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皇室の彩展 [美術]

東京藝大美術館
https://www.nhk-p.co.jp/event/detail.php?id=779

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東京藝術大学創立130周年記念特別展
「皇室の彩(いろどり) 百年前の文化プロジェクト」
大正から昭和初期にかけて、皇室のご即位やご成婚などの機会に当代選りすぐりの美術工芸家たちが技術の粋を尽くして献上品を制作した。個人の作品はもちろん、多数の工芸家がかかわったプロジェクトのような品もあった。
その多くは東京藝大の教授や卒業生であり、この展覧会は皇室に献上された後公開されることが少なかった品々を見せると共に、藝大の歴史を見せるものでもある。


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高村光雲《松樹鷹置物》大正13年 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
生きているような鷹。これも良いけど、猿の彫刻も素晴らしかった。

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横山大観《日出処日本》昭和15年 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
大観は富士の絵をたくさん描いている。これはとても大きくて、幅が3メートルくらいあったのでは。

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《御飾棚》鳳凰菊文様蒔絵(昭和天皇へ献上)昭和3年 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
ご即位を祝う献上品。対になったもう一つは皇后への献上品。描かれた図柄が違う。がどちらも当時最高の技術で蒔絵、螺鈿などが施された。おそらく今では再現不可能な品。

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《二曲御屏風》(腰彫菊花文様)のうち右隻 昭和3年 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
こちらも一つの屏風にいろんな人の作品を並べたもの。それも、絵や陶板、彫銀など様々な作品が一つに収められた。

こういった品々を作るのに芸大がプロジェクトを指導する役割を果たしていたのも興味深い。
現代の皇室にもこう言う物を献上することはあるのだろうか。時代が違っているからないのかな。こういった品を作ることで伝統技術が維持される面もあるのだろうから、廃れるには惜しい気もするが。。。



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鈴木春信展 [美術]

千葉市美術館

ボストン美術館所蔵の鈴木春信の浮世絵展。
春信は初期の色数の少なかった浮世絵が多色刷りの錦絵と発展する時期に活躍した。

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《桃の小枝を折り取る男女》中判錦絵2枚続 明和3年(1766)頃

春信の絵には、浮世絵でよくある吉原の花魁などを描いたものもあるが、目につくのは市井に生きる人たちの日常や、若い恋人達のの初々しい様子などだ。

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《子どもの獅子舞》中判錦絵 明和4-5年(1767-68)頃

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《見立玉虫 屋島の合戦》
中判錦絵2枚続のうち左 明和3-4年(1766-67)頃
2枚続きの右には弓矢を持った若者で那須与一の見立て。
見立てを読み解くには見る方も教養がないといけない。知的な遊び。昔の人は物知りだったんだな、と思うことがよくある。

遊びと言えば、錦絵の誕生には絵暦が深く関わっていた。春信も多く描いていた。

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《夕立》 中判錦絵 明和2年
洗濯物の中にこの年の大の月を示す数字が書かれている。こういうので大の月小の月がわかるなんて、粋というかお洒落というか。

錦絵と言っても春信の頃はまだ色数もそう多くなく、幕末の北斎や国芳のような極彩色とはずいぶん違う。でもそれがかえって品が良いというか、題材共々清楚な感じを受けて好ましい。

今回のはすべてボストンからの里帰りで、保存状態も良くてうっとり。なんか、浮世絵の展覧会ってこう言う里帰り物が多いんだよね。ちょっと複雑。

千葉美のは終わってしまったけど、名古屋に巡回中。http://harunobu.exhn.jp/index.html#header
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狩野元信展 [美術]

サントリー美術館
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2017_5/index.html

狩野元信(1477?~1559)は狩野派二代目にして、狩野派を天下の画家集団にした礎を築いたと言える画家。でもその実態はあまり知られておらず、あの永徳のお祖父さんと言った方がわかりやすい。
一門で工房制作をしやすくするために中国絵画の技法を整理して「真・行・草」体とし、さらに父の正信から学んだ漢画に加えて、やまと絵の技法も取り入れて幅を広げた。画家としての才能はもちろん、総合プロデューサーの能力に長けた人だったのだろう。

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重要文化財 四季花鳥図 狩野元信筆 八幅のうち四幅 室町時代 16世紀 京都・大仙院
華麗な花鳥と、岩などの力強い描写は江戸時代まで続く狩野派の特長の一つ。既に元信の時に確立されていたんだな。

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重要文化財 酒伝童子絵巻 画/狩野元信
こちらはガラッと違うやまと絵風の絵巻。色彩豊かな世界も自分の物にしている、いわば両刀使いの凄腕。

