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明治座 五月花形歌舞伎・昼の部 [舞台]

5月9日(月)

歌舞伎座が閉場してから、日生劇場やル・テアトル銀座など、これまで歌舞伎をやっていなかった劇場で時々やるようになった。明治座も、16年ぶりの歌舞伎公演とか。もちろん私は初めて。ちゃんと花道もあるし、日生などよりずっと歌舞伎には向いているようだ。これからも公演しても良いんじゃないかな。

今月は花形歌舞伎。亀治郎、染五郎、勘太郎、七之助が中心。中で勘太郎は東京で歌舞伎出演は久しぶり。私なんぞ、去年10月の平成中村座公演以来。

一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
  川連法眼館    
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐  市川 亀治郎              
静御前  市川 門之助             
駿河次郎  中村 亀 鶴             
亀井六郎  市川 弘太郎             
川連法眼  市川 寿 猿              
妻飛鳥  上村 吉 弥          
源九郎判官義経  市川 染五郎

亀治郎は今月これだけの出演。来月新国立劇場での芝居(井上ひさしさんの作品)の稽古があるからとか。ちょっと残念。
亀治郎の忠信は、前に巡業で「吉野山」は見たことがあるが、四の切は初見。この頃は立ち役も多いので、前半の本物の忠信でも危なげなく、落ち着いた武将の様子。
だがなんと言っても眼目は後半の狐忠信で、動きが良いのは踊りの上手い人だから予想通り。勢いとスピードがあって、欄干渡りや瞬間移動(!)であっと言わせ、片膝でのくるくる大回転やいただいた鼓をころころ転がして喜ぶところなども普通の人の1.5倍くらいの速さじゃないかな~、と言うほど良く動いていて、圧巻。
でも同じくらい感心したのが台詞で、誰がやっても多少変な狐言葉が不思議なほど自然。それでいて親への愛慕の情がぎっしり詰まっていて哀切きわまりなくて、思わず泣かされてしまった。
その上、台詞や動作の間がいちいちそれは感心する位良い。
最後の悪僧達との立ち回りから宙乗りまでも、息つく暇なく舞台狭しと動いて見せて、最初から最後まで目が離せない、それはそれは素晴らしい狐忠信だった。今まで見た亀ちゃんの舞台のなかでも最高だと思う。
こういうの見せられると、テレビや映画なんか出てないで、もっと歌舞伎の舞台に立ってほしいなあと切に願う。ご本人はきっと何事も芸の肥やしと思っているんだろうけれど。

染五郎の義経に御大将らしい品と悲哀があり上々。
門之助の静御前にはもう少し華やぎがほしい気も。門之助がこういうなりをすると、なんか芝翫さんに似ていて驚く。

  けいせい倭荘子
二、蝶の道行(ちょうのみちゆき)
助国  市川 染五郎               
小槇  中村 七之助

この場面しかやらないけど本当は確か義太夫狂言。だから伴奏は竹本。ただ、歌舞伎の舞踊としての演出は新しいらしく、美術や衣装、演出などがたぶん戦後のもので、な~んか時代遅れというか、センス悪いんだよね。始めに暗転から、蛍光色の大きな二匹の蝶が舞台を飛び回るのからして、きれいより気味悪いだけだし。
衣装も始めは黒の着付けでまだ良いが、途中から男は青女は赤の縞の地に柄がつくのが派手すぎるし、最後は蝶を模した柄というのもなんだかピエロみたいで品がない。文楽人形の方がよっぽど品があって良いんだが。

二人の踊りは、きれいだし、品のある色気もあって良いが、何しろ上記のような衣装に気を取られてしまい、なんともはや踊りに気持ちを集中できなかったわ。「二人椀久」なんかもそうだが、妙に現代っぽい踊りって苦手。
最後は地獄に落ちる苦しみのなか死んでいく恋人同士の哀れさと儚さが感じられた。

三、恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)
  封印切            
亀屋忠兵衛  中村 勘太郎             
傾城梅川  中村 七之助           
井筒屋おえん  上村 吉 弥           
槌屋治右衛門  片岡 亀 蔵          
丹波屋八右衛門  市川 染五郎

勘太郎はここ数年、勘三郎にほんとに似てきたなあ。素顔だとそうでもないのに、舞台で、特に声なんかそっくり。うっかりすると、聞き間違えそう。
この忠兵衛も、去年秋の平成中村座で勘三郎がやっていたが、口跡はそのまんま。むしろ勘三郎よりも良いと思ったのは、間。勘三郎はテンポが速過ぎて江戸っ子忠兵衛みたいになっていたが、勘太郎はそのあたりがかなリセ-ヴされていて聞きやすかった。もちろん上方言葉のアクセントも上手い。強いてけちをつければ、すっきりした二枚目過ぎて、忠兵衛の心の弱さや見栄っ張りなどうしようもないやつという面が見えないところだが、これは先月の藤十郎の印象が残っているからだろう。仁左衛門がやったって二枚目になってしまうんだから。

梅川は七之助で、儚げで哀れさのある様子がなかなか。もうちょっと色気があれば十分だが、勘太郎との釣り合いが良いのはなにより。
染五郎の八右衛門もあっさり目で、もそっと憎々しげでないと「ゲジゲジのはっつぁん」にならないんだけどな。上方言葉も思ったよりはこなしていたが、やや江戸前の八右衛門。
吉弥のおえんがはんなりとした味があり上々。だが、八右衛門に毒づくところはもっときっぱりしてほしい。
亀蔵の治右衛門はやや軽くて、旦那という風格に欠けるか。

とは言え、この顔ぶれでこれだけのレベルの封印切りが見られるとは正直思っていなかった。嬉しい誤算と言っておこう。勘太郎の将来がますます楽しみ。はっきり言って襲名以来足踏みしている勘三郎などさっさと追い越してほしいと思う。
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