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江戸の戯画展 [美術]

大阪市立美術館

今の漫画のルーツともされる戯画。鳥羽絵と呼ばれる初期の戯画から、国芳、北斎、暁斎ら人気画家のユーモア溢れる絵を展示。

中でも今回初めてまとめて観たのが耳鳥斎(にちょうさい)。生没年不詳ながら18世紀後半、大坂で活動した絵師。なんとも脱力系の絵で、ユーモアのセンスが抜群。
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耳鳥斎 地獄図絵巻 
かわうをやの地獄。川魚屋が地獄で生前自分が魚にしたように包丁でさばかれ、串に刺されて焼かれる。なんともシュールでとぼけた味わい。

北斎は、おなじみの「北斎漫画」の他にも戯画風の作品。
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北斎「鳥羽絵集会 お稽古」
人の顔がもう漫画そのもの。

最近すっかり人気者の国芳。この展覧会でも大人気。特に金魚づくしシリーズ全9点が展示が呼び物。
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国芳 「金魚づくし 百ものがたり」
国芳は猫の絵もあって、本当に人気。

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暁斎「暁斎漫画」
こちらは猫。暁斎は他に蛙シリーズとか。

中には解説がないと何が可笑しいのかわからないものもあるが、ほとんどは見るだけで今でも面白く楽しい。

ただ、凄い混雑で、あまりゆっくり見られなかったのは残念。市立美術館は改装でもしてるのか、二階の半分しかこの展覧会に使ってなくて、狭い上に小さい絵が多いから渋滞も甚だしかった。疲れたわ。
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池大雅展 [美術]

京都国立博物館
http://www.kyohaku.go.jp/jp/special/tenrankai/taiga2018.html#anchor_displayitems

GWの帰省中に行ってきた。
京博は巡回展のない展覧会をよくやっていて、これもそう。もったいないな、東京でもやってほしい、と毎回思う。

池大雅(1723~76)は江戸時代中期、京で活躍した文人画家。なのだが、実は書家としても超一流なのを今回初めて知った。むしろ、はじめは書を習って神童と呼ばれたという。12歳の時の書が展示されていたが、あまりに大人びた(むしろ老成?)した字に唖然。

早くに父を亡くし、10代から扇屋を営む。中国から入ってきた絵などを見て扇に絵を描いていたというから、絵は自己流。とはいえ、多くの人と交流を持ち、旅をし、絵を描き続けた。その人生をほぼ網羅、キャプションで交友関係も知ることができる。

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渭城柳色図(1744)
21歳の作だから、かなり若いとき。素朴で瑞々しい感じ。

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四季歌賛(4幅のうち)(制作年不明)
自賛の画。書も自由闊達。

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国宝 楼閣山水図屏風(右隻)(制作年不明)
20~30代に掛けて東北地方まで足を伸ばし、各地を旅した大雅は各地で風景画をものしている。それが土台となって後年の画業を支えている。

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五百羅漢図のうち
風景画にも小さく人物が描かれているのがあるが、これは珍しい人物ばかり(羅漢を人と言って良いかは置いておいて)。上手いというより、楽しい。

実を言うと、文人画というのがいまいちピンとこなくて、極端だが、素人の手慰みみたいな気もするのだが、そのある種の素人っぽさが残るところも魅力なのかも、なんて偉そうに思ってしまった。同じ京の画家でも若冲や応挙などのまさしく「玄人」の絵とは違う、風通しの良さやどこかほんのりと感じる優しさなども池大雅の良さのように感じた。
穏やかな人柄で、弟子たちからも敬愛されたという大雅。人柄も絵に出ているような気がする。

大雅の妻徳山玉瀾も画家として知られ、共作の絵も展示されていて、仲睦まじかったという夫婦の様子が偲ばれる。


この展覧会、とにかく質もさることながら量も凄い。新館の3フロアほとんど使った贅沢な展示。こんな規模の大雅展はもう当分なさそうだから、文人画に興味ある人はお見逃しなく。


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プーシキン美術館展 [美術]

東京都美術館
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http://pushkin2018.jp/

近代フランス絵画の宝庫プーシキン美術館から、風景画に的を絞っての展覧会。


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クロード・ロラン
《エウロペの掠奪》1655年
風景画は宗教画や神話世界の絵の背景から始まった。その名残を色濃く見せながら、古代の理想郷のような風景を描いたロラン。