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白衣観音像 狩野元信
ボストン美術館から里帰りした今回の目玉の一つ。襞の線描の美しさ、目を引く衣の白さだけでなく、頭部の飾りの色使いも繊細で美しい。

元信本人の作品だけでなく、手本とした南宋などの中国絵画もあり、また障壁画などの大作から扇面などの小品まで、サイズも種類も豊富に元信の全貌に迫る。永徳や探幽らに比べて正直言って知名度は劣るが、さすがは一派の祖とも呼ばれるだけのことはある。見応え十分な展覧会。
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極付印度伝   マハーバーラタ戦記(まはーばーらたせんき) [舞台]

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インド歌舞伎?マハーバーラタ?なんじゃそりゃあ。と聞いた時はぶったまげた。菊ちゃん、「十二夜」もやったし、意外と新作好き?正直恐る恐る見に行った。


極付印度伝
マハーバーラタ戦記(まはーばーらたせんき)
迦楼奈(かるな)・シヴァ神(しん) = 尾上菊之助(5代目)
汲手姫(くんてぃひめ) = 中村時蔵(5代目)
帝釈天(たいしゃくてん) = 中村鴈治郎(4代目)
鶴妖朶王女(づるようだおうじょ) = 中村七之助(2代目)
百合守良王子(ゆりしゅらおうじ)・多聞天(たもんてん) = 坂東彦三郎(9代目)
風韋摩王子(びーまおうじ) = 坂東亀蔵(3代目)
阿龍樹雷王子(あるじゅらおうじ)・梵天(ぼんてん) = 尾上松也(2代目)
汲手姫(くんてぃひめ)・森鬼飛(しきんび) = 中村梅枝(4代目)
納倉王子(なくらおうじ)・我斗風鬼写(がとうきちゃ) = 中村萬太郎(初代)
沙羽出葉王子(さはでばおうじ) = 中村種之助(初代)
弗機美姫(どるはたびひめ) = 中村児太郎(6代目)
森鬼獏(しきんば) = 尾上菊市郎(初代)
拉南(らーな) = 市村橘太郎
道不奢早無王子(どうふしゃさなおうじ) = 片岡亀蔵(4代目)
修験者破流可判(はるかばん) = 河原崎権十郎(4代目)
亜照楽多(あでぃらた) = 坂東秀調(5代目)
羅陀(らーだー) = 市村萬次郎(2代目)
弗機王(どるはたおう)・行者 = 市川團蔵(9代目)
大黒天(だいこくてん) = 坂東楽善(初代)
太陽神(たいようしん) = 市川左團次(4代目)
那羅延天(ならえんてん)・仙人久理修那(くりしゅな) = 尾上菊五郎(7代目)

幕開き、天上の神々が集う場面は忠臣蔵の大序の趣。だんだんと神々が目を覚ます。この神様の衣装がみんな金色の輝くようなもので度肝を抜かれた。しかも膨らんだスカートみたいなデザインだし。ええ~、全編こんな感じなのかな。と思ったら、次の場面から、地上の人間世界の人々は古典歌舞伎風の着物の衣装で区別をつける。

とにかくストーリーが全く知識がないため、1回目に見た時は筋に追われる部分も多々ありだったが、展開が面白く飽きさせない。また何度かある立ち回りも大がかりでスピーディ。特に終幕の馬車を使った菊之助と松也の対決は手に汗握る。
舞台装置そのものは意外にシンプルで、大きな屏風絵風の背景画が見事で簡潔ながら場面の雰囲気を出す。
さらに音楽が、純歌舞伎の黒御簾音楽や竹本に加えて、シロフォンや太鼓などの西洋楽器を使った音楽が使われて、それが不思議によくなじんで美しかった。

菊之助扮するカルナは悩める青年の趣。戦を止める使命を持って生まれたのに、いつの間にか一方の側に加担し、安易に誓った友情に縛られる。根が真っ直ぐで清潔そのもの故にジレンマに陥っていく貴公子がぴったり。力強い六法に立ち回りもあって、すっかり立役。女形の菊ちゃん好きな私はちょっと複雑(苦笑)。

対決するのは松也のアルジュラ王子。物語では「力で物事を解決しようとする」人物となっているけど、見ている限りもっと知性もあり、しっかりした人物に見えたけど。カルナと宿命のライバルで、でも実は異父兄弟で、と言う役回りで、菊ちゃんと対峙してしっかり引けを取らなかったのは立派。このところ外部出演も多かったけど、歌舞伎役者としても成長を感じられてうれしい。

