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モネ それからの100年 [美術]

横浜美術館
https://monet2018yokohama.jp/

単純にモネ展と思って行くとちょっと肩すかしを食らうかも。
もちろんモネの作品もあるけれど、過半数はモネ以降の作家達の作品。タイトルにそれからの100年とあるとおり、モネの後に続くアーティストの直接間接にモネの影響を受けたであろう作品をモネと並べることで、現代に至るモネの革新性や影響力を見せるのが趣旨の展覧会。
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モネ《ヴィレの風景》 1883年

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中西夏之《G/Z 夏至・橋の上 To May VII》 1992年

直接的に似ているとか模倣とかではないだろう。ただ、空気中の光の反射を捕らえようとする作家の目に親近感がある。

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モネ《霧の中の太陽》 1904年

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ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ペインティング(CR845-8)》 1997年 
上の2枚が空気とすればこちらは水中の光だろうか。揺らぎ、輝き、手に取ることのできない光。

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ルイ・カーヌ《睡蓮》 1993年
モネの睡蓮シリーズに触発されたという作品。微妙な筆致や色の違う絵を並べることで、モネの一連の睡蓮の反復と変容に迫る。

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鈴木理策《水鏡 14, WM-77》(左)《水鏡 14, WM-79》(右) 2014年
これは写真だけれど、水面に映った空と、水面に浮かぶ蓮の葉が溶け合うように美しい。

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サム・フランシス《Simplicity(SEP80-68)》1980年
オランジュリー美術館のモネの絵に魅了されたフランシスが描いた作品。そういわれてみれば、なるほどと思う。

この他、リキテンシュタイン、ウォーホール、ロスコなど有名作家もあり、絵画だけなく映像もあったり盛りだくさん。
モダンアートというと難しく構えてしまうが、モネを切り口にしてあるためか、少なくとも見た目に色も綺麗な作品が多くて、理解できずとも楽しめた。子供向けの解説もあってこれが親切で大人にも重宝。モネを足がかりにしたモダンアート入門の展覧会とも言えそう。
もちろん、モネだけでも25点あるので、モネが好きな方はお見逃しなく。


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エッシャー展 [美術]

上野の森美術館(終了)
http://www.escher.jp/

いわゆるだまし絵で知られるエッシャー(1898-1972)の大開個展。
私もだまし絵しか知らなかったが、今回は聖書を題材にした絵や、風景画、人物画などもあって、へえ、と新鮮だった。

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《バベルの塔》1928年

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《カストロヴァルヴァ、アブルッツィ地方》1930年
どちらも別にだまし絵ではないのだが、どこか不思議な感覚が。シュールレアリスムなんだろうか。

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《椅子に座っている自画像》1920年
人物画もある。これはちょっとヴァロットンの作品を思い出した。他の作品に比べて人物画は描線があまり細かくなく線がくっきりしている印象。

もちろん、エッシャーといえば、と言う不思議な構造の絵や、だんだん変容していくシリーズもたっぷり。
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《滝》1961年
う~ん、何度見ても不思議。どうやって考え出すんだろう。

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《メタモルフォーゼⅡ》(部分)1939-1940年
これは長い長い絵の一部分。文字通り変容して循環する。

今回、まとめてエッシャーの作品を初めてちゃんと見て、デザインや発想の特異さと共に、版画の技術の高さ多様さに改めて驚いた。驚異的に精密な彫りの技術などまさに開いた口が塞がらないレベル。
面白い展覧会だった。

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松竹座7月大歌舞伎夜の部 [舞台]

元禄忠臣蔵
一、御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)
徳川綱豊卿    片岡 仁左衛門
富森助右衛門   市川 中車
中臈お喜世    中村 壱太郎
小谷甚内     片岡 松之助
上臈浦尾     上村 吉弥
御祐筆江島    中村 扇雀
新井勘解由    中村 歌六

何年前だったか、中車の襲名披露の南座公演でやるはずだったのが仁左衛門休演で梅玉に変わった演目。やっと中車と仁左衛門の共演が実現した。

仁左衛門の綱豊卿は当たり役。ちょっと皮肉っぽい物言いや、喜世への優しげな様子、助右衛門の心底を探ろうとあの手この手で問い詰める、余裕たっぷりな様子から、思わぬ反撃を受けての一瞬見せる激昂まで様々な表情を見事な台詞回しと、目の動きで見せていく。その的確さに舌を巻く。