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カミーユ・コロー
《夕暮れ》1892年以前
バルビゾン派を代表するコロー、実際の風景ではなく思い出の中の景色を絵にしたもの。豊かな緑がもやのようにけぶるコローらしい色合いの一枚。

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クロード・モネ
《草上の昼食》 1866年
風景画というより風俗画といった方が良いような気がするが、モネの若い頃の作品。スキャンダルとなったマネの同じタイトルの絵に影響を受けているのは確実。舞台はバルビゾンの近く。木漏れ日を受ける緑の濃淡に後の印象派の予兆が感じられる。

景色は森や田舎から、パリなどの都市の風景へ。さらに海外へと広がり、ついには想像上の景色が描かれる。
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ピエール・カリエ=ベルーズ
《パリのピガール広場》 1880-90年代頃
街を行く人々が生き生きと描かれ、ガス灯が登場する。風景に時代が見える。

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アンリ・ルソー
《馬を襲うジャガー》 1910年
実は一生フランスから出たことがなかったルソーは植物園に通って草木をスケッチしたとか。現実にはない情景が奇妙なリアリティを持って、物語を語る面白さ。

風景とひとことに言っても様々。古代世界から幻想世界まで、現地に行って見てみたいところ、行けないところ、どれも素敵で楽しい展覧会。
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至上の印象派展 [美術]

国立新美術館
http://www.buehrle2018.jp/
 (行ってからだいぶ日がたってしまったので簡単に)

スイスの実業家ビュールレ氏のコレクション展。印象派展と謳っているが、実際は古いものは17世紀から、新しいものは20世紀抽象画まで幅広く紹介している。
一個人のコレクションというのが驚きなほど、レベルの高い作品ばかり。財力があってこそとはいえ、その選択眼もなかなかのもの。

肖像画のコーナーではフランス・ハルス、クールベやルノワール。
ヨーロッパの都市ではモネやカナレット。
19世紀フランス絵画コーナーではアングル、マネなど。
そして印象派ではシスレー、モネなど、そうそうたる画家の作品が並ぶ。

チラシ、ポスターにもなってメイン扱いされているのはこれ。
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ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》
”絵画史上最高の美少女”などという謳い文句が付いているが確かに愛らしい。晩年のルノワールのぶくぶく太った女性像に比べると(笑)、清楚で品があって。

他では特にセザンヌとゴッホが一室ずつ与えられていた。
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セザンヌ《赤いチョッキの少年》
よく見れば腕の長さなど、バランスがおかしいのだが不思議と気にならない。色使いがセザンヌらしい寒色系の中に少年の赤いチョッキが鮮やかに浮かび上がる。

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ゴッホ《日没を背に種まく人》
ミレーの「種を撒く人」から着想を得たと言う作品だが、手前に大きく描かれた木など浮世絵の影響もはっきり感じられる。

印象派展といいつつ、新しいところではピカソやブラックなど20世紀中頃までのヨーロッパ絵画を俯瞰。ビュールレ氏の選択眼の良さを感じる展覧会。
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四月大歌舞伎・昼の部 [舞台]

歌舞伎座

昼の部は音羽屋中心。
幕開きは明治維新150年記念とやらの一幕。

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真山青果作「江戸城総攻」より
松竹芸文室 改訂
大場正昭 演出
一、西郷と勝(さいごうとかつ)
西郷隆盛   松緑
山岡鉄太郎  彦三郎
中村半次郎  坂東亀蔵
村田新八   松江
勝海舟    錦之助

西郷と勝の会談による江戸城無血開城にいたる場面。まあ、とにかく西郷の台詞が多い。全体の七割くらいは松緑西郷がしゃべってる感じ。
初日も見たが、初日から松緑はその長台詞をよくこなし、西郷の豪放な性格を見せると共に、楽日間近では台詞に心情を上手く乗せることができるようになっていた。「戦争ほど残酷なものはない」という台詞に悲痛な魂の叫びが聞こえ、胸を打つ。客席からも大きな拍手が来ていた。

錦之助の勝というのはちょっとお行儀良すぎる感じもあってイメージとは違うけど、私利私欲のない真っ直ぐな好漢ぶり。
彦三郎の山岡も熱血漢。いつもながら良い声。「将軍江戸を去る」の山岡も見てみたい。