七之助が松也ら五王子と対立するヅルヨウダ。従兄弟である五王子に憎しみを抱き、冷酷に卑劣な手段を使っても追い落とそうとする強い王女。七之助はこう言う強さを持った女がうまい。そしてその強さの一方で、決戦を前に本心を吐露する姿が孤独の影をまとい悲しい。キレッキレの立ち回りに壮絶な最期まで見せて場をさらう。

その他いちいち上げてたらきりがないが、他の人も適材適所でそれぞれ見せ場があり充実。
中でも坂東亀蔵は梅枝との所作事もあれば、七之助との立ち回りもあり大いに活躍。

中心は菊之助以下の若い役者だが、菊五郎他ベテランが要所要所を締めて存在感を見せる。この若手とベテランのバランスが良くて、新作にありがちな上滑り感が少なく、古典歌舞伎のような味わいもあり、新作苦手な私のような者も十分楽しめた。
是非再演してほしい。
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「通し狂言 霊験亀山鉾」 [舞台]

国立劇場大劇場
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久々の仁左衛門の国立出演は悪役二役。

藤田水右衛門・古手屋八郎兵衛実は隠亡の八郎兵衛 = 片岡仁左衛門(15代目)
大岸頼母 = 中村歌六(5代目)
石井兵介・石井下部袖介 = 中村又五郎(3代目)
石井源之丞 = 中村錦之助(2代目)
源之丞女房お松 = 片岡孝太郎(初代)
若党轟金六 = 中村歌昇(4代目)
大岸主税 = 中村橋之助(4代目)
石井家乳母おなみ = 中村梅花(4代目)
僧了善・縮商人才兵衛 = 片岡松之助(4代目)
丹波屋おりき = 上村吉弥(6代目)
掛塚官兵衛・仏作介 = 坂東彌十郎(初代)
芸者おつま = 中村雀右衛門(5代目)
石井後室貞林尼 = 片岡秀太郎(2代目)

何年か前、松竹座で見ている演目だが断片的にしか覚えてなくて、気分はほとんど初見(苦笑)。
仁左衛門の水右衛門は極悪人。血も涙もないとはこのこと。卑怯卑劣な手段で情け容赦なく善人側の人々を次々に手に掛ける。7月の「盟三五大切」の源五右衛門のような情状酌量の余地も全くない、真っ黒黒の悪人。それをにざ様は実に楽しげにやっていて、そのニヒルなほくそ笑みが惚れ惚れするほど格好いい。もう一役の八郎兵衛の方はちょっとコミカルな面もあるが悪人に変わりなく、芸者おつまに惚れてチャリめいたところも見せるが(この軽みがまた絶妙)、水右衛門に加担して悪事を働く。正直言うと、二役両方悪人より、一役は善人だったりした方が見る方は面白いのだが、今回はにざ様の悪の魅力たっぷりと言うことでまあ良いか。それにしてもにざ様、悪役好きなんだなあ、ほんとに楽しそうだったわ。

錦之助が絵に描いたようなクズ男。金なし力なし。でも女にはもてる。妻がいるのに仇討ちの旅に出たはずが芸者といい仲。あっさりにざ様に返り討ち。端から見るとどうしようもないクズなんだけど、許されちゃう優男。こういうのやらせたら今右に出る者がいないんじゃないかという錦之助さん。

孝太郎がその妻で、身分が低く源之丞の家から認められない悲しさと、それでも気丈に振る舞い、最後は夫に代わって敵を討つ心の強さを見せる。
雀右衛門が芸者おつま。こちらも源之丞につくし、敵捜しに協力して、結局殺されてしまうかわいそうな女。本水の中での仁左衛門との立ち回りも見せ活躍。

秀太郎が源之丞の母で、武家の後室らしい凜とした様子に自分を犠牲にして孫の病気を治す慈悲深さを見せてさすがに締める。
彌十郎が悪人と善人二役で幅の広さを見せた。
吉弥が水右衛門に加担する女将。色気もあり、小狡さもある様子がうまい。
又五郎が誠実な下僕でニン。
最後は歌六が裁き役で締める。

今回、雀右衛門に歌六、又五郎と播磨屋組が脇を固めたことで、仁左衛門に余裕が生まれたように見え、周りに花を持たせる部分もありながらなおかつ仁左衛門ががっつり美味しいところは持って行くという舞台だったように思う。
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驚異の超絶技巧展 [美術]

三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

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3年前、明治の超絶技巧を集めた展覧会をやった三井記念だが、今回は明治だけでなく、現代のアーティストの作品も取り上げて、超絶技巧の継承にも目を向けた。