中車ははじめは綱豊の手のひらで踊らされる猿のように追い詰められながら必死にかわそうとする。汗だくの熱演。その必死さが、なんとか仁左衛門に対応しようとする中車自身の姿とオーバーラップして感動してしまった。こういう書き物なら中車も十分歌舞伎役者としてみられるようになった。凄いと思う。

扇雀の江島が良い。いかにも頭の良い御右筆という才女で、サバサバした様子もあって扇雀に似合いの役。
壱太郎のお喜世は可憐で初々しい。初演の時はキャンキャンうるさい感じがしたが、しっとりと落ち着いた。
そして歌六の勘解由が落ち着きと威厳ある様子で舞台を締める。
吉弥が浦尾なのはちょっともったいない気も。
     
二・口上

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三、女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)
河内屋与兵衛   染五郎改め松本 幸四郎
七左衛門女房お吉  市川 猿之助
山本森右衛門   市川 中車
芸者小菊    市川 高麗蔵
小栗八弥   中村 歌昇
妹おかち   中村 壱太郎
刷毛の弥五郎   大谷 廣太郎
口入小兵衛   片岡 松之助
白稲荷法印   嵐 橘三郎
皆朱の善兵衛   澤村 宗之助
母おさわ    坂東 竹三郎
豊嶋屋七左衛門  中村 鴈治郎
兄太兵衛     中村 又五郎
河内屋徳兵衛   中村 歌六 

与兵衛を当たり役とした仁左衛門の指導を受けて新幸四郎が与兵衛を上方の地で演じる。高麗屋の芸だけでなく、松嶋屋の芸も受け継ごうという幸四郎の意欲が表れた演目選定。
既に何演目か、しっかり自分のものにしている印象の幸四郎の与兵衛。子供のようにくるくる変わる表情、自分を制御できない幼さ、わがままさ、あかん奴と思っていても親や兄弟やお吉が面倒を見てしまう「ほっとけない子」が上手く出ている。

だが今回、これまでと違ったのは、今まで女殺油地獄を見て、徳兵衛おさわの為に泣いたことはあっても与兵衛の為に泣いたことはなかった。でも今夜の幸四郎与兵衛には泣けた。甘えたで乱暴者で救いのないアホだけど、でもこんなことになるなんて自分がいちばん驚いているような、どこでどう掛け違ってしまったのか、観ていて苦しかった。
何度も何度も引き返すチャンスはあったのに。勘当されて家を出たときの寂しげで切ない表情。今詫びを入れて心を入れ替えたら、と本人も思ったはずのあの顔。お吉に借金を頼む、親に迷惑かけたくないという真情がお吉にちゃんと届いていたら。そこに脇差しがなかったら。絶望して刀にふと目をやった瞬間、スイッチが入ってしまった。自分でももう止められない、ブレーキのない気持ちの暴走の。切なくて苦しくて、お吉の「死にとうない」が恐ろしくて悲しくて、耳をふさぎたくなった。
ただ可哀想とか哀れとかいう同情ではない、仁左衛門が見せたような狂気でもない、そこら辺にいるあんちゃんが闇に落ちていくのを目の当たりにしているような怖さ、誰か止めて止めて、と思う苦しさを感じた。

猿之助お吉は、ちょっと年増の色気もある、面倒見の良い堅気の女房の雰囲気がちゃんとあって素敵だった。前にやった吃又のおとくも良かった。こういう役ももっと観たい。

歌六の徳兵衛が、ちょっと気の弱い、継子故に与兵衛に厳しく当たれない優しさと切なさが溢れる。
竹三郎のおさわも徳兵衛に遠慮しながらも与兵衛を見捨てきれない母の情の悲しさを見せる。

回りも揃って、襲名にふさわしい大舞台となった。
弁慶と与兵衛という全く違う二役を見せた幸四郎の華がますます大きく開いたように感じた。


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松竹座7月大歌舞伎昼の部 [舞台]

高麗屋襲名披露公演の松竹座。今月は染五郎は出演せず、白鸚と幸四郎の二人。

一、廓三番叟(くるわさんばそう)
傾城千歳太夫 片岡 孝太郎
新造松ヶ枝  中村 壱太郎
太鼓持藤中  中村 歌昇

なぜこの暑い盛りに正月の郭が舞台の演目を出すのか、わけがわからないけど、そこに目をつむればたおやかで押し出しも良くなった孝太郎の傾城がしっとりとしてよく、壱太郎の新造も愛らしい。こういう柔らかい役はどうかと思った歌昇もやや顔芸気味なのを除けばまずまず軽さもあって悪くない。短いが華やかな幕開け。