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通し狂言
梅照葉錦伊達織
二、裏表先代萩(うらおもてせんだいはぎ)
下男小助/仁木弾正  菊五郎
乳人政岡       時蔵
細川勝元       錦之助
下女お竹/沖の井   孝太郎
倉橋弥十郎      松緑
荒獅子男之助     彦三郎
渡辺民部       坂東亀蔵
鶴千代        亀三郎
松島         吉弥
大場宗益       権十郎
横井角左衛門     齊入
栄御前        萬次郎
八汐         彌十郎
大場道益       團蔵
渡辺外記左衛門    東蔵

以前、十八代目勘三郎が小助、弾正、政岡をやったのを見たことがある。それ以来。菊五郎はさすがに政岡はやらず、小助と弾正のみ。それでも偉いと思うけど。
小助では、手慣れた世話物の小悪党の風情が上手い。はじめはいかにも気の利く下男といった様子が、一瞬でがらりと顔つきを変えて殺人も犯す。後半の裁きの場でも善人らしい様子から、証拠を突きつけられての開き直りぶりが鮮やか。
一方の弾正では、床下からの引っ込みが悠然として不気味。かなりゆっくり時間を掛けての引っ込みで間を持たせるのがさすがベテランの芸。
刃傷の場ではさすがに動きがキレキレとは行かないが凄味と殺気溢れる様子。

時蔵の政岡。ずっと見てみたいと思っていた。片外しの似合うのでは当代いちばんの女形だし。キャリアウーマンのようなキリッとした様子と、母としての情がほどよいブレンド具合。今回は飯炊きもない短縮版。次はぜひ竹の間からやってほしい。

彦三郎の男之助は見た目は細めだが声がよく出て大きく見えて立派。
孝太郎が健気な下女のおたけと、沖ノ井の二役。全く違う二役できっちり存在感を出した。

対決は伽羅先代萩だと弾正対勝元だが、裏では小助対弥十郞。
松緑がここでも弁舌爽やかに小助を追い詰める。いやしかし、西郷といい、松緑が台詞劇でこれだけやれるようになるなんて、、、。嬉しい。

團蔵がいかにも強欲で女好きなゲスなやつ。
彌十郎の八汐はちょっと憎々しさが足りない気も。

まあ、伽羅先代萩に比べるとさすがに話のこくがないというか薄い感じはしてしまうが、それにしても裏表とはいえ音羽屋の仁木弾正が見られるとは思ってなかったので感激。

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四月大歌舞伎・夜の部 [舞台]

歌舞伎座
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4月の歌舞伎座は、昼は菊五郎、夜は仁左衛門がそれぞれ悪の二役を演じる。
特に夜は仁左衛門が一世一代と銘打っての通し狂言。

通し狂言
絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)
立場の太平次

左枝大学之助/立場の太平次  仁左衛門
田代屋与兵衛   錦之助
田代屋娘お亀   孝太郎
孫七       坂東亀蔵
太平次女房お道  吉弥
お米       梅丸
番頭伝三     松之助
升法印      由次郎
関口多九郎    権十郎
田代屋後家おりよ  萬次郎
高橋瀬左衛門/高橋弥十郎   彌十郎
佐五右衛門   團蔵
うんざりお松/弥十郎妻皐月  時蔵

にざ様は同じ悪でも、武士で冷酷非道で血も涙もない背筋の凍りそうな悪人の大学と、無頼で同じく極悪人だが剽軽さもある太平次を見事に演じわけ。人を殺すことに快感を覚えていそうな大学と、蚊の命も人の命も同じ重さの太平次と。同じ真っ黒黒でもどこか色合いが違う。大学の方はいかにも暴君で自分の暴虐さを隠そうともせず、女ならずとも近寄りたくない。だが太平次は女房もお松も惚れているように、一見ヘラヘラと愛想よさげで可愛げある様子に見せておきながら、実は残虐。こっちの方が実は怖いんじゃないか。だがその笑顔が恐ろしくも魅力的。そこがさすが仁左衛門。