明治の方は、前回も並んだ作家が多い。七宝の並河靖之に濤川惣助、漆工の柴田是真。牙彫の安藤緑山。明珍の自在、陶器の宮川香山ももちろん。どれもあらためて観ても、どうやって作ったんだろう、と呆れるような凄い技術。

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並河靖之 蝶に花の丸唐草文花瓶
虫眼鏡が必要なくらいの細かい柄。これを、それも有線の七宝で。呆れてため息がでる。

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柴田是真 古墨型印籠
どう見たって墨でしょう、これ。ところが漆工なんだと言うから驚き。是真はこう言うだまし絵的な作品が得意でどれもしゃれていて楽しい。

現代作家も負けていない。現代なんだから、コンピューターとか使って作っちゃうのかな、と思ったがとんでもない。どれも気が遠くなるような手作業なのは明治と一緒。ただ使う材料などはやはり今風なのもあったけど。著作権もあると思うのでここには写真は上げませんが、三井の公式サイトをぜひ見てみて下さい。びっくりですよ。

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高橋賢悟 「origin as human」
これは撮影可能だったもの。生花を型取りしてアルミニウムで鋳造するのだという。それは細かい。気が遠くなりそう。

ただ、ふと思ったのは、明治の作品は多くが花瓶なり、香炉なり、そもそもは実用目的で作られていたが、現代のこう言う作品はいわばオブジェでほとんど使い道はない。そこになんとなく先行きの見えない感じがあり、そう「売れる」ものじゃないんじゃないのかな、と余計な心配をしてしまった。


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江戸の琳派芸術展 [美術]

出光美術館
http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/present/
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尾形光琳と、光琳に私淑した酒井抱一とその弟子の鈴木其一の展覧会。

抱一は光琳に直接師事したわけではない。だが光琳の作品に傾倒し、光琳に憧れて光琳に倣った作品を描き続けた。

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風神雷神図屏風 酒井抱一
光琳、宗達が描いた風神雷神図を抱一も描いた。ほとんど同じだけど少しずつ違う。

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八ツ橋図屏風 酒井抱一
根津美術館所蔵の光琳の燕子花図屏風は、橋を描かず燕子花だけを一面に置く。光琳に比べると抱一の方がバックの金箔も控えめで、全体の色もややソフト。保存状態の関係かもしれないけど。光琳の方がシャープな印象。

抱一は今のところ多分日本の画家ではいちばん好きなんじゃないかな、と言うくらい好きなので、どの作品もどの作品も素敵でため息。抱一の絵は光琳や宗達の京琳派をさらに風通し良くして粋にしたような洗練を感じる。

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四季花木図屏風 鈴木其一
其一はなんとなくだが、光琳より宗達に親近感があったんじゃないかなあ、と思う絵が多い。師の抱一から受け継いだものをさらに写実よりもデザイン性の強い風にしていったように感じる。この屏風などは、全く違うんだけど、宗達の蔦の細道図を思い起こして観ていた。

個人的には、光琳と抱一の紅白梅図が並べて観られたのが最大のツボ。
屏風のような大きなものから掛け軸、扇面のような小品までどれも美しく、見応えのある展覧会。
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運慶展 [美術]

東京国立博物館

春には奈良で快慶展、秋は東京で運慶展。「運慶・快慶」となんとなくセットにされて覚えていたけれど、別にいつも一緒に共作していたわけではないんだな。

今回は奈良の興福寺中金堂再建記念の展覧会と言うことで、興福寺に縁の仏像を中心に、31体現存すると言われる運慶作の仏像のうち、22体が揃う。
父の康慶の作品に始まり、運慶が21才頃に作った最初期の仏像も。

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八大童子立像のうち恵光童子・制多伽童子
鎌倉時代・建久8年(1197)頃
和歌山・金剛峯寺蔵
八体のうち六体が運慶作だそうで、今回その六体とも展示。
どれも童子らしい幼さの残る、しかし力強い表情が魅力的。

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無著菩薩立像・世親菩薩立像(むじゃくぼさつりゅうぞう・せしんぼさつりゅうぞう)
運慶作
鎌倉時代・建暦2年(1212)頃
奈良・興福寺蔵
美術の教科書にも載ってたなあ、と思いながら実物の意外な大きさにも驚く。2メートル近い。リアルに刻まれた表情は力強い世親、慈愛深い無著と対照的。
今回は特にこの両像を取り巻くように四天王立像を配置。これは最近の調査で運慶作ではないかと言う可能性が出てきたとのこと。そう思って見るとさらに興味深い。