菅原伝授手習鑑
二、車引(くるまびき)
松王丸   中村 又五郎
桜丸    中村 扇雀
杉王丸   中村 種之助
金棒引藤内   中村 寿治郎
藤原時平公   坂東 彌十郎
梅王丸   中村 鴈治郎

又五郎に扇雀、鴈治郞という中堅での三兄弟。実力の割に役に恵まれない印象のあるこの年代のこれからを占う一幕でもあった。
鴈治郞の梅王丸はなんといっても見た目が、フィギュア下さい、と言いたくなる。コロンコロンしていて可愛い。力感もあってまずまず。
扇雀の桜丸はもう少し柔らかみがほしいが、すっきりと品が良い。
そして又五郎の松王丸が力強く堂々として立派。
ほんとにこの世代の人たちにもっと頑張ってもらわないと、10年後といわず数年後の歌舞伎界が危ないんだから、もっともっと機会を与えてあげてほしいと思う。
彌十郎の時平もしっかりして立派だが、古怪さがほしいところ。

三、河内山(こうちやま)
松江邸広間より玄関先まで
河内山宗俊  幸四郎改め松本 白鸚
高木小左衛門  坂東 彌十郎
宮崎数馬   市川 高麗蔵
腰元浪路   中村 壱太郎
北村大膳   松本 錦吾
松江出雲守   中村 歌六

今月の白鸚の襲名披露狂言。
白鸚独特の台詞回しは苦手だが、この人らしい愛嬌とおかしみのある河内山。
歌六の松江候とは意外な配役だが、さすがに何でもこなす。とは言え、やはりニンではないようで、馬鹿殿には見えずちょっと苦しい。
彌十郎以下回りも手堅く揃うが、襲名披露としては物足りない気がしないでもなかった。

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四、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶  染五郎改め松本 幸四郎
源義経    片岡 孝太郎
亀井六郎   市川 高麗蔵
片岡八郎   中村 歌昇
駿河次郎   中村 種之助
常陸坊海尊   松本 錦吾
富樫左衛門   片岡 仁左衛門

1月の襲名公演でも出した勧進帳の弁慶。幸四郎は1月より力みが減って、でも力強く忍耐強く、そして人一倍情のある弁慶。スーパーマンじゃないけど皆がついて行きたいスーパーリーダー。1月より山伏問答がきっちりとして良くなった。延年の舞は前も良かったけどさらに余裕が出来て素敵。最後の六方までゆるみなく引き締まって、豪快。父や叔父とも違う十代目幸四郎の弁慶が見えてきたのかもしれない。

さらにまたニザ様の富樫の素敵なこと!端正で涼やかで、しかし職務遂行能力半端ないのに人情味が篤い。こんな上司がほしいナンバーワン、みたいな。吉右衛門の重厚な富樫とはまた違う、いかにも切れ者の、鋭く冷静沈着な能吏らしい富樫。

意外と言っては失礼だが孝太郎の義経も良かった。個人的には女形の義経は好きじゃないんだけど、品があって悲劇の貴公子の影と御大将の威厳もさらりとうかがわせたあたり上出来。

襲名披露らしいいい舞台だった。


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ターナー展 [美術]

損保ジャパン日本興亜美術館
https://turner2018.com/
(既に終了)
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イギリスの風景画家ターナー(1775~1851)の展覧会。
印象派の先駆けとも言われるターナーの風景画は初期の写実的なものから、晩年の水気と空気が混然となったものまで実に魅力的。穏やかな光景もあれば、荒れ狂う波に翻弄される船を描いた迫力ある海景画、実際の景色もあれば、古代ローマなどの理想郷を描いたものも。

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《風下側の海岸にいる漁師たち、時化模様》
1802年展示
ターナーはこの時代の画家にしては海の絵が多い気がする。それも美しい風景としての海でなく、何か物語がある絵。こういう荒れる海と不吉な空模様のアンサンブルは迫力いっぱい。

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《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》
1827~28年
ターナーの絵というと、なぜかこの絵のような黄色っぽいのを思い出す。山の色であったり、雲や大気の色であったり。正確には黄色じゃない、でもゴールドでもない、不思議な色。そしてこの絵は水彩画。ターナーは水彩画の名手でもあった。

初期から晩年まで、ほぼ風景画ばかり。その中にも海あり山あり、イギリスの風景もあればヨーロッパのもの、歴史画風のもの、といろいろあって、でも若いときから既にターナーらしさは確立されていて。風景を描きつつ空気も描いたとでも言おうか。ある意味、後の印象派よりも印象派っぽい絵もあったりして、ああターナー好きだわ、と改めて思った。