時蔵のお松が熟れた女の崩れた感じがありながら、嫌らしくならないのがこの人らしく上手い。
孝太郎のお亀も可愛げがあり与平衛大事の一途さがある。二人ともずっとこの役をやっているだけあって、手に入った様子で安定。

にざ様は別として、錦之助がいわば準主役として魅せる。優男のクズをやらせたら右に出る者はいない。錦ちゃんといえばクズ、クズといえば錦ちゃん様。

彌十郎が高橋瀬左衛門と弥十郞の兄弟二役。どうやらこの二役は同じ役者が務める慣例らしいがその必要あるのかな、と言う気も。いや、彌十郎は正義感ある瀬左衛門とその仇を討とうとする弟と誠実に務めていて不足はないが。

しかし、にざ様は確かに格好いいが、出る人出る人後でみんな死んじゃうのね~と思いながら見るのはいささか辛い。特に、亀蔵と梅丸夫婦のただ殺される(または殺させる)ためだけに特に必要もないのに出てきました、感は凄い。てか、盆が回って元に戻ったらまだ太平次の家にいて「アホか、さっさと逃げろや」と(怒)となったなど。

それにしてもにざ様ほとんど出ずっぱりだ。体力的にきついのはわかる。そんなそぶりも見せないけど。これが最後と仰るのも仕方ないか、とは思った。

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柿葺落四月大歌舞伎・夜の部 [舞台]

御園座

一、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり )
鶴ヶ岡八幡社頭の場
梶原平三  中村 吉右衛門
六郎太夫  中村 歌六
梢     中村 雀右衛門
山口十郎  中村 歌昇
川島八平  中村 種之助
岡崎将監  中村 米吉
森村兵衛  中村 吉之丞
剣菱呑助  嵐 橘三郎
飛脚早助  澤村 宗之助
俣野五郎  中村 又五郎
大庭三郎  市川 左團次

演目が発表になったときは正直「え、また石切梶原」。。。って思った。でも見終わるとやっぱり良いものは何度見ても良いんだなあ。

播磨屋の石切梶原はなんであんなに面白いのかね。泣ける話でもないし、感動的でもない。ただただ吉右衛門梶原の台詞の面白さと愛嬌だけ。でもそれで十分。歌舞伎の、それも義太夫もののエッセンスがギューッと詰まった一幕。冒頭花道での「しからば、ごめ~ん」だけでも痺れる。そしてあの刀の目利きをする時のキラーンと光る目の輝きのまるで少年のような愛おしさ!刀の柄に下げ緒を黙々と巻く手つきの美しさ。試し切りの前に指ならしで指をパキパキする面白さ。なんか、やることなすこと可愛い。さらに今回は今までより、六郎太夫や梢の台詞にうなずいたり微笑んだりと言った表情が細やかになっていたような気がする。

周りは揃って鉄板の布陣。
左團次の大庭が敵役の大名らしいふてぶてしさと貫禄。
又五郎の俣野がいかにも頭の足りなさそうな様子で上手い。
歌六の六郎太夫が滋味深く娘思いの父。反面、源氏に与する気概も見せる。
雀右衛門の梢はいじらしく可愛げたっぷり。
橘三郎の呑助は、ご当地ネタも盛り込んでサービス。

高麗屋襲名公演ではあったが、内容の充実という点ではこれがいちばんの演目だった。

二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶  幸四郎改め松本 白鸚
富樫左衛門  染五郎改め松本 幸四郎
亀井六郎   大谷 友右衛門
片岡八郎   市川 高麗蔵
駿河次郎   大谷 廣太郎
常陸坊海尊  松本 錦吾
源義経    中村 鴈治郎

1月は幸四郎が弁慶で勧進帳を出した。今回は父の弁慶に息子の富樫。
新白鸚の弁慶は個人的に感心しないので期待もしていなかったが今回も従来通り。
期待したのは幸四郎の富樫だったが、すっきりと行儀は良く姿も美しいが、気迫があまり感じられず型を追うに終わっていてがっかり。1月の叔父に比べるのは気の毒としても、どこを見てたんだ、とは思う。あんな手で押したら開きそうな関所じゃどうしようもない。

