でいて軽やかで、本当に気持ちいい。
ストーリーは他愛もなくて、阿国と猿若が江戸にやってきた初めの話というだけだが、中村屋を寿ぐ猿若祭にはぴったり。
  
二、大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)
「黒髪」長唄連中

正木幸左衛門実は源頼朝    松緑
地獄谷の清左衛門実は文覚上人/北条時政   勘九郎
おます実は政子の前    七之助
清滝      児太郎
熊谷直実   竹松
畠山重忠   廣太郎
佐々木高綱    男寅
三浦義澄    福之助
下男六助    亀寿
家主弥次兵衛    團蔵
女房おふじ実は辰姫   時蔵

初見。それもそのはず、二代目松緑がやって以来やってなかった作品。先にあらすじ読んでもあまりに荒唐無稽でさっぱり面白そうに思えなかったが、意外にも楽しかった。
前半はセクハラまがいの女にだらしない寺子屋のお師匠さんが実は頼朝で、寺子になりたいと押しかけてきた娘が実は政子で、焼餅焼きの女房が実は辰姫という前妻で、といった風にみんな素性を偽っている。
なんだか、正月の国立劇場の復活狂言をコンパクトにしたようで、いろんな要素がぶっこまれていて、後半急展開になって、最後はぞろぞろみんな出てきての大団円。まじで、手拭い撒きが始まるんじゃないかと錯覚しそうになった。

松緑がモテモテの色男って、ちょっと無理じゃない?と思ったけど、意外にはまっていて、寺子の女の子たちにイチャイチャ手を出すのがなんだか楽しそう。頼朝とあらわしてからはすっきり男前な武将の様子。(逆に、頼朝ってそんな勇壮な武将かね?と思ったりするくらい)

時蔵が寺子にイチャイチャする亭主に焼餅を焼く女房で、それくらいで怒ってたらやってられないだろうレベルの焼餅。でもなんだかかわいい。そんなら家を出ていくの行かないのもじゃらじゃらしていて。そんなに好きなのに、政子と一緒になった方が頼朝が挙兵するにはいいと身を引く辛さを、長唄「黒髪」に乗せて演じるのが、さすがに大人の女の色香と怖さを見せる。

勘九郎が実は文覚上人で、頼朝に挙兵を促す院宣を渡す。でもはじめは怪しげな願人坊主風で砕けた口調。その切り替えがいまいちはっきりしない。この頃の勘九郎の癖は口跡がやや単調で、役による使い分けが不十分。
最後は二役で時政も。これは貫禄不足なのは否めない。

七の政子はここではかわいいお姫さま。のちの政子も相当の焼餅焼きだったように聞くが、頼朝が女にだらしないから妻がみんなそうなるのか。。。と思ってしまう。松緑との床入りでの恥じらう様子が初々しくかわいい。薙刀持って團蔵と闘おうとする様子が懸命。
児太郎が、政子の姉、実は局(?)で、落ち着きがあって、ちゃんと七より年上のしっかり者に見えたのは上出来。

もうちょっと脚本整理したらもっと面白くなるんじゃないかな。
   
  
河竹黙阿弥 作
三、四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)
四谷見附より牢内言渡しまで  
野州無宿富蔵  菊五郎
女房おさよ    時蔵
生馬の眼八   團蔵
隅の隠居      歌六
うどん屋六兵衛   東蔵
浜田左内      彦三郎
牢名主松島奥五郎    左團次
藤岡藤十郎     梅玉
   
江戸時代末期に実際にあった御金蔵破りの盗人の話だが、通してのストーリーは断続的であまり意味はない。ただ、場面場面は独立した面白さがあって捨てがたい不思議な演目。中心は菊五郎と梅玉だが、見せ場は牢内のリアルな描写だ。牢内の上下関係、新入りがツルの多寡で待遇が変わる様子など、へええと思うような描写が続く。
菊五郎は盗人だが憎めない愛嬌ある富蔵を生き生きと演じる。嫌味なく、さらさらとおかしみをもって見せるのが極上。おでん売りの呼び声が絶妙。女房子供との別れでは情を見せる。

梅玉はお育ちのいい御家人が身を落として富蔵と一緒に御金蔵破りをするのが、ひょうひょうとしてかすかな滑稽味があり、曰く言い難い味。

時蔵が情のあるいい女房ぶり。
彦三郎が情け深い役人で、粋な計らいで富蔵と家族を合わせてやるのが良い。実際にもこんな役人がいたんだろうか。
團蔵が本領発揮の嫌味で憎々しい敵役。
左団次、歌六ら牢内の面々がいかにもという感じで面白い。誰が誰かわからないし。松緑、菊之助らもちょいと出てくるのが贅沢。
   
しかしこの演目、いつまで上演されるだろうなあ、と思うある意味絶滅危惧種的演目ではある。

四、扇獅子(おうぎじし)
鳶頭   梅玉
芸者   雀右衛門
   
打って変わって、粋で洒脱な踊りの演目。梅玉の鳶頭が颯爽としていなせ。雀右衛門の芸者もあだっぽい色気を見せる。絡みがトンボを切ったり派手で、口直しにはぴったりの気持ちいい舞台。
前の演目でひげも伸び放題のむさ苦しい姿から、10分で変身してきた梅玉さんが見ものでもある。

   
  
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