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六月大歌舞伎 夜の部 [舞台]

歌舞伎座

一、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
鳥居前
三婦内
長町裏

団七九郎兵衛  吉右衛門
お辰      雀右衛門
一寸徳兵衛   錦之助
お梶      菊之助
下剃三吉    松江
玉島磯之丞   種之助
傾城琴浦    米吉
団七伜市松   寺嶋和史
大鳥佐賀右衛門  吉之丞
三河屋義平次  橘三郎
堤藤内     桂三
釣船三婦    歌六
おつぎ     東蔵

なんで今また団七をやるんだ。孫と一緒に舞台に出たいだけだろ~(笑)なんてみんな言ってて、私も演目聞いたときは、は~(?)、と思ったけど。
はじめの鳥居前は錦之助との立ち回りもあるが、やっぱり最後の和史君が出てきてからのデレデレぶりが微笑ましく、(ほとんど素でやってるだろ!)ってつっこみたくなる。いや、可愛いんですけどね。

だが長町裏で全てが変わる。
舅義平次に追い詰められる苦悩の深さ、思いがけず手にかけてしまってからの覚悟を決めての壮絶な立ち回り、とどめを刺してから、刀や体を洗い、浴衣をやっと着て、犯した罪におののきながら花道を足下もおぼつかないように入っていく姿を覆う深い真っ暗な闇。うなされるように「わっしょい、わっしょい」と口ずさみながら。
歌舞伎という芝居は、得てして人が簡単に殺されてしまうものだけれど、これほどただ一人の殺人が重く苦しく描かれることは少ないのではないか。それも死ぬ方の哀れさではなく、殺した方の悲痛を見せられたことはない。こんなに悲しい長町裏の場は初めて見た。

徳兵衛の錦之助は前回に比べると押し出しも良くなって、吉右衛門の団七と釣り合うとまでは行かないものの、しっかりついて行っていた。
菊之助の女房お梶もすっかり吉右衛門とも馴染んできて、いい世話女房ぶり。
和史君は、まだ上手いも何も、と言う段階だが、とにかくよく頑張りました。

歌六の三婦が出色。年は取ってもまだまだ若い者に引けは取らない血気盛んな、面倒見の良い侠客で、まあ格好いいのなんの。ちゃんと団七や徳兵衛が駆け出しに見える貫禄もあり立派。

雀右衛門のお辰は、月初に見たときはあまりニンじゃないのかな、と思ったが楽日には女侠客らしい粋であだっぽい色気もあるいい女になっていた。
橘三郎の義平次も嫌らしい薄汚い爺で団七でなくても嫌悪感を感じるような男を熱演。吉右衛門に一歩も譲らない、殺しの場の熱闘とでもいおうか、が素晴らしかった。

種之助の磯之丞、アホぼんのふわふわした感じを懸命に出していた。この頃女形もやってる経験が生きてたのかも。
米吉の琴浦は可愛げとはんなりした色気もあってまずまず。三婦内で磯之丞に焼き餅を焼くところには気の強そうな面も見えて良かった。
東蔵のおつぎは、もう少し侠客の女房らしいちゃきちゃきした感じがほしいか。なんか普通の堅気のおかみさんみたいだった。

宇野信夫 作
二、巷談宵宮雨(こうだんよみやのあめ)
深川黒江町寺門前虎鰒の太十宅の場より
深川丸太橋の場まで
龍達   芝翫
虎鰒の太十  松緑
おとら  児太郎
おとま  梅花
薬売勝蔵  橘太郎
徳兵衛   松江
おいち   雀右衛門

十七世勘三郎がしばしば龍達を手がけた芝居だそうで、久しぶりの上演。私も生では初めて見た。
怪談なのだが、前半は芝翫と松緑、雀右衛門のやりとりが掛け合い漫才みたいになって笑わせる。
思うに芝翫の気質が明るくて龍達のドロドロした闇や金銭への執着に怖さがあまり感じられず、殺された後の幽霊でさえ笑いを誘ってしまうのではないか。それも一つのやり方かもしれないが。

松緑はこういう世話物のやくざものはすっかりお手の物で、その日暮らしの遊び人の浅はかさや、根っからの悪人ではないが情の薄い、そのくせ女にはもてる太十を好演。
雀右衛門のおいちも、普段あまりやらない役だが、底辺で暮らす女の疎ましさ、余裕のなさから来る酷薄さなどを見せて、新しい顔を見た気分。
児太郎のおとらがただただ哀れ。
梅花の隣家の女房が世話好きで、でもどこか投げやりな長屋の女房。
橘太郎の薬売りが怪演。よいよいで体の利かない様子がリアルで、本人は全く悪人ではないのに、どこか不気味で、可笑しいのにちょっと怖い。