鴈治郞の義経というのはあまりニンではなさそうだが、さすがに1月の染五郎に比べると安心して見ていられて、伊達にキャリアを積んでるわけじゃないな、と妙に感心した。

三、夕霧 伊左衛門 廓文章(くるわぶんしょう)
吉田屋
藤屋伊左衛門   染五郎改め松本 幸四郎
扇屋夕霧     中村 壱太郎
阿波の大尽    中村 寿治郎
吉田屋喜左衛門  中村 歌六
吉田屋女房おきさ 片岡 秀太郎

松嶋屋ではなく、紀伊國屋の藤十郎に習ったという。結構いろいろ違って面白かった。

幸四郎の伊左衛門はアホボンの魅力炸裂。可愛すぎ。あの可愛さは反則。あざといわ~。自分が可愛いこと知ってて、どうやったらなお可愛く見えるか、ってこれでもかと見せつけてくる。あー可愛い。アホやけど可愛い。たまらん。
もうすぐ夕霧が来そうとなって、どうして迎えようかと襖の陰に立ったり柱の横でポーズしたりのいろいろが面白おかしい。ほんと可愛いけどどうしようもなくアホ。あれに身請けされても幸せにはなれんな。勘当解けても藤屋潰れるわ(^_^;)

壱君の夕霧が儚げで、でも華があって綺麗。伊左衛門相手に姉さん女房みたいな感じ。数年前浅草でやったときから格段の進歩。最後の打ち掛けは山城屋着用の藤の柄。

松嶋屋のと違い、喜左衛門夫婦の出番が少ないのは物足りなかった。せっかく歌六さんひでりん出てるのにな。でも最後はひでりんの合図で大阪締め。
いつもの型のでおきさが「若旦那やと思うて声かけたら○○屋さんどしてん。まあまんざら知らん仲でもないし」とか言うところがぐだぐだしてて好き。特にひでりんのが。これがないとつまんないな。

冒頭の吉田屋の店のものに播磨屋のお弟子さん達が出ていたが、普段この演目にかかわることがないので、珍しい気がしてしまった。もしかしたらこれが最初で最後かも?

新しい御園座は座席も広めで、2階からも見やすく、音も悪くない。聞くところではチケットが売れてないとかで営業面は相変わらず上手くなさそうだが(切符代も高いし)、せっかくいい小屋ができたのだからうまく使ってほしいな。
     
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柿葺落四月大歌舞伎・昼の部 [舞台]

御園座

改築のため閉館していた名古屋の御園座。新装なっての杮落とし公演は高麗屋の襲名披露。

一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
工藤祐経  市川 左團次
曽我五郎  中村 又五郎
曽我十郎  中村 鴈治郎
大磯の虎  中村 壱太郎
化粧坂少将 中村 米吉
梶原平次  中村 吉之丞
梶原平三  中村 寿治郎
八幡三郎  中村 種之助
近江小藤太 中村 歌昇
小林妹舞鶴   市川 高麗蔵
鬼王新左衛門   大谷 友右衛門

新装オープンの幕開きにしてはやや地味な顔触れと思わないでもないが、演目としては華やかで祝祭感もあっていい。
又五郎の五郎は、数年前の自身の襲名の時もこの御園座で演じた役で、似合いの役でもあり、感慨もひとしお。
鴈治郞の十郎というのはちょっと意外な配役だが、上方和事の味はさすがにあっておっとりとした様子。
(とはいえ、福々しい兄弟だな)
左團次の工藤が、ちょっと悪役味があるが貫禄もありまずまず。
壱太郎と米吉が初々しくも綺麗で華を添える。
高麗蔵の舞鶴が堂々として立派。

 二代目松本白 鸚
二、十代目松本幸四郎 襲名披露 口上(こうじょう)

幸四郎改め松本 白鸚
染五郎改め松本 幸四郎
坂田 藤十郎
幹部俳優出演
今回も仕切りは藤十郎。
1月の歌舞伎座での口上よりは人数も少なくアットホームな雰囲気。左團次の口上も内容は1月と同じ。吉右衛門が身内とも親戚とも言わないのも同じ(苦笑)。今月は出演していない染五郎のことを歌六さんが「噂の美少年」といったりしたのが面白かった。