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興福寺南円堂四天王の一つ、多聞天立像
確かに運慶作と言ってもいい力強さと、衣装の細かい装飾まで見事に表現された技。

後半では、運慶の息子らと周辺の仏師達の作品が並ぶ。
中で、十二神将立像が42年ぶりに一堂に揃うのが見もの。これも運慶作の可能性があるらしいが未確認とのこと。

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十二神将立像(じゅうにしんしょうりゅうぞう)のうち 亥神
京都・浄瑠璃寺伝来
鎌倉時代・13世紀
格好いいなあ、十二神将。仏像の中でいちばん見ててアガル。それぞれ身につけてるものが違うのも楽しい。頭に付いてる干支もチャーミング。

だがこう言う格好いい仏像の中にあって、ユーモラスさでダントツなのはこちら。
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天燈鬼立像・龍燈鬼立像(てんとうきりゅうぞう・りゅうとうきりゅうぞう)
康弁作(龍燈鬼立像)
鎌倉時代・建保3年(1215)
奈良・興福寺蔵
いや、これあかんやろ。可愛すぎるわ。何なのこの顔。この体型。これほんとに灯籠として使ったのかしら。康弁は運慶の息子の一人。

父の康慶から息子、弟子達までの「慶派」の流れを間近に見られる。個人的には、快慶の作品の方にたおやかさを感じて好きだけど。(と言うほど詳しくもないが)

今回に限らず、東博の展示は照明が凝っていて、会場全体は暗めにして像にスポットライトが当たるような感じで仏像が浮かび上がる。賛否両論あるようだが、ドラマティックな感じはする。
なんにしろ、普段所蔵されてるお寺に行ってもそう近くまでは寄れないが、触れそうなくらい近くで、しかも360度観られるのはありがたい。
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上村松園―美人画の精華―展 [美術]

山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2017/uemurashoen.html

館所蔵の松園作品全18点を一挙に展示、同時に浮世絵から昭和までの美人画の数々を並べる。

考えてみると不思議なことに、松園が描く女はほぼ江戸時代かそれ以前の女だ。着物を着て髷を結う。でも浮世絵の美人画とは全く違う。清楚で品があって美しい。松園ご本人が「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語っているとおりである。

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上村松園 《つれづれ》
本を読む若い女性。顔だけでなく、着物や髪飾りも松園の美学。

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上村松園 《砧》
能「砧」に基づく、夫の長期の留守の寂しさに耐える女。でも感情を露わにはしない。ひっそりと悲しみを押し殺しているような。

そう、松園の女達は感情をむき出しにはしない。笑顔すらそっと微笑む程度。
描かれているのはほとんどが歴史上の人物などではなく、市井の女性なのだが、町娘のような女でもどこか現実味がない、手の届かない、空想上の女に見える。その現実味のなさこそが、実在しない理想の女という風に見えて、見るものの心を惹きつけるのかもしれない。

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上村松園《蛍》
これなんか、どこにでもいそうな女性のありふれた日常の一瞬を切り取っている。凄い美人でもないかもしれない。でもやっぱり理想化された絵という印象。

この展覧会では、松園以外の作家の作品も展示。浮世絵の春信や歌麿、近代の春草や清方、深水、現代の珠子や遊亀。。。技法や画風の違いはもちろん、「美人画」の捉え方の変化も感じられる展覧会。
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月岡芳年 月百姿展 [美術]

太田記念美術館

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8月の妖怪画展に続いての芳年特集。今月は月をテーマにした「月百姿」全点を展示。
こちらは芳年最晩年の作品。芳年が達した芸境を見ることができる。

実在の人物、歴史上の人物、物語の一場面、、、月をモチーフにしながら、月が大きく描かれたものもあればほんの小さく見えるばかりのものもある。そういった月の取り上げ方もそれぞれ美しく、楽しい。

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玉兎 孫悟空
これは月がいちばん大きく描かれた一枚。まん丸なお月様にうさぎと孫悟空の取り合わせが楽しい。


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はかなしや波の下にも入ぬへしつきの都の人や見るとて 有子
これは水面に映る月。波に揺らぐ様子が繊細で美しい。

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烟中月
火消しの背中を大きく描いて、炎の中に浮かぶ月はうっすら。粋な構図。

取り上げられている場面には、能や歌舞伎にも出てくる話があったり、源氏物語や源平の物語など有名なものもあれば知らないものもある。昔の人はこれらの絵を見て、あれね、ってわかったんだろうなあ。

妖怪図の方がインパクトは強いけど、じっくり見たい絵はこちらの方が多かった。
最終日に駆け込みで行ったけれど観られて良かった。
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