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浮世絵モダーン展 [美術]

町田市立国際版画美術館
http://hanga-museum.jp/exhibition/index/2018-380

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江戸から明治にかけての浮世絵の流れを汲みながら、新しい感覚や風俗を取り組んで興った「新版画」と言われる、大正から昭和10年代くらいの木版画。
美人画、風景画、花鳥画など、ジャンルとしては江戸時代にもあったものがモダンな衣を纏って目新しくもどこか懐かしい。

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橋口五葉「髪梳ける女」1920年
美人画は、五葉や深水、小早川清ら。ヌードがあったり、洋装の女性像だったり。そうか、江戸時代にヌードはなかったね。

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川瀬巴水「旅みやげ第一集 十和田湖千丈幕」1919年
風景画は巴水の他に吉田博などが、江戸の浮世絵よりはるかに刷りの回数の多い繊細な表現。去年個展でも見た吉田博はやっぱり凄いな。

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小早川清「ダンサー(レヴュー)」1932年
これぞモダーン!斬新で大胆で格好いい。

他にも役者絵や、花鳥画、雑誌の挿絵なども。特に役者絵は名前は知ってるけど、と言う役者のがいろいろあって個人的にも興味深かった。 

西洋に比べて日本は銅版画より木版画が主流。現代はどうなのだろう?多色刷り木版画の温かみと繊細な色使いがたまらない。江戸時代の浮世絵から世界が広がってもどこか懐かしさがある浮世絵モダーンの世界、とても楽しかった。
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ガレも愛したー清朝皇帝のガラス展 [美術]

サントリー美術館
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2018_2/index.html

清朝ガラス.jpg

中国、清朝時代にガラスが盛んに作られていたなんて知らなかった。紫禁城内に工房が作られ、官製のガラスが多く作られたという。それも実用と言うよりは、装飾用。とてもデコラティブでこれでもかというくらい凝っている。
種類も半透明の色ガラスから、不透明ガラス、何色も使った色合わせガラス、エナメル彩色などなど。ある意味、陶磁器よりもカラフルで装飾過多なものも多かったのではないか。

アールヌーボーのエミール・ガレがこういった清朝ガラスに影響を受けたというのは大きくうなずけること。実際、キャプションを見なかったら、「これはガレの作品?」と思うようなものもたくさんあった。
この展覧会では、ガレが博覧会などで見た可能性のある作品や、ガレ自身の作品も展示してその関係性も見せてくれた。ガレが中国のガラスに学んだとは全く知らなかったので驚きだった。
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宋磁展 [美術]

出光美術館
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中国の宋時代の陶磁器を集めた展覧会。
色絵もあるが、中心は青磁、白磁など単色の釉薬を使った美しいフォルムのもの。シンプルで洗練された形、繊細な彫りなどが優美。

日本の焼き物と比べるに、中国の陶磁器は完璧な形を最上とするように思える。左右対象形、完全円などで、日本の焼き物のような歪みや偶然がもたらす釉薬のたまり、などのものは多分失敗作として破棄されたんだろう。今回展示されたのもどれもそういう「完全なる美」のものばかり。確かに美しいけど、ちょっとつまんない、なんて思ったりもした。

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白磁長頸瓶
シンプルの極み。余計なものをそぎ落として、うっとりするくらい美しい。

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白磁錆花牡丹唐草文瓶
色は地味だが掻き落としによる模様が大ぶりで美しい。

参考出品として朝鮮陶磁の象嵌青磁の壺があったのが嬉しかった。象嵌青磁、大好きなんですよね。
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大名茶人 松平不昧展 [美術]

三井記念美術館

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松江藩主松平不昧は茶人として知られ、茶道具の収集家としても一流の審美眼を持っていたことで知られる。その没後200年を記念しての展覧会。
古くからの名器を収集するだけでなく、自らの好みの器や道具を同時代の職人に作らせた。

月並みな言葉だが、とにかく趣味が良い。
中国の天目茶碗、室町時代の赤楽茶碗などの品の良い名器は言うに及ばず、蒔絵の名人原羊遊斎に作らせた道具類もゴテゴテしないすっきりしたデザインで美しかった。
書や絵も一流で、江戸時代の大名の文化的水準の高さもうかがえた。

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「菊蒔絵大棗」 原羊遊斎 作 文化14年(1817)
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