三世河竹新七 作
三、籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)
序幕
大詰 吉原仲之町見染の場より
立花屋二階の場まで
佐野次郎左衛門  染五郎改め松本 幸四郎
兵庫屋八ツ橋   中村 雀右衛門
下男治六     中村 又五郎
兵庫屋九重    市川 高麗蔵
兵庫屋七越    澤村 宗之助
兵庫屋初菊    中村 米吉
若い者与助    大谷 廣太郎
絹商人丈助    中村 吉之丞
絹商人丹兵衛   嵐 橘三郎
釣鐘権八     松本 錦吾
繁山栄之丞    中村 歌六
立花屋女房おきつ   片岡 秀太郎
立花屋長兵衛   幸四郎改め松本 白鸚

叔父も父も持ち役にしてる演目だから不思議はないのだが、新幸四郎が佐野次郎をやると聞いたときは正直驚いた。二枚目の幸四郎がねえ。いや、父も二枚目だけど、とてもニンじゃなさそうで。

播磨屋の佐野次郎が分別盛りのいい大人が突然沼にはまった恐さとすれば、幸四郎のは男盛りの未熟な男の純愛が踏みにじられた痛々しさのようなものがあり、「惚れた」と言うより「恋に落ちた」みたいな青い苦さを感じて胸が痛い。ただ、次郎左衛門の容姿から来るコンプレックスなどのほの暗い心の闇はまだ感じられず、そのあたりは今後に期待。最後の殺しの場はキレッキレ。

一方、こちらも初役の雀右衛門八ツ橋も儚げで、縁切りの消え入りそうな姿の哀れさが透き通るようで、苦界に生きる女の悲しみが切々。間夫と上客の間で計算なんてできない優しい気立てが裏目に出た、というような。清新な八ツ橋。
不思議とお父さんより歌右衛門の台詞回しに似て聞こえるところがあった(ヴィデオでしか見たことないからいい加減だけど)。全体に受けるイメージは大成駒とは全然違うんだけどね。

歌六の栄之丞!白塗り二枚目のかっこいい~大人の色気。でも歌六さんだと何となく「身請けされた方がお前のためだよ」とか言ってくれそう(^_^;)

秀太郎の女将が絶品。商売人らしい計算高さがありながらも筋を通す花街の女将の粋さと情のこまやかさ。
又五郎、橘三郎ら回りはチーム播磨屋で鉄板。脇に支えられての幸四郎の佐野次郎初演。これから回を重ねて自分のものにしていくのだろう。


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四国こんぴら歌舞伎大芝居・夜の部 [舞台]

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金丸座

一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
鳥居前
佐藤忠信実は源九郎狐  国生改め中村 橋之助
静御前    中村 児太郎
武蔵坊弁慶  宗生改め中村 福之助
早見藤太   市村 橘太郎
源義経    尾上 松也

鳥居前は松也が気品と貫禄あり、御大将の風情が身についているのが嬉しい。
児太郎の静は楚々としてかつ色気もありぴったり。
橋之助の忠信は力任せなとこもあるけどキッパリとして力強くてなかなか良い。
橘太郎藤太が鉄板のおかしみでさすがに上手い。
福之助の弁慶も一生懸命。

二、鎌倉三代記(かまくらさんだいき)
絹川村閑居の場
佐々木高綱   橋之助改め中村 芝翫
時姫      中村 魁春
富田六郎    市村 橘太郎
おくる     芝喜松改め中村 梅花
母長門     坂東 秀調
三浦之助義村  中村 梅玉

これが見たくてこんぴらまで来た、と言っていい個人的にメインの演目。時代ものの二枚目のお手本のような梅玉と同じく赤姫の見本の魁春、悪かろうはずもなく義太夫狂言にどっぷり。

期待通り、梅玉は憂いと気品のある貴公子。母への情と、武士として戦に臨む悲壮さがたっぷり。
魁春はこれぞ赤姫。おっとりと品があり、ひたすら三浦之助恋し。一方で藤三郎へのきっぱりとした態度には気位の高さも見せる。やっぱり魁春さんの時代物は良いわ。もっともっとやってほしい。
芝翫はもう少し古怪さが出るとなお良いが大きく見えて立派。
長門が秀調とはちょっと意外な配役だったが手堅い。
橘太郎の富田六郎が軽妙。
梅花のおくるが丁寧。

終盤、高綱が出てくる井戸が、普通の劇場だと舞台下手にしつらえてあるが、この劇場の花道際の空井戸を使っていたのが楽しかった。

それにしても、前の鳥居前と比べて出ている役者の平均年齢が40くらい高いんでは、と言うベテランばかりの舞台。それで若武者と姫の恋模様をやって全く違和感がない歌舞伎って凄いな。

三、石橋(しゃっきょう)
獅子の精  尾上 松也
獅子の精  国生改め中村 橋之助
獅子の精  宗生改め中村 福之助
     
両花道をうまく使い、舞台に白毛の鬘の松也、花道に赤毛の橋福が登場。からみも出て派手で面白い。後半紙吹雪の中で毛振り。盛り上がる盛り上がる!きっと後半にかけてもっと回すんだろうな。
紙吹雪は舞台上よりも客席の上からどんどん降ってきて、最後の方ではドバーッて落ちてきて笑えるくらい、お客さんも雪まみれ。楽しかった~。


  
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四国こんぴら歌舞伎大芝居・昼の部 [舞台]

金丸座

毎年4月恒例のこんぴら歌舞伎に今年も行ってきた。

一、江島生島(えじまいくしま)
生島新五郎        尾上 松也
中臈江島/江島に似た海女 中村 児太郎
旅商人          市村 橘太郎

全く初見だったので、そんなに期待していなかったのだが、意外と面白かった。
前半は、夢の中で生島と江島が華やかに踊る。後半は、島に流された生島が嘆いていると、江島に似た海女がやってきて、江島と錯覚した生島と踊るのを海女の仲間や通りがかりに商人が見ている。
松也が色っぽい。優男ぶりが身について、後半のもの狂わしげな様子も良い。保名や椀久みたいなのも見てみたい。
児太郎は前半は江島のしっとりとした品の良さがあり、後半は海女の無邪気な様子と違いを見せる。
橘太郎の商人がしっかり締める。橘太郎と海女の芝のぶの絡みなんて珍しく美味しい場面もあり楽しい。

二、鞘當(さやあて)
劇中にて襲名口上申し上げ候
名古屋山三   中村 梅玉
留男      橋之助改め中村 芝翫
不破伴左衛門  国生改め中村 橋之助
茶屋廻り    宗生改め中村 福之助
茶屋廻り    中村 児太郎
茶屋女房お駒  中村 魁春

今月の公演は芝翫一家の襲名披露公演でもある。普通の口上はないがこの「鞘当」の中で劇中口上があった。
両花道を使った華やかな演出が生きる。和事味ある二枚目の梅玉の柔らかさ、荒事の橋之助と対称的なふたりの対決。留めが芝翫魁春の二人というごちそう。から口上へ。人数は少ないが暖かい雰囲気。列座してない梅花さんにも梅玉さんが触れて下さったのが嬉しい。

新皿屋舗月雨暈
三、魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)
魚屋宗五郎   橋之助改め中村 芝翫
女房おはま   中村 魁春
召使おなぎ   中村 児太郎
奴三吉     宗生改め中村 福之助
茶屋女房おみつ 芝喜松改め中村 梅花
父太兵衛    市村 橘太郎
浦戸十左衛門  坂東 秀調
磯部主計之助  中村 梅玉

芝翫の宗五郎って初役だったかしら。見た記憶がないが。
芝翫は酒を飲むところなどややあざとさが目につくが、この小屋でなら許されるか。
魁春おはまがさすがにうまい。さっぱりとして、亭主思いの下町のおかみさん。
児太郎は行儀よいが、声がなんだか地声みたいだったのはどうしたんだろう。
橘太郎は手堅いがちょっとニンでないような気もした。
福之助の三吉は健闘しているが、やや手順に追われている感もあり、慣れるまで頑張って。
梅花の女将が情があって良い。
秀調の家老がきっちりと手堅い。
梅玉の殿様がさすがの貫禄。梅玉さんお殿様に「堅固で暮らせよ」と言われると、ははあーっ、てありがたみを感じてしまう。

こんぴらさんに掛けて断った酒、と言う台詞が出るたびに客席にさざ波のような笑いが。地元の方が喜んでらっしゃるような空気があって、微笑ましかった。もしかしたら初見の人の中には、ご当地だから「金比羅さん」って言ってて普段は違う神様にかけてると思ってる人が相当数いるんじゃないかな…(^_^;